【女官時代②】(第6話~第28話あたりのネタバレあり)
ストーリーの魅力で、「チャングム」は「オカルト→サスペンス→ミステリー→アクション→純愛→ホームドラマ」全ての要素が詰まったドラマだと紹介したが、これらの根底にあるテーマは“愛”だ。親子愛、師弟愛、男女の恋愛、友愛・・・。中でも、師弟愛がスバラシイ!
ことあるごとに“チャングムのスタッフは愛を描くのが苦手”と公言してきたが、これは“師弟愛”の出来が良すぎたからかもしれない。これには“親子の愛”さえも霞んでしまったほどだ。
チャングム&ハン尚宮、ヨンセン&チョン尚宮、そして敵ながらグミョン&チェ尚宮。どれもすばらしい。これまで男性の師弟愛を描いたドラマはたくさん見てきたが、女性&女性の師弟愛はあまりお目にかかったことがなかった。どちらかといえば、師弟愛は男性に任せ、せいぜい男女の師弟愛を描いたものくらいだろう。それも男女の師弟愛は途中恋愛に変わるものが多く、女性の愛は、もっぱら親子愛と男女の恋愛を描くことに力を入れてきたようだ。そもそも歴史ドラマの「女人天下」など大奥モノと呼ばれる“宮廷絵巻”以外で女性が主役のドラマはこのチャングムが初めて。加えて女性の描き方まで大きく変えたこのドラマが、アジア圏内を席巻したのもうなづける。
ここに挙げたそれぞれの師弟愛は本当に感動モノだ。もっとも、チャングムが医女になってからも新しい師弟愛が誕生するのだが、まずは、この時代の胸が締め付けられるほどの切ない師弟愛を堪能していただこう。どれもここでネタバレしてしまうのはもったいないので、どうしても書かずにいられない、チャングム&ハン尚宮のイチ押しだけの紹介にとどめよう。
女官時代の最後、チャングムはハン尚宮とともに無実の罪で捕らわれる。ここで、ドラマで良く見る拷問が始まる。拷問に耐えかねた事件の関係者が嘘の自白をして、チャングムたちは罪人となってしまう。観念したハン尚宮は何とかチャングムを助けようと自分が全ての罪をかぶることに・・・。まずここでティッシュ半箱は用意しておこう。次に、罪人となった二人が済州島に向かう船まで延々歩いて行くシーンだ。この道中、激しい拷問で心身ともに極限状態だったハン尚宮がいよいよ歩けなくなる。チャングムはそんな師を負ぶって船まで歩くのだが、華奢なチャングムがハン尚宮の命の灯を消さないために、息も絶え絶えずっと話しかけるのだ。しかし、遂に力尽きたハン尚宮は一言を残してあの世に旅立ってしまう。28話の冒頭の場面なので、師がどんな言葉を残したかをしっかりお聞き留めいただきたい。
このシーンは先ほどのティッシュ半箱では足りないから、もう一箱用意しておくことをおすすめする。さて、済州島は、イ・ビョンホン&ソン・へギョ主演「オールイン 運命の愛」や、キム・ソナ&ヒョンビン主演「私の名前はキム・サムスン」で登場する美しい島で、今では新婚旅行のメッカとして有名だが、当時は遠く離れた孤島で、島流しなどの地として使われた。
あまりに切ないシーンだったんで、今度はうれし涙のでるイチ押しシーンを紹介しよう。物語はさかのぼって、24話~25話。チャングムが母の親友が水刺間で働いていると信じ、何とか会おうとする。ハン尚宮も女官の中に親友ミョンイの娘がいることを確信し探し回る。お互い秘密の場所に駆けつけるのだが、残念ながら行き違い・・・。やっとめぐり会えてお互いが信頼しあっているチャングムとハン尚宮だと知る場面だ。このときの二人の泣き笑いが実にいい!ここも必見ポイント。
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