そして、描かれている人間のひとりひとりが実に丁寧だ。韓国ドラマが長編になるのは、それぞれの登場人物を丁寧に描いているためで、そのおかげでドラマには魅力的な人物がたくさん登場する。「善徳女王」も全62話の中に魅力的な人物がゴロゴロ登場している。他の誰かを主人公に据えても素晴らしいスピンオフドラマが作れそうだ。現に、当初の予定から延長された第二部ともいえるラスト12話に関しては、ピダムを主人公にしたスピンオフと言ってもいいかもしれない。
しかしこれまでにも、延長したためにドラマが間延びした作品はいくつもあった。筆者の韓ドラ仲間も、それを心配して、第二部を観るまでは文句をたれていた。ところが、出来上がった作品を観て驚いた!あのミシルのカリスマや最期の毅然とした死さえもかすんでしまうほどの、壮絶なピダムの愛と死が描かれていた。「トンマンまで後○○歩」では、一緒にカウントダウンした視聴者もいたのでは?
第一部とはドラマのテイストも随分違っており、1本のドラマで2タイトルを見たようなお得感も味わえた。もっとも、ユシンやアルチョンファンには少々物足りない気がしたかもしれない。できることなら、「三韓統一を果たしたチュンチュとユシン」とか、「アルチョンの忠義」、「亡国の王子ウォルヤ」、「ミシルを愛した男たち」…なんて、スピンオフをどんどん作って欲しいものだ。
実際にはそうもいかないだろうから、ここからは、見どころ紹介で描ききれなかった魅力的な人物の愛について紹介しよう。
第一部は、トンマンとユシンの愛、第二部はトンマンとピダムの愛が中心だったドラマ。他にも「チョンミョンのユシンへの愛」と「ミシルとサダハムの愛」については見どころで詳しく紹介した。ここでは、「ミシルとソルォンの愛」と「チルスクのソファへの愛」をふり返ってみたい。
■ミシルとソルォンの愛
ソルォンといえば、ミシルの愛人にして最高の参謀。第7代の風月主も務めた文武両道、眉目秀麗の人物。若い頃のこのカップルかなりイケていたはず。ミシルを愛した男はたくさんいたが、彼ほどミシルの善も悪も含めて包み込んだ愛を見せた人物もいなかったのでは?トンマンは、唯一ピダムの前で弱音を吐き、女としての素顔を見せたが、ミシルにとってのピダムがこのソルォンだったかもしれない。ミシルは自分の男たちに対して毅然と接していて、「○○公」と呼んだが、「ソルォン郎」と呼ぶ場面がある。何も言わないミシルの心の内を知り、ミシルに意見をしたのも彼だけだった。しかし、ソルォンとピダムが大きく違っていたのは、ソルォンはミシルに信頼されているという絶対の自信があったことだ。このあたりはユシンのトンマンへの信頼愛に近いかもしれない。
結局、ミシル亡き後、夫のセジョンはとっとと引退したが、ソルォンはミシルの意思をついで政争のど真ん中に留まった。
■チルスクのソファへの愛
チルスクも哀れな男だ。ミシルの命を受けて15年間もトンマンを探し回り、捕らえる寸前で視力を失った。「何故、ここまでしなくてはいけないのか?」悩んだだろう。そんな自分の身の上に照らし合わせたのがソファだった。一介の侍女がいきなり王女、それも命を狙われている赤子を託され、女手ひとつで育てさせられたのだ。二人の人生には自分というものがない。あるのはいつも主君の命。そんなチルスクが、賭けに出たのがソファだった。ソファが自分の想いに答えてくれたら、ミシルを捨ててソファと二人で自分を生きてみようとした。しかし、ソファはその愛を受け入れなかった。「そりゃそうだ」という声も聞こえてきそうだが、もう少し時間を置けばソファの心も動いたかもしれない。それともソファは明るく癒してくれるチュクパンを選んだだろうか?筆者としては、チュクパンと添い遂げて、トンマンの義父母のような関係になって欲しかったが…。
ところが、チルスクは愛するソファを自らの手で殺めてしまうことになる。こうなれば、「行くところまで行くしかない!」となったのも頷ける。「ミシルの乱」は、結局「チルスクとソクプムの乱」として歴史に残った。このおかげで、ミシルについての史実はほとんど消されてしまうことになった。
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