■ソファの母性愛
ドラマを通してトンマンの成長振りには驚いたが、それ以上の成長を感じたのは養母ソファだ。彼女の侍女時代は、そそっかしくっておおよそ頼りがいのない小娘だった。そんな彼女が生後まもない赤ん

■ムンノの父性愛
一方、ムンノだって生後間もないピダムを託された、立派な養父だ。託されたピダムは、本来なら王位に就けるはずの身分。時は三国時代、偉大な真興王の夢でもある三国統一を新羅が実現するため

ピダムは幼少の頃、恐ろしい事件を起こしている。しかし、この事件は“三韓地勢”というものが何より大事と教え込まれたため起きた悲劇だ。ムンノはこの一件だけでピダムそのものに“悪”のイメージを埋め込んでしまった。
もし、これをトンマンがやったとしたらソファはどうしただろう。トンマンを激しく叱責はしても、心の中ではトンマンでなく自分の育て方が悪かったと己を責めたはず。
■親の愛
親の愛には、どんな時も味方になって無償の愛を注いでくれる母性から生まれる慈愛と、社会とのバランスを考え自活する力を教える父性から生まれる厳格な愛とがある。子育てにはこの二つの愛が車を走らせる両輪のように必要なのだ。
ここでお断りしておくが、便宜上、母性&父性という言葉を使っているが、男性が母性愛を担当しても、女性が父性愛を担当しても、また、一人でその両方を担当してもいいし、親の代わりとなる養育者がそれを担当してもいいのだ。とにかくこの二つの愛がなければ子育ては何処かゆがんでしまうということだ。
トンマンは養母ソファから無償の愛を、砂漠の交易場の宿屋に集まる商人たちから多くの社会で生きる厳しい掟を学んだ。しかし、ピダムには無償の愛を与えてくれる人物がいなかった。無償の愛を受けていないものは、人を信じることは出来ない。自分に自信も持てない。だから、いつ捨てられるかと不安になるのだ。
ソファとムンノの子育てを見て、地域ぐるみで子供に目配りする子育てと、一人孤独にマンションの中で育児書片手にやる子育てを見たような気がした。もちろん、前者がソファで後者がムンノだ。
■ピダムの悲劇
さらに、ここで考えなければならないのは、“三国統一”の夢が、先王の夢であり、ムンノの夢であったことだ。自分で見つけた夢には必ずそれなりの理由がある。道に迷っておまわりさんに助けられて警察官をめざしたり、病弱だったために医者を目指したり、優しい先生にあこがれて教師を目指したり、空が好きで宇宙飛行士になったり…と。ところが、人の“夢”に間借りをしてしまうと“夢の理由”がないものだから夢の形がゆがんでしまう。先王には先王の夢の理由があっただろうが、ピダムにはそれがなかった。だから、トンマンを得るために簡単に夢を放棄したり、裏切られたと思った瞬間、また夢の続きを見たりしたのだ。
ミシルとて、王位に就くというのはトンマンの夢で、自分の夢ではなかった。だから大義にそむいてまでミシルの乱を犯したのだろう。

育てたように子は育つ!
なんと恐ろしい言葉だろう。出来るものならもう一度、一から子育てをやり直したい。いや、自分も育てなおしてもらいたい。と反省したのは筆者だけだろうか?
ところで、ソファを演じたのはソ・ヨンヒという女優。ナビコンでも紹介した「タルジャの春」では、主人公の元彼女役を演じた女優だ。1980生まれで、トンマンを演じたイ・ヨウォンと同い年だ。なんと母娘が同じ年ということになる。韓国ドラマにはこういった年齢詐称(?)のキャスティングが多い。それを違和感なく演じられるのは確かな演技力の裏づけがあってのことだろう。
■最後に
生意気にも子育て論までぶち上げてしまった「善徳女王」2倍楽しむ!はいかがでしたか?2010年3月から9月までの7ヶ月間、シリーズにお付き合いいただきましてありがとうございました。BSフジの放送にあわせた次回の見どころは今後も継続します。
ご意見、ご感想などがありましたらどしどし[サイトの内容に関するお問い合わせ]からお寄せください。
10月からは新シリーズ「鉄の王 キム・スロ」を2倍楽しむ!コーナーが始まります。ユシンを悩ませた伽耶国の王の物語です。どうぞお楽しみに!
-完-(2010.9.23)
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