3/6、小津監督の不朽の名作を山田洋次監督がリメイクした『東京家族』放送!予告動画

2016年03月05日21時33分映画
© 2013 「東京家族」製作委員会 | 松竹

昨夜、日本アカデミー賞で、最優秀主演男優賞で二宮和也が受賞したのをはじめ全11冠を受賞した『母と暮せば』の山田洋次監督が、小津安二郎監督の1953年作品『東京物語』をモチーフに制作した『東京家族』が、明日3月6日(日)テレビ朝日「日曜洋画劇場」で放送される!番組公式サイトには予告動画が公開されている。本作は『東京物語』と共にHuluでも配信中。

『東京家族』は、山田洋次監督が監督生活50周年記念として2013年1月に劇場公開された作品。
物語は、瀬戸内海の小島に暮らす老夫婦、周吉ととみこが、東京で暮らす子供達を訪れるために上京。子供たちは、久しぶりの再会で二人を歓迎するが、それぞれ家庭の都合もあり、構ってばかりはいられない。物語は、そんなすれ違う家族の姿と、新しく見つけた絆を描いていく。

本作は、巨匠・小津安二郎監督の不朽の名作『東京物語』をモチーフに描いており、ストーリー構成や会話の内容、登場人物の設定や名前、“小津調”と呼ばれる独特のカメラワークは踏襲しているが、現代版にアレンジされ、しっかりと山田流『東京物語』に仕上がっている。
忠実な物語の中で異なるのは、家族の故郷を尾道から瀬戸内海の小島にしたことと、次男・昌次の描き方。『東京物語』では、戦死したことになっており、原節子が未亡人を演じた。山田監督の『東京家族』では、昌次を妻夫木聡が担当し、舞台美術の仕事をしている設定になっている。妻の紀子は蒼井優が演じている。原作では、未亡人という設定のためか、どこか悲しさを漂わせた紀子を、蒼井がどう演じるのかが見どころの一つだ。そして、小津版にはない、周吉と昌次のかかわり方にも注目したい。

本作は、当初2011年に公開される予定だったが、3月11日の大災害の発生で、山田監督が、もう一度脚本を見つめなおし、次男・昌次と紀子の出会いのきっかけが被災地のボランティアだったことや、周吉の友人の妻の家族が津波で亡くなったことなど脚本に手を加えた。
出来上がった『東京家族』は、原作にはない、現在の日本の家族の在り方を見つめなおす山田監督らしい素晴らしい作品となっている。原作ファンだけでなく、若い方にもぜひお勧めしたい一作だ。

なお、2012年に英国映画協会発行の「サイト・アンド・サウンド」誌で最も優れた小津監督の『東京物語』も本作と共にHuluで配信中なので、2作品を見比べてみるのも一興だ。
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■ストーリー(番組公式サイトより)
2012年5月、瀬戸内海の小島に暮らす平山周吉(橋爪功)と妻のとみこ(吉行和子)は、子供たちに会うために上京した。長男・幸一(西村雅彦)の家で、長女の滋子(中嶋朋子)、幸一の妻・文子(夏川結衣)、そして勘違いから両親と行き違いとなっていた次男・昌次(妻夫木聡)と久々に顔を合わせた周吉ととみこ。家族はにぎやかにすき焼きを囲む。
日曜日、幸一は両親を観光へと連れて行く予定だったが、患者の容体が急変し開業医の幸一は急な往診へ。周吉ととみこは滋子の家に泊まりに行くが、美容院を経営している滋子は忙しく両親をどこにも案内できない。昌次は東京の名所を巡る遊覧バスに両親を乗せたものの、自分は疲れて居眠りをしている。舞台美術の仕事をしている昌次の将来を心配する周吉だったが、昌次はそんな父が苦手だった…。

テレ朝「日曜洋画劇場」番組公式サイト