出足好調!映画『感染列島』、ヒットの理由は“命の共生”というテーマ

2009年01月18日17時05分映画

1月17日(土)に全国324スクリーンで公開となり、主演の妻夫木聡、檀れい、藤竜也らが日比谷スカラ座で初日舞台挨拶を行った映画『感染列島』は、既に満員の劇場続出で大ヒット記録樹立に向け好調な出足を切った。

映画『感染列島』は、公開前よりその企画内容の独創ぶりが話題になり、世界20数カ国から配給オファー及びリメイク権のオファーが示されたことは、前にも述べた。(既報・12月7日の記事
昨今、現実に我々の世界でも展開しているインフルエンザの驚異的な流行からも押してはかれるように、映画『感染列島』が警鐘を発する感染爆発(パンデミック状態)は、いますぐそばで起こり得る極めてアクチュアリーな問題だ。主演の妻夫木聡が語ったように“ただのパニックムービーではない”のである。映画が好調な要因のひとつも実はそこにある。この映画には“命の共生”という奥深いテーマが隠れている。でも、いったいそれはどういうことなのか?

人間は高度な文明社会、都市社会を築きあげるために、数多くの生態系を徹底的に破壊、生態バランスの秩序を極端に乱し続けてきた。その偏った均衡の崩壊は疫学的に言うウィルスの宿主の転換・飛躍を導き、かつての黒死病(ペスト)、コレラ、スペインかぜなどの悲劇的なパンデミックを文明社会にもたらした。ひとたびバンデミック状態が発生すれば、都市機能は直ちに停止する。映画『感染列島』で描かれる我々の生きる高度な医療技術が存在する都市社会であっても同じだ。自然現象の脅威を前にして、人間はなすすべを持たない。映画『感染列島』は、そういった人間存在の無力さ・儚さを描くのみならず、自然体系を破壊し続けてきた人間のエゴイズム、また根本的に遡って突き当たる自然とヒト、総合的に考えた“命の共生”とは何なのか?そういった命題を問いかける。

またドラマ中に展開する豪華キャストらによる医療シーンも極めてリアリティーの高いものになっている。専門性の高い医療に関する台詞の応酬や、ハイテク機器の使用方法など含めて相当なトレーニングをこなしたことが伺える役者陣の身のこなし方は、バンデミックという危機に瀕した医師たちの戦いの臨場感をとても正確に描写する事に成功している。こういったディティールなくして、壮大なテーマを掲げる映画はリアリティーを獲得できないゆえ、監督・脚本を手がけた瀬々敬久が徹底的にこだわったのだろう。映画全編に漂う貫徹されたリアリズムへのこだわりはこの映画の大きな魅力だ。

また、映画『感染列島』のオフィシャル・チャンネル、“感染ゼロキャンペーン”では、一連の映画のキャンペーンの一環として出演キャスト、ダンテ・カーヴァーによる新型インフルエンザの感染症から家族を守る10の方法“感染予防講座”を動画にて展開。とてもわかりやすく実践的な解説なので、そちらも見逃せない。“いまできること”を真剣に考えることはとても有用なことだ。

映画『感染列島』の世界、それは決してスクリーンの向こう側だけの世界ではない。現実的に直面し得る脅威の“実景”なのだ。

映画『感染列島』公式サイト
映画『感染列島』オフィシャルチャンネル:感染ゼロキャンペーン