Google、軍艦島のストリートビューを公開、撮影風景を動画で紹介

2013年06月28日19時00分暮らしと文化

Googleは、長崎県長崎市高島町端島(軍艦島)のストリートビューを6月28日から公開した。
軍艦島は、長崎港から約19kmの海上にある小さな半人工島で、明治から昭和40年代までは炭坑として栄え、日本の近代化を支えてきた。島影が戦艦「土佐」に似ていることから、軍艦島とも呼ばれている。
軍艦島は、明治時代になって石炭が採掘されるまでは南北約320m、東西約120mの小さな瀬だった。しかし、1886年(明治19年)に本格的な採掘が始まると埋め立てによって徐々に大きくなり、昭和初期までの6回の工事により、南北約480m、東西約160mまで拡大している。
大正時代に入ると、次々と高層住宅が建設され、1916年(大正5年)には、日本で初めてとなる鉄筋コンクリート造の高層アパートが建てられる。その後も、幼稚園、学校、病院などが整備され、昭和30年代の最盛期には5000人以上が住み、人口密度も世界一となった。
しかし、主なエネルギーが石炭から石油へと移行したことにより石炭業は衰退し、端島炭坑も1974年(昭和49年)に閉山され、無人島となった。
建物の老朽化が進み危険なことから、島内への立ち入りは禁止されていたが、2009年4月から観光客が上陸して島内の一部ではあるものの見学できるようになっている。
また、2009年1月、「九州・山口の近代化産業遺産群」の一部として世界遺産暫定リストに記載された。

Googleでは、今回、長崎市の協力により、立ち入りが禁止されているエリアを含め島全体を撮影。撮影には、バックパック型の撮影機材トレッカーを用い、約2時間程度、島内を歩いて撮影した。
YouTubeの「軍艦島をストリートビュー」では、その際の様子が美しい映像と音楽により紹介されている。
大倉若葉プログラムマネージャーのブログ記事によると、「かつて人々が行き交った集合住宅の階段には、今では青々とした緑が茂り、南国風の低木にまぎれて美しい白いユリが花を咲かせています。
階段をのぼり、緑のトンネルを抜けると、島を一望できる神社付近に出ることができます。高い空と青い海に囲まれた静かな景色の中、海風に吹かれて剥がれたコンクリート片がパラパラと落ちる音が聞こえてきます」と感想を記している。

YouTube「軍艦島をストリートビュー」
Google日本Blog「“軍艦島をストリートビューで歩いてみよう”」

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