「王女の男」でスンユが認めた恋文の文字は?韓国史劇でハングルがあまり出てこない理由。ドラマ予告動画

2012年07月21日23時18分ドラマ
訓民正音  画像:ウィキペディアより

韓ドラの影響で、「韓国語学習熱」が高まる一方だが、韓国語を書き記すハングルが創られたのは朝鮮王朝4代の世宗大王の時代。朝鮮王朝系図で確認してみよう。ということは、「王女の男」はもちろん、「宮廷女官チャングムの誓い」「イ・サン」の時代には、当然ハングルは存在する。ところが「王女の男」の第1話の予告動画でも見られるが、当時の手紙はほとんどが漢文。第3話では主人公がヒロインに向けて、まるで恋文のような手紙を認めるシーンがあるが、これも漢字の羅列…漢文だ。では、なぜ、ドラマの中では漢字ばかりがクローズアップされるのか?今回はそんな不思議について考えよう。

1443年に第4代王・世宗によってハングルが創成されるまで、朝鮮では文字を書き記すのは漢字しかなかった。ところが当時漢字の読み書きができたのは、一部の知識人や特権階級の両班たち。ドラマの中で、漢文の“お触書(告知文)”が登場し、「オイ、だれか文字の読める奴はいないか!」なんて呼びかけている場面がよく登場する。名君の世宗は、これを憂いて「誰にでも読める文字を創ろう!」と呼びかけ、集賢殿という研究機関を設け、そこに優秀な人材を集めた。集まったのは、「王女の男」にも登場するシン・スクチュ、イ・ゲ、ソン・サンムン、そのほかチョン・インジ、カン・ヒアンといった当時の秀才たち。彼らが知恵を出し合い、1446年ついにハングルを完成させる。“ハングル”というのは“偉大な文字”という意味。当時は民を教え諭すという意味から“訓民正音(フンミンジョンウム)”と呼ばれた。

しかし、1504年、第10代王・燕山君の暴政を誹謗するハングルの貼り紙が各地で発見されたため、燕山君はハングルの教育や学習を禁止し、ハングルの書籍を焼却、ハングルを使用する者を弾圧した。第11代王・中宗の治世では、ハングルの使用は禁止されることなかったものの、ハングルが“訓民正音”つまり、民のための文字という認識があり、知識人や両班たちの特権意識がハングルを卑しい文字“諺文(オンモン)”と呼んで冷遇したのは変わらず、結局、ハングルは女性や僧、庶民が使う文字となった。実際に、ハングルが公文書に使われることになったのは、甲午改革の一環として1894年11月に公布された勅令1号公文式において。なんとハングル創製から450年も後になってから。

ちなみに16世紀にはホ・ギュンによってハングルで始めて小説「洪吉童(ホンギルドン)」が書かれ、18世紀には「春香伝」といった作品が世に出た。

王女の男(C)KBSところで、集賢殿に集った超エリートのシン・スクチュ、イ・ゲ、ソン・サンムンは、「王女の男」ではどんな役で登場するのだろうか。これについてはキャストのコーナーで紹介するのでお楽しみに。

ドラマ「王女の男」第3話は、NHKBSプレミアムにて22日(日)夜9時から放送。予告動画と前2回のダイジェストは番組サイトで視聴できる。

NHKBSプレミアム「王女の男」番組サイト

kandoratop【作品詳細】【「王女の男」を2倍楽しむ】

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