近松ついに『曽根崎心中』を完成!松尾スズキ主演NHK「ちかえもん」最終回見逃した方のためにあらすじと関連動画
歌舞伎史上、文楽史上最高傑作と謳われた『曽根崎心中』を書き上げた近松門左衛門(松尾スズキ)!お初(早見あかり)徳兵衛(小池徹平)若い2人の死が人々に感動の涙を与えた…のだが!?そして万吉(青木崇高)の正体がついに判明!?NHK総合「ちかえもん」最終回は3日(木)放送!NHKオンデマンドで見逃し配信中。
傑作が生まれる瞬間とは、まさに天から才が降ってくるのだろう。NHK木曜時代劇「ちかえもん」は、浄瑠璃作家の近松門左衛門(松尾スズキ)が、後世に残る名作『曽根崎心中』を書くまでの物語。「不幸糖売り」なる謎の男・万吉(青木崇高)と近松の絶妙な絡み具合がバツグンに面白かった。時代劇の固定観念が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちるがごとく、斬新な演出で視聴者を喜ばせた。江戸時代の話だというのに近松は傑作が書けない状態を「スランプ」といい、またある時は「作家としてのプライドが許さない」などと、現代語を平気で使う。毎回、近松による懐かしの昭和歌謡の替え歌が披露され、ネットでは次回は何の曲を歌うのかと盛りあがるほど。
このドラマを見た人からは、著しく高い評価を得ているのだが、残念ながら視聴率はイマイチ。NHKがもっと本腰入れて宣伝していれば、きっと視聴率も上がったに違いない。
腹筋がちぎれそうになるほど笑わせてくれた「ちかえもん」だが、最終回は予想外にホロリとお涙頂戴で幕を閉じた。怪しげな「不幸糖売り」の万吉(青木崇高)が、まさか人形浄瑠璃の人形の化身だったとは…。なによりも情けない中年男の哀愁をバンバン出しまくっていた松尾スズキがすばらしかった。
このドラマのすごいところは、登場する人形浄瑠璃がホンモノだったこと。そして太夫としては素人の北村有起哉(竹本義太夫役)の浄瑠璃も、とても素晴らしかった。劇中、人形使いは当代きっての人気者、桐竹勘十郎が務め、竹本義太夫の相方三味線弾きとして登場したのは、竹澤團七。つまり北村有起哉以外は全員、プロの人形浄瑠璃技芸員だったのだ。その中で素人が義太夫節を語るのは…ドラマのためとはいえ、相当練習もされたであろう。その苦労の甲斐があったのではないだろうか。
■最終回あらすじ
徳兵衛(小池徹平)が帰ってこないと平野屋は大騒ぎ。そこに近松(松尾スズキ)がやってきて、徳兵衛とお初(早見あかり)が曽根崎の天神の森で心中を図ろうとしているから、早く行ってほしいと忠右衛門(岸部一徳)に言う。慌てた忠右衛門と番頭・喜助(徳井優)、そして近松は天神の森へ…。しかし時既に遅く、2人の遺体が安置されていた。号泣する忠右衛門を見た近松は、若い2人の死にショックを受け…ムクムクと創作意欲が湧き、寝食を忘れるほどの勢いで『曽根崎心中』を書き上げた。できた原稿を竹本義太夫(北村有起哉)に見せると満足した顔で「5月7日に幕を開ける」と言った。
そして元禄16年5月7日、竹本座で『曽根崎心中』の初日公演を迎えた。ところが近松は何者かに拉致され…気づくと天満屋にいた。そこにいたのは九平次(山崎銀之丞)。万吉(青木崇高)のせいで奉行所の役人をしくじり、店はお取り潰しになった。その後行方不明になっていた九平次だが、近松の前に表れ、刀を振りかざして「私を人形浄瑠璃の登場人物にしてくれてありがとう。物語の登場人物になるのが長年の夢だった」と言った。しかしこの物語では自分が負け犬のままだ、それは許せないと近松に斬りかかるの。そこへ万吉が現れ近松を助ける。逃げた近松はその足で竹本座へ。芝居に感動し、号泣する観客たちを見て満足した近松は、急いで天満屋に戻る。
そこには同心に捕まった九平次がいた。万吉ともみ合い、川に転落したのだがいまだ万吉は行方不明だという。近松は万吉を探すため必死で川をのぞき込むのだが、謝って自分も川に転落。引きあげられた拍子に手にしていたのは、かつて幼かったころ、近松が大事にしていた人形浄瑠璃の人形だった。近松は、その人形こそが万吉だったと知る。傑作を書かせるために、人形が万吉になって助けてくれていたのだ。その甲斐あってか『曽根崎心中』は大ヒット。その後、忠右衛門から証されたもう一つの事実。徳兵衛とお初は生きており、越前で漁師の見習いをしていると知らされた近松。すべて万吉が近松のために仕組んだ大芝居だったのだ。
NHK総合、木曜時代劇「ちかえもん」(全8回)最終回は3月3日放送。再放送は8日(火)午後2時5分より。出演は青木崇高、優香、小池徹平、早見あかり、山崎銀之状、徳井優、佐川満男、北村有起哉、高岡早紀、岸部一徳、富司純子、松尾スズキほか。予告動画は番組公式サイトで公開。NHKオンデマンドにて見逃し配信中。
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