【最終回】NHK海外ドラマ「アガサ・クリスティー なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」秀逸なタイトル伏線回収に納得!第3話あらすじ

2023年11月12日21時55分ドラマ
© Agatha Christie Productions Limited MMXXII

アガサ:クリスティーの名作をヒュー・ローリーが脚本・監督・出演の3役こなして映像化した「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」NHKBSプレミアム/BS4Kで11月19日(日)21時から放送の第3話(最終回)あらすじと見どころ、豆知識を紹介しよう。(字幕放送有り、吹き替え版は日本初放送)

※以下、ネタバレが気になる方は「■見どころ」を先にご覧になり、あらすじは視聴後の確認用のご参考にどうぞ。



「アガサ・クリスティー なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」は、お転婆な伯爵令嬢と冴えない牧師の息子の幼なじみコンビが、転落死した男の謎を解明しようと繰り広げる冒険とロマンスと推理と三拍子揃った作品。

最終回冒頭でフランキーの事故が単なる事故でないと見抜いたニコルソン博士を演じたのが、本作脚本、監督、出演の3役をこなしたヒュー・ローリーだ。

■キャスト[声優]
17名キャスト・キャラクター・声優一挙紹介(画像付き)

■見どころ・感想


ついにすべての謎が解ける最終話。たくさんの伏線やミスリードがある中、あなたはどの時点で一連の事件の謎が解けるか?タイトルの伏線回収は秀逸で、思わず膝を打ちたくなる。

前回、転落死した男性の本名がアランだと分かったが、最終回で自殺した億万長者サヴィッジとアランが親しいと分かる辺りで、ミステリー好きなら一気に謎が解けるかもしれない。犯人一味もそう思ってフランキーとボビーを監禁する。しかしその時点で2人は何一つわかっていなかった。犯人が2人にミスリードさせられてしまうのだ。監禁されながらそれを自嘲する2人が愛おしい。

いつも強気のフランキーが監禁されて「怖がってもいい?」と甘えたり、死を覚悟したときにボビーが「君を昔から…」と告白しようとしたり、いつものアガサクリスティミステリーとは一味違う楽しみ方もできる。初回で「身分違い」を理由に些細な喧嘩もした二人だが、謎だらけの事件解決が2人の間の壁を取り払ったようだ。

本作では友情エピソードも描かれたが、最終回でボビーとフランキーを助けてくれるのも友情。果たして2人を救ってくれるのは誰か?そんな友情にフランキーがエンディングで見せる太っ腹な感謝もお見逃しなく。車好きは要チェックだ。

また、初回の「見どころ・感想」で「美しい邸宅の庭から始まり、優雅に歩く女性が手にした雑誌でガラスドアの蜂を叩き潰す」とミスマッチなオープニングについて言及したが、最終回を見ればこれがどこの邸宅でその女性が誰かもわかる。



■第3話(最終回)あらすじ


フランキー(ルーシー・ボイントン)の事故が単なる事故でなかったと指摘したニコルソン博士(ヒュー・ローリー)は、今度はロジャー(ダニエル・イングス)に矛先を向ける。職業を問われたロジャーは人生を楽しんでいると答え、兄ヘンリー(マイルズ・ジャップ)は不機嫌に席を立ち博士が後を追う。

フランキーは博士の妻モイラ(メイヴ・ダーモディー)にサナトリウム施設について探りを入れるが、施設には関与していないと答え庭に出る。そしてボビーに、夫が自分とヘンリーを殺害しようとしている話し、博士がヘンリーの妻シルヴィアに恋しているからと続ける。また本当はアランを知っていて、彼はモイラを助けようとしていたと打ち明ける。

ロジャーは最初からフランキーを疑っていた。そんなロジャーに「なぜ写真をすり替えたのか」と訊くフランキー。「友人=モイラがゴシップに巻き込まれないために捨てた。2枚あったのでは?」と答える。転落死したアランや妹を装ったケイマン夫妻については知らないと言う。

シルヴィア(エイミー・ナトール)は夫ヘンリーをサナトリムに入院させることを決意するが、その時銃声が聞こえ鍵のかかった書斎の中でヘンリーが死亡していた。鍵はヘンリーのポケットの中。

邸宅を出たフランキーとボビーは宿で朝食。ヘンリーの死は状況から自殺を疑うしかないが、そう決めるのはまだ早い。博士を疑うボビーはひとまずモイラを助けると決め、フランキーも渋々同意する。ボビーは、ヘンリーの家でアランと同じ赤インクのペンを億万長者のサヴィッジからもらったと聞き、アランとサヴィッジの接点を考えたが、フロントに2人が仲良く並んだ写真を見て親しい関係だったと分かった。

ボビーたちはサナトリウムへ。だがモイラはロンドンに行って不在だった。博士から定宿を聞き出し帰ろうとするが、車のワイヤーが切断されていた。ひとまず坂を利用してサナトリウムから出て応急修理で急場をしのぐ。

ヘンリーが遺言書を残していないことが気になるフランキーに対してボビーはモイラのことで頭がいっぱい。博士がモイラを監禁してるかもしれないと疑うが、フランキーは博士の様子からその心配はないと考える。

自分をつけ回していた謎の男がサナトリウムで働くエンジェル(ニコラス・アズベリー)だと分かったボビーは、ロンドンに行くフランキーと別れてここに残ることに。

フランキーはアランの荷物を確かめるために海陸軍クラブへ。荷物の中身はサヴィッジからの大量の手紙。「真実の愛を見つけた」「ローズは財産に興味はない」などほとんどがローズ・テンプルトンへのアツい想いが綴られていた。すぐにボビーに電話するが連絡が取れない。その頃ボビーはサナトリウムに忍び込んでいたが見つかり、エンジェルに薬物注射され監禁されていた。

