典膳が見つけた武士の死に場所とは…ドラマ「薄桜記」最終回あらすじ-NHK

2012年09月22日08時00分ドラマ
NHK・BS時代劇「薄桜記」
2012年7月13日~9月27日まで放送

NHK・BS時代劇の2012年7月期「薄桜記」全11回が放送を終えた。これまでに幾度も映像化されてきたこの作品では、市川雷蔵に松方弘樹、杉良太郎といった時代劇の大スターたちが丹下典膳を演じてきた。そして今回、同局の時代劇で幾度も主演を務めた山本耕史が新たな典膳像を作り上げた。時代劇が少なくなる現在にあって、それを担う若手として着実に頭角を現している山本の存在感を示すのが本作と言えるだろう。そしてNHKドラマでは常連とも言える活躍を見せる高橋和也が見せた堀部安兵衛もこれまでに無いキャラクターとして描かれて印象に残った。
時代劇でも忠臣蔵しか知らないという人にとっては、吉良上野介の描かれ方も新しく映るだろう。時代劇における分かりやすい悪役というイメージを覆す、風流の中に独自の武士の美学を持つ人物という位置づけを知ると、その他の「忠臣蔵」関連作品も印象が大きく変わってくるだろう。劇中には谷中をはじめ白金、本所、浅草、両国など現在の東京の地名も度々登場し、江戸時代にはどんな場所であったのかも伺える。物語全体を通して語られる武士の言葉は、現代では忘れがちな謙譲の意を伝える美しい日本語が散りばめられているのも大きな魅力となっている。忠臣蔵はもとより時代劇ファンには必見の正統派作品だろう。
NHKオンデマンドでは最終回を見逃し放送に追加すると共に1話からを特選ライブラリーとして配信、全話がオンデマンドで視聴可能となっている。これまでのあらすじでは省略してきた心を打つセリフの数々を堪能してもらいたい。

■第11回「雪の墓」あらすじ
いつ来るか分からぬ浅野家の討入りに、守りの侍たちは気が緩んで博打に興じる有様だった。そこへ吉良上野介(長塚京三)が茶会の日を変更して12月14日に行うことを決めた。この日は満月であり、月見に塀は無粋であると上野介は侵入防止のための塀を取り払わせた。典膳は上野介の身の安全のため茶会を中止するように上野介に進言するが、上野介にとって茶会とは単なる遊興ではなく心と心を通い合わせる尊い場であると主張した。討たれる事に怯えるよりは、嗜みを持って心にゆとりを持って生きていくとする上野介の心意気を典膳は止めることは出来なかった。壊される塀を案じる千春(柴本幸)に、典膳は月のせいだとうそぶく。月は浅野家の回し者かもしれぬ、と。そして塀が撤去された事を知る浅野側は罠ではないかと身構えた。
茶会当日の早朝、お三(ともさかりえ)が安兵衛からの伝言を持ってやってきた。典膳は安兵衛と谷中の七面社で戌の上刻(19時ごろ)会う約束を取り付ける。この日は雪になりそうな冷え込みであった。上野介は雪見の宴にせねばならぬと茶会の演出に心躍らせていた。茶会の警護のために身支度をする典膳は、千春に浅野の家臣たちが羨ましいと心の内を語った。武士として死に場所を見つけた浅野の家臣たちを妨害する自分こそが邪魔者ではないかと吐き出した典膳は、千春にのみ打ち明けることで雑念を払い、千春だけは守ると誓うのだった。典膳は勘蔵を呼び、出掛ける支度をさせた。居酒屋に行くと告げる典膳に何かを感じた勘助だったが、黙って支度を整えた。そして吉良家を出る前、典膳は二羽の文鳥を逃がすのだった。
そして千春が典膳の部屋を訪れた時、空になった鳥かごを見て典膳の決意を知る。茶会が催されている裏で、千春は勘蔵に典膳の行き先を問い詰める。そして茶会に訪れていた父・長尾権兵衛に駕籠を使わせて欲しいと頼み、典膳を追った。
谷中、七面社。雪が積もり始めた境内に安兵衛は待っていた。傘を差し掛ける典膳に、安兵衛は駕籠を用意しているので場所を変えようと申し出た。典膳はそれを断り、駕籠の行く先を尋ねた。安兵衛は明日の明朝まで身を隠して欲しいと訴え、典膳は討入りが今夜であることを悟った。ならば吉良家で遭おうと断言する典膳に、安兵衛は典膳を斬りたくないと声を振り絞る。自分が討てるのかと典膳は刀を構え、安兵衛と斬り合いになってしまう。そして典膳が安兵衛を追い詰めた一瞬の間、安兵衛の刀が典膳の体に深く突き刺さっていた。これで良かったかと安兵衛に語りかけ、典膳は崩れ落ちる。そして典膳は本懐を遂げよと安兵衛に告げて命を落とす。安兵衛は典膳を抱きしめ熱い涙を流す。そしてその亡骸に簔を着せ傘を差しかけ、手を合わせて討入りへと向かうのだった。典膳が去った後、千春は七面社にたどり着く。そして冷たくなった典膳を見つける。
日は変わり15日、未明。浅野家の家臣47名は吉良邸に討入りを果たす。そして典膳と千春の思い出の場所でもある七面社の前では、二人の寄り添い合うような亡骸に雪が降り積もっていた。


NHKオンデマンド BS時代劇 薄桜記

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