【医女見習い時代編】(第34話~41話あたりネタばれあり)
医女見習いとして、チャングムはシンピと一緒に宮中の内医院に配属された。水刺間とは管轄違いなので、グミョンたちチェ一族との再会はもう少し後になるかと思ったが、そのときは意外と早くやってきた(35話)。

チャングムにとっては恨みの再会だったが、懐かしい再会もあった。王の寵愛を受けて特別尚宮となったヨンセンや、ミン尚宮とチャンイとの久々の出会いだ。ところがこの3人どうにも元気がない。ヨンセンはお付の女官たちに軽んじられているし、ミン尚宮たちは閑職に追いやられているという。これは、チャングムと関わりのある人間をことごとく排斥しようとしたチェ一族の仕業だった。しかし、チャングムの登場で彼女たちは俄然元気を取り戻す。チャングムは“ビタミン剤”のような女性だ。
宮廷には、菜園時代の上司ウンベクや、修練生時代の鬼教官のシンも内医院に戻っていた。もちろん、愛しいミンもひと足先に都に戻っているし、これで、役者は揃った。いよいよチェ一族の成敗だ!と思っていたところに思わぬ伏兵が待ち構えていた。
これまでのチャングムの敵はいかにも悪者然としていたが、今回の敵、医女ヨリはこれまでとは違うタイプ。彼女は医療の腕も人物も秀でていると、皆から一目置かれる人物。医官といえども、男性は王妃や側室の体に触れることができないので、実際の診断は医女たちの担当。ヨリは若いながらも王妃担当を任されていた。当時の診察は、医女の診断を医官が簾越しに聞くという、なんともじれったい診断方法だ。

医女時代に突入してからは、これまで以上のスピードで次々に事件が起きる。ある事件がきっかけで、提調尚宮の命さえ奪えるチャンスが巡ってくる。チャングムは、医女を目指してからずっと悩んでいた。“医術を復讐の道具にする”ということへのジレンマだ。しかし、この事件がきっかけでチャングムは答えを出す。彼女は、医術を復讐の道具に使うのではなく、医術の力を借りて、チェ一族の悪事を暴き、正当な成敗を受けさせるという方法を選んだのだ。
ヨリの裏をかいた処世術はみごとだが、やっぱりチャングムは、正攻法が似合っている。
ところで、この時期、ドラマ「女人天下」で登場する事件が「チャングム」でもいくつも出てくる。王妃の流産もそうだが、37話の大妃(王の母)と中宗王とのトラブルの原因となった大妃付きの医官選びで話題に上る人物だ。趙光祖という人物で、「虫食いの葉」の事件で描かれた人物だ。「チャングム」では、名前しか出てこない人物だが、燕山君で乱れた世の中を立て直すため、中宗王から厚い信任を浴び、後に、別の派閥の画策にはまり処刑される人物。詳しくは韓ドラここが知りたいの韓国三大悪女「女人天下」⑤を参考に。

「一言断りを入れておけばよかった」「余計な一言を言わなきゃよかった」。人生でもよくあることだ。ドラマ「チャングム」は、人として肝に銘じておかなければならない教訓をいくつも教えてくれる。改めて、このドラマの奥深さを感じてしまう。
しかし、覆水盆に返らず!だ。これがきっかけでヨリの報復はますます激しくなり、ついには、チャングムが疫病地域への派遣を言い渡されてしまうのだから…。
次は、いよいよ最終回! -続きを読む-
