ＴＢＳが運営する動画配信サービス「TBSオンデマンド」は、ウィル・スミスが魂のボクサー“モハメド・アリ”に扮し、その不滅の生き方を追うマイケル・マン監督の感動の人間ドラマ大作、映画「アリ ALI」の配信を開始した。


「不可能とは、現状に甘んじるための言い訳に過ぎない」 この有名な名言を後世に残した偉大なる伝説のボクサー、モハメド・アリ。そのファイティング・スタイルが「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と形容されたことは、あまりにも有名だ。そんなモハメド・アリの本名はカシアス・クレイ。1964年、ソニー・リストンを破り、若干22歳の若さで世界ヘビー級チャンピオンとなった青年カシアス・クレイは、タイトルを獲得した翌日突然、黒人イスラム教団体“ネイション・オブ・イスラム”へ入信し、“モハメド・アリ”(賞賛されるべき人)に改名すると発表し、世間に驚愕と反発を与えたのだった。

だが、アリは言った。
「俺はみんなのチャンピオンになるつもりだ。でも君らの望む人間になる必要はない。自分がなりたい自分になるんだ。僕が何をどう考えようと自由なんだ！」
これは、映画「アリ ALI」の中でしっかり描写されている。

ある人間は、こうしたアリの発言をエゴイズムだと語る。確かに、それはその通りかもしれない。しかし、アリの持つ精神の自由さ、何者にも媚びない気風のいい態度、その全ては人々を惹きつけてやまなかった。まさにアリは時代が要請したヒーロー。ウィル・スミスは、この信念と自由の男モハメド・アリを、乗り移ったかのようなエネルギッシュな演技で生き生きとスクリーンに蘇らせた。

アリはタイトル取得後、圧倒的な強さと勢いで、9回の防衛に成功。美しいソンジーを妻に迎え、未来は順風満帆に思えたが、ターニングポイントが訪れる。ベトナム戦争の開戦だ。しかし、アリは自らの信条を貫き、ベトナム戦争への徴兵を拒否。アメリカ国家への反逆罪で起訴され、チャンピオンの地位を剥奪され試合に出場することさえ禁じられてしまうのだ。映画の中でウィル・スミスは、ボクサーとして最も充実した時間を奪われてしまったアリの悲痛なまでの苦悩を熱演する。無駄に過ぎていく日々。社会的地位が失われると同時に彼のもとから去っていく人々。ウィル・スミス＝アリの苛立ちは最高潮に達する。有罪判決を覆そうと格闘し続け、ようやくチャンスが再び訪れた時、3年のブランクという無情な時の流れは彼の卓越した力を奪い去っていたが、ザイールのキンシャサでハードパンチャー・ジョージ・フォアマンとの伝説の試合を迎える。

マイケル・マン監督は、どうしてこれほどまでに「男」を描くのが上手いのだろうか。「ヒート」「インサイダー」「マイアミ・バイス」といったマイケル・マン監督作品でもその描写の上手さは卓越した。そんなマイケル・マンは本作「アリ ALI」において、人種差別問題、ベトナム戦争問題にまでメスを入れ、時代を駆け抜けたモハメド・アリの姿を真実を求める男として描いた。たんなるボクシング映画ではない。たんなるヒーロー伝記映画ではない。この作品にはヒューマンドラマとしての圧倒的力感が漲っている。だからこそ、人間モハメド・アリの生き様が深く胸を打つのだ。

◇映画「アリ ALI」
購入価格：420円(税込)
視聴期間：購入より7日間
監督：マイケル・マン
脚本：スティーブン・J・ライベル＆クリストファー・ウィルキンソン、エリック
・ロス＆マイケル・マン
出演：ウィル・スミス、ジェイミー・フォックス、ジョン・ボイト、マリオ・
ヴァン・ビーブルス、ロン・シルバー

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