10月28日、NHK・BSプレミアムのドラマ「そこをなんとか」は第2回「涙の値段」を放送、ようやく事務所に就職できた楽子（本仮屋ユイカ）が次に手掛けるのは示談交渉だった。被害者の大学生が要求した額は1億円と法外なもので、楽子はアニ弁の東海林（市川猿之助）からその真意を探るようにアドバイスされる。楽子が被害者に度々接見するうちに、事故当日の被害者の行動が明らかになる。
本仮屋のふんわりとしたキャラクターが派手さはないがひたむきな楽子に似合い、温かみのある物語を彩ってくれた。弱腰の菅原弁護士、やり手の東海林などとのキャラクターのギャップがテンポ良くコミカルに描かれており、これからの案件で出会うゲストたちと共に事務所内の人間関係も楽しみだ。困った時に出る「そこをなんとか」が相手にどう作用するのか、楽子を応援しながら見たくなるほのぼのとした弁護士ドラマになりそうだ。

■第1回「最後に愛は勝つ」
改世楽子は新制度司法試験を経てようやく憧れの弁護士になった。横暴な債務者に悩まされ極貧の少女時代をすごした楽子にとって、ヒーローは悪質な取立てから家族を救ってくれた弁護士だった。その弁護士が語った日本国憲法第13条を胸に、楽子はキャバクラのバイトをしながら必死で勉強を続けてきた。しかし制度改革の後弁護士の人数は急激に増え、弁護士にも就職難の時代が訪れていた。楽子は次から次に不採用をもらい、やっとのことで菅原（大友康平）の事務所にもぐりこむ。かつてキャバクラの客だった菅原と楽子が飲み比べをした際に、負けたら雇うという口約束を取り付けていたのを頼りに飛び込んだのだった。しかし安い案件ばかり引き受ける事務所の家計も火の車、所属弁護士の東海林は楽子が初めて手掛ける案件で執行猶予を取れなければ不採用だと条件をつけてきた。
そんな楽子が始めて手掛けるのは、酔って暴行事件を起こした被告人・安斎（川畑要）の国選弁護人だった。安斎はふてくされて接見でもほとんど会話をせず、妻の貴子（内山理名）のことを気にかけてばかりだった。安斎は過去にも逮捕歴があり、執行猶予をつけるのは難しいとされていた。楽子は安斎が居酒屋の店員を助けようとしたことがきっかけで居合わせた客に乱暴を働いた事を知り、店員に事情を聞きにいく。そこへ何故か貴子も同行し話を聞くと、安斎がセクハラにあった店員を助けようとしたのは真実だったが、その店員に安斎がちょっかいを出していたことまで判明、貴子は怒って店を飛び出す。その後も楽子は安斎と接見を続けるが、話は一向に進まず安斎の情状証人も見つからない状況だった。ある日楽子は安斎の父を訪ねるが、子どもを案じないその姿に憤慨し、自分の父親も同じだったと接見中の安斎にぶちまける。すると安斎は自分のことをぽつぽつ話しはじめ、楽子は共感を覚えるが即座に安斎に否定されてしまう。安斎は家を出た母が腐らせた糠床のせいで父親に殴られた事を吐き出し、いつも糠みその匂いがする楽子にイラついていたのだった。
ある時楽子は同期の赤星（五十嵐隼士）とその先輩弁護士の中道志織（井上和香）、東海林の4人で飲みに行く機会を得る。東海林と中道は同期というが会ったのは10年ぶりだという。何かあったのではとうかがわせる二人の雰囲気に、中道は先に席を立つ。菅原は酒がまるで苦手なのに勢いでその場の酒をあおり、翌朝まで楽子の下宿で介抱される事となる。やがて、楽子に貴子が安斎の情状証言を引き受けるという知らせが届き、楽子は大いに喜ぶ。しかし貴子は証言の途中で法廷を飛び出していく。妊娠したようだった。被告の妻が妊娠となると情状酌量は取りやすいと菅原一同喜ぶが、再度開かれた法廷で貴子は安斎と離婚して子どもを育てると宣言。自分がこれまで何度も許してきたから安斎は立ち直らなかったと考える貴子の決断だった。そこで楽子は自分の接見中、安斎が26回も「嫁」という言葉を発したとし、いつも安斎が貴子のことを思っていたのではと法廷で明かした。法廷を去る貴子に、安斎は子どもを自分のようにさせるな、貧しさのせいにするなと声を掛ける。貧乏でも弁護士になれた人間がいるんだと安斎は楽子を引き合いに出し、必死のメッセージを貴子に送った。
裁判の結果は実刑8ヶ月だった。執行猶予が取れなかった事を安斎に謝罪する楽子だったが、安斎は晴れ晴れとしたようにしっかり刑期を務め、罪を償ってから我が子を抱きたいと楽子に語った。楽子はうなだれて事務所に戻り、今まで世話になったと菅原たちに頭を下げる。ところが、これまで楽子の採用を頑なに拒否していた東海林が一転、楽子に次の仕事をするように指示した。事務所一の働き手の東海林がOKしたことで菅原も安堵し、楽子は晴れて菅原法律事務所の一員として次の仕事を手掛ける。


プレミアムドラマ「そこをなんとか」第2回は28日（日）よる10時から放送。予告動画はドラマ公式サイト「予告」で視聴出来る。

そこをなんとか｜NHK

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