【追放編】(第28話~32話あたりネタバレあり)

このチャンドクという人物は島で唯一の女医。相当の腕の持ち主ながら地位や出世にまるで興味のない女性版“赤ひげ先生”のような人物だ。結局チャングムは彼女の下で働くことになるが、チャンドクは偽の薬を高額に売りつけたりなにやら企んでいる様子で、チャングムにはどうも彼女が信用ならない。だが、後に、彼女の企みが島の住民たちのために“真水のろ過装置”を作るためだったと知った。さらに、一度奴婢となった女性がもう一度宮廷に戻る方法は医女になるしかないことを悟ったチャングムは、チャンドクの元で医術を学ぶことにする。
ドラマを観始めて、チャングムがいつ医女になるのかと思っていたが、こんな展開になるとは驚いた。そして、この島でチャングムは懐かしい人物と再会する。チャングムが女官試験の直前に水刺間を追い出され菜園で働いていたころの上官のチョン・ウンベクだ(女官時代①の見どころ参照)。今にして思えば、あの菜園こそチャングムが医女の道を志すことへの伏線だったのだ。とまれ、この人物との再会でチャングムは医術を復讐の手段に選んだことへのジレンマに苦しむことになる。
そういえば、チャングムは医女になる前に一人の男性の傷を治療している。そう、ミン・ジョンホだ!彼がチャングムの患者第1号だったのだ。あの場面も伏線だったのか!全く、このドラマ至るところに伏線が張り巡らされているので、気が抜けない。

ところで、島に渡る前に亡くなったハン尚宮だが、実はもっと前に死ぬ予定だったらしい。ところが、チャングムに迫るほどの人気となった彼女の死を、少しでも伸ばそうと視聴者が声を上げて、10話ほど伸びたというエピソードがある。この延命措置で作ったシーンが、ドラマ最高の見せ場になるとは、恐るべし韓国ドラマ。いや、韓国ファンの力。もっとも、韓国ではファンからの声でストーリーを変える事はそう珍しくない。ドラマの途中でCMを入れないことも視聴者への配慮というから、さすが韓国はドラマ天国だ!
その頃、宮廷では、チェ尚宮が最高尚宮となり、チェ一族はますます栄華を極めていた。
チャングムがめざした医術だが、当時、人の体に触れる職業は卑しいとされており、医女になるのは奴婢などの身分階級のものが多かった。宮廷で働く医女も、尚宮たちの足をもんだり爪を切ったり、また、両班や明からの使節をねぎらうコンパニオン的な役割もさせられていた。中宗王の時代はこれを禁じていたが慣習でまだやっていたようで、ドラマ「ホ・ジュン」でもホ・ジュンに思いを寄せるイェジンが酒席に引っ張り出されている。
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