ブルドッグの持つ厳しい宿命「いのちドラマチック」動画-BShi

2010年04月06日06時40分暮らしと文化
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この春からスタートしたNHKBSの新番組「いのちドラマチック」4月7日(火)放送回では人間が改良を加えた事で帝王切開でしか出産できなくなったブルドッグを特集、PR動画を公開している。
この番組は分子生物学者の福岡伸一(40)をコメンテーターに迎え、自然の進化だけでなく人が関与して生まれた生命たちについて取り上げるサイエンス系教養番組である。福岡は科学書としては異例のベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」の著書でもあり、最近ではナビコンの記事でも取り上げたCMに出演するなどメディアからも注目される学者である。福岡による専門的な解説をより分かりやすく引き出すのは、司会の劇団ひとり(33)とNHKの井上あさひ(28)アナウンサー。この3人体制で、毎回「ヒトが作った”いのち”」を取り上げて、その誕生によってもたらされた恩恵やドラマを伝えていく。

番組では既にカイコとミツバチを取り上げており、どちらも人間の生活に欠かせない存在となった生命とヒトとの関係を報告してきた。今回取り上げられるのは、人間の家畜として最も親しまれている犬の中でも、独特の外見で人気の高い「ブルドッグ」にスポットを当てている。余程の犬好きでなければあまり知られていないが、ブルドッグは帝王切開でしか出産が出来ないという重い宿命を持った犬である。人間が求める品種を生み出すために800年の歳月をかけて選び抜かれた個体の交配によって作り変えられてきた結果、現在のような姿を持って生まれてくることとなったブルドッグ。改良当初は闘犬として求められ、その後は愛玩動物としてより外見にこだわって作り変えられてきた犬。自然発生では生まれなかったであろう犬は、生物としては脆弱な点を多く持つ事になってしまった。飼い犬として育てる際にも夏場の温度管理、運動をさせすぎてはいけないなど様々な注意が必要であるが、生物として決定的な弱点は自力で出産が出来ないという点にある。
外見に重視をおいて姿を変えられたブルドッグは、頭が大きく肩幅も広いという体型から、胎児の時点で産道を通る事が出来ない骨格になってしまっていた。自力で子孫を残せないという品種を作り出してしまったヒトの責任を考えさせられてしまう内容だ。
一方、帝王切開でのみ産まれるという事実は希少性を高め、ペット市場でも安定した高値で取引されるという皮肉な幸運を人間にはもたらす。最近ではペット業者が帝王切開による経費の削減を図って頭の小さい品種に掛け合わせようとする現実も裏側にはある、ヒトの欲を一身に背負った悲しい犬種であるとも言える。
カイコ、ミツバチと上手に関係を築いてきた生命の紹介から一転、ヒトが生命に関与する事で生じた重い現実にも向き合う回となっている。

「いのちドラマチック」の「ブルドッグ 帝王切開で産まれるイヌ」は、BShiでは4月7日(水)よる9時30分から放送。翌日のBShiと翌週のBS2にて再放送有り。
番組PR動画は、番組公式ホームページトップに掲載されている。


いのちドラマチック