早くも電子書籍戦国時代、出版界裏事情とは―テレ東WBS動画
iPadの登場を受けて大手出版社が次々と電子書籍発売に踏み切っている一方で、出版社を通さずに著者がダイレクトに電子出版を手がける動きが盛んになってきている。その最新の動きを追ったリポートの動画が、テレビ東京・ワールドビジネスサテライトの公式サイトに配信されている。
出版社の仲介を省き、著者がフリー編集者と手を組んで直接電子書籍ベンダーにコンテンツを流す方法は、アメリカで盛んに行われている。従来の紙の書籍の場合、流通マージンを差し引かれて著者に入る印税は10%がせいぜいのところ、アマゾンのキンドルなどで直接流す方法をとれば、70%手にすることができるとされるのが大きい。
実施には販売促進の費用が省かれている分、紙での出版と同じような売れ行きが保証されるわけではないが、固定ファンを持つベストセラー作家などにとってはかなり有利に働くのではないかとも見られている。
しかし、高率印税目当てだけではなく、自分の持つアイデアなどを手軽に出版物にできる電子書籍の魅力にひかれ、中間業者を省いてこの世界に飛び込もうと考えるクリエーターは増えている。電子出版に必要な知識を身につけるビジネスセミナーも多く開かれ、いずれも盛況となっている。参加者の中には大手出版社の社員の姿も。セミナーの講師を務め自らも電子出版ビジネスを手がけるアゴラブックスの田代真人氏は、「(セミナーに参加している人は)どうしたらいいか分からない。でも何もせず立ち止まるのではなく一歩ずつ前に進もうというところ」と、現段階の感触を語る。
一方田代氏は、電子出版には別の問題があることを指摘する。iPadやキンドルなど、特定の企業が提供するデバイスに頼った出版では、提供企業の意向をどうしても無視できなってしまうというわけだ。
早くも戦国時代を迎えたといわれる電子書籍。出版界全体の覇権地図はどう塗り替わっていくのだろうか。
iPadで到来 セルフ出版の時代? テレビ東京・ワールドビジネスサテライト