【医女時代編】(41話~最終回までネタばれあり)
親友ヨンセンは、チェ一族の仕業で中宗王から忘れられた存在となっていたが、チャングムの計らいもあり、再び王の寵愛を受け見事懐妊した。これで晴れて“マーマ”と呼ばれる淑媛となったのだ(豆知識参照)。ところが、ヨリの企みでヨンセンと胎児に危険が迫る。チャングムの機転でヨンセンは助かるが、彼女の壮絶な出産シーンは必見。新しい命を誕生させるという偉業が、女性たちのどれほどの苦しみの上で果たされてきたのか、女性だけでなく、子供や男性たちにも見てもらいたい感動のシーンだ。


さて、前回も紹介したように、当時の韓国では、異性の体に触れるのはご法度。ましてや身分の低い医女が、直接、王の玉体に触れるなどもってのほか。せっかく落ち着いたチャングムの身辺がまたまた騒がしくなった。王のとんでもない思いつきはミン・ジョンホのせいとばかりに、彼が槍玉に挙げられる。事実、ミンはチャングムを王の主治医に推薦している。当時、宮廷で女性のキャリアが生かせる場は、女官の世界しかなかった。そして、女官の最高位は王の側室になるということ。なんとも悲しい女性の扱われかたではないか。ミンは、男女の別なく、実力のある者に門戸を開くという新しい王室のあり方を、チャングムの類まれな医術で実現させて欲しかったのだ。
これがきっかけで、ミンとチャングムの熱い仲を確認した王だったが、同時に自分のチャングムへの愛にも気づいてしまった。男のやきもちは女のそれより始末が悪い!♪喧嘩をやめて~二人を止めて~♪というチャングムの声を無視して、王はミンに戦いを挑む。どんな戦いかはドラマで確認して欲しいが、自分もチャングムをあきらめるので、彼女を女としてではなく主治医として認めて欲しいと進言するミンは、ドラマ一押しのカッコよさだ。

ドラマ「チャングムの誓い」は、多くの歴史ドラマの結末がどうにもならないやりきれなさを残したのに対して、実に後味のすっきりした結末にしている、勇気のもらえる作品だ。
イ・ビョンフン監督は、「朝鮮王朝実録」という歴史書に残された一言“王の主治医を務めた大長今”で、この壮大な物語を創り出した。また、キム・ヨンヒョンは、これまで長い歴史の中で男性の影にいた女性を社会という表舞台に引っ張り出した。ドラマ「チャングムの誓い」は、ひとりの女性の一代記を通して、長い歴史の中で女性が抱えてきた多くの問題-家族、出産、恋愛と職業の選択、女性の社会進出など-を浮き彫りにした作品とも言えるだろう。そして、これが「チャングムの誓い」の一番の魅力かもしれない。

長いお付き合いありがとうございました。引き続き、他のシリーズもお楽しみください。
