3月2日のベルリンフィル・ライブはホリガー指揮によるシューマンの第1交響曲ほか

2009年02月27日12時00分音楽
Berliner Philharmoniker

この1月からベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は「Digital Concert Hall」として、ホールから公演のライブ配信とオンデマンド配信を有料で開始している(=既報)。

3月2日(月)午前4時(日本時間)からのライブは、ハインツ・ホリガーの指揮で、シューマンの「交響曲第1番変ロ長調《春》」と「ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲ハ長調」、それにツィンマーマンの「アラゴアーナ」「ヴァイオリン協奏曲」が演奏される。ヴァイオリン独奏はトーマス・ツェートマイアー。

ロベルト・シューマン(1810-1856)の「交響曲第1番」は"交響曲の年"の1841年、シューマン31歳のときに作曲された。前年1840年9月に彼は9歳年下のクララ・ヴィークと苦難の末に結婚し、ライプツィッヒ郊外に新居を構え、幸福の絶頂期にあった。この結婚を境に彼はそれまでのピアノ独奏曲中心の作曲から歌曲など他の分野に手を広げ、作曲家としての新境地を切り開いてゆく。
かねてから交響曲作曲の意欲を抱いていたシューマンは、ドイツ詩人アドルフ・ベットガー(1815-1870)の詩『汝、雲の霊よ』にインスピレーションを受け、それまでの交響曲の構想を破棄してわずか4日間でスケッチを終え、1か月という短期間で完成した。この時期の幸福感を反映してか、曲は明るいムードに溢れている。当初は自ら「春の交響曲」と呼んで各楽章に「春のはじめ」「たそがれ」「楽しい遊び」「たけなわの春」という標題をつけていたが、楽譜出版時には標題から先入観をもたれることを嫌って取り去った。しかしタイトルだけは今でも「春」と呼ばれている。
「ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲ハ長調」は、その12年後の1853年、クララ34歳の誕生日に贈られた楽譜の中にあったとされる作品で、同じ年に完成させる唯一のヴァイオリン協奏曲に似た暗いムードを湛え、「春の交響曲」とは好対照をなす曲である。

当日のコンサートではシューマンの2曲に先立って20世紀ドイツの作曲家ベルント・アロイス・ツィンマーマン(1918-1970)の「アラゴアーナ(ブラジル風奇想曲)」と「ヴァイオリン協奏曲」が演奏される。前者はブラジルのリズムを基盤としたバレエ音楽で1550-1955年作曲。後者は3楽章からなる1950年に作曲された作品だ。

指揮のハインツ・ホリガー(1939-)はスイス生まれで、日本ではオーボエ奏者としてのみ有名だが、1960年代から作曲家としても活躍。独奏のトーマス・ツェートマイアー(1961-)は、オーストラリア出身のバイオリニスト・指揮者。ともに古典派から現代音楽まで幅広いレパートリーをもつ。

配信開始:3月2日(月)午前4時(日本時間)
視聴方法:ナビコン記事を参照、視聴のためのアカウント作成やチケットの購入方法を詳しく説明している。

ベルリン・フィル「Digital Concert Hall」