フランキーは弁護士に会ってサヴィッジの遺言書について聞く。サヴィッジは船上でテンプルトン夫人と出会い恋に落ちた。その後、自分が末期ガンだと思い込み6月に自殺をした。しかし彼はガンではなかった。死因は抱水クロラール※の過剰摂取。さらに遺言書は死ぬ直前に「ローズ・テンプルトン夫人に14万ポンドを残す」と書き換えられていたという。不審点があるものの彼に親族がおらず友人も少なかったことから異議申し立てする者がいなかったという。

※抱水クロラールは、鎮痛剤、睡眠薬など医療用として使用されるほか、農薬の原料としても使用されている。マリリン・モンローの死因の薬品の一つとも言われている。

ホテルに戻ったフランキーにボビーから「チッピング・サマートンのミル・ハウスへ」とメッセージが届いていた。すぐに車を走らせるが尾行に気づく。どうにか尾行をまきミル・ハウスへ到着するが、クロロホルムを嗅がされボビーと共に監禁される。

意識が戻ったフランキーは、サヴィッジについて調べた情報をボビーに話す。ボビーもケイマン夫妻が相続も埋葬も終わったのに留まっていると教える。2人は「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」に答えがあると考える。犯人たちはボビーたちが真相を暴くと恐れたようだが、2人はまだ何もわかっていなかった。

エンジェルがやって来て「全権を博士に託し、神経外科の臨床試験に参加する」とボビーに言わせて録音する。入れ替わって博士が入ってきたが、ボビーはそれが博士でなく変装・声色を変えたロジャーだと見抜いた。

2人が死を覚悟したとき、ドアが破られノッカーが助けにやって来る。フランキーの車を尾行したのはボビーに頼まれたノッカーだった。エンジェルと格闘したノッカーはナイフでエンジェルを刺し、ボビーたちは助かる。

ミル・ハウスはテンプルトンの家だった。ボビーたちは庭師アルフレッドと料理人チャドリーから証言を得ようとするが、高齢の庭師はすでに死亡。チャドリーは「ご主人は死亡し夫人が遺産を独り占め。サヴィッジがよく訪ねてきたが料理人の自分は面識がない。遺言書のサインをしたが、弁護士ではなく夫人に頼まれた。翌日、夫人が庭師を呼んでサヴィッジの遺体を発見した」と多くの証言をしてくれたが、どうにもすっきりしない。

テンプルトン夫人はなぜわざわざ外にいる庭師を呼んだのか?メイドの名前は…エヴァンズ。転落死したアランも同じ疑問を持ったから「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」と疑問を口にしたのだ。

エヴァンズは結婚してウェールズにいた。2人は車で故郷に戻る。車中でフランキーは母の「屋敷のことを知っているのはメイドだけ」の言葉を思い出し謎が解けた。エヴァンズを呼んでいたら、そこにいるサヴィッジが偽者だと気づいたはず。だからエヴァンズに頼まなかったのだ。

ウェールズに着いた2人はモイラを見かける。ボビーが声をかけカフェで話を聞くことに。モイラはロンドンに行かなかった事情を説明し、怯えるように窓の外にロジャーがいると言う。つられてボビーたちも外を見るが誰もいない。紅茶を飲もうとするボビーをフランキーが止め、モイラを「テンプルトン夫人」と呼んだ。

「特権階級のクソアマ!」と悪態をつくモイラをフランキーがビンタ。彼女は2人の気を逸らして紅茶に毒を盛ったのだ。フランキーはエヴァンズが危険だとボビーを先に行かせる。予想通りロジャーがいて格闘するボビーにエヴァンズが花瓶で加勢してロジャーを警官に引き渡す。

収監されたロジャーから計画の全てを聞くフランキーとボビー。サヴィッジの件はモイラの発案。段取りはロジャーがした。モイラは船で出会ったサヴィッジをその気にさせ、ガンだと騙して自殺を勧めた。そしてロジャーがサヴィッジに成りすまし、庭師を呼んで遺体を発見させたのだ。

エンジェルとケイマン夫妻を仲間に引き入れたのもモイラ。サヴィッジの死の真相を探るアランと口数の多いトーマス医師が邪魔になり、エンジェルに殺害を指示した。だがヘンリー殺害はロジャーだった。兄弟は旧約聖書のカインはアベルのように互いに憎み合い殺意を抱いていた。

ヘンリーが殺害されたときの銃声は烏除けの爆竹音。モイラが罪を着せようとした博士は無関係だった。順調だった計画はフランキーとボビーの登場で狂ったと話すロジャーは、2人に「結婚しろよ」と声をかける。「指図は受けない」と怒るフランキーだが外に出てボビーから仮の指輪を薬指にはめられると満面の笑み。

そして二人はウェールズの教会で結婚式を挙げた。

フランキーのお陰でノッカーは正当防衛で無罪放免、不起訴となった。さらに彼の愛車を買い取ってそれをプレゼントするという最高のお礼で感謝を示すフランキーだった。

【放送予定】
BSプレミアBS4K4K
2023年11月5日(日)、12日(日)、19日(日)21時より 全3回
※2か国語放送
BSプレミアム[主:日本語吹き替え ステレオ/副:英語 ステレオ]
BS4K[主:日本語吹き替え 5.1chサラウンド/副:英語 ステレオ]
※字幕放送有り、吹き替え版は日本初放送。

原題:Why Didn′t They Ask Evans?
制作:2022年 イギリス

NHK「アガサ・クリスティー なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」番組情報サイトより)

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