「オクニョ 運命の女(ひと):豆知識」オクニョが暗記していた“経国大典”って?予告動画

2017年05月22日07時00分ドラマ
(C) 2016MBC

NHKBSプレミアムにて好評放送中の韓国ドラマ「オクニョ 運命の女(ひと)」には、“経国大典”という言葉がよく出てくる!これは朝鮮の法典の事で、第4話では主人公のオクニョが補盗庁の茶母の試験を受けて、経国大典の刑典を憶えていたことで試験官たちを驚かせた!今回はこの経国大典について詳しくご紹介しよう。ドラマの予告動画は番組公式サイトで公開している。

■儒教的法治国家を目指した朝鮮王朝
朝鮮王朝は1392年、李成桂将軍(後の太祖)が前王朝・高麗王朝の最期の王・共譲王(コンヤンワン)から譲位の形で王位を継承し、翌年には国号を朝鮮と改め朝鮮王朝が始まった。朝鮮の初期は明の法典“大明律”に倣っていたが、1394年、太祖が開国の功臣・鄭道伝(チョン・ドジョン)に命じて王朝の基本法典“朝鮮経国典”を編纂させた。これによって朝鮮は法治国家としての骨組みができた。“朝鮮経国典”を補完した形でできたのが“経国大典”なのだ。

経国大典■経国大典は建国100年かけた大法典
経国大典は吏典・戸典・礼典・兵典・刑典・工典の六典からなり、第4代王である世祖の命で散らばっていた各種の法典の編纂事業が始められた。1460年に戸典、1461年に刑典ができ、1466年残りの4典も終わり、戸典と刑典の見直しをして1468年1月1日から施行した。しかし、これにはまだまだ不備な点が多いということで、何度も手直しが加わり、第9代王・成宗の代の1485年ついに経国大典が完成した。
※ちなみに、世祖は「王女の男」で描かれたクーデターにより王位についた首陽大君のこと。即位の正当性において疵を持つ王だが、即位後は愛民政策を繰り広げる立派な王として伝わっている。

■経国大典と六典の内容
経国大典は6巻(六典)で構成されており、各分野の法制度が事細かく書かれている。これが朝鮮法治主義の根幹となり、6つの中央官庁(曹)は主要な国務をこれに基づいて処理した。
(六曹については朝鮮王朝豆知識の「◆政治機構と官職の品階制度」参照 )
<吏典:行政や文官人事など>
統治の基本となる中央と地方の官制、官吏の種別、官吏の任命、辞令などに関する事項が設けられている。
<戸典:戸数や人口など>
財政経済と、それに関連した戸籍・祖税制度、禄俸、通貨、負債、商業と蚕業、倉庫と還穀、漁場、塩田などに関する規定と、土地、家屋、奴婢、牛馬の売買と、現代の登記制度に関する立案、債務の返済と利子率に関する規定が設けられている。
※還穀とは、穀物などの収穫できない冬から春の境目に民に貸し、秋に一割の利子をつけて回収した官の穀物のこと。
<礼典:儀式や外交、人事など>
文科、武科、雑科などの科挙に関する規定と、官吏の儀仗(儀式等に使う装飾的な武器)及び外交、祭礼、喪葬、墓地、官印、その他に公文書の書式に関する規定をはじめ、喪服制度、奉祀、立后、婚姻など親族法の規範が設けられている。
<兵典:国防や武官人事など>
軍制と軍事に関する規定が設けられている。
<刑典:法律や訴訟、奴婢問題など>
刑罰、裁判、公奴婢(官奴婢)・私奴婢に関する規定と財産相続法が設けられている。
<工典:土木、建設など>
道路、橋梁、度量衡、殖産に関する規定が設けられている。

朝廷の官位や宮女の身分から奴婢の扱い、冠婚葬祭から刑罰に至るまであらゆることはこの経国大典が基本となった。経国大典は、朝鮮の人びとの統治感と人間観、歴史観を一つにまとめた偉大な歴史的産物であり、彼らの法治主義への願いをうかがうことができる貴重な文化的資産でもあるのだ。

(参考:『朝鮮王朝実録』「第9代 成宗実録」他、『韓国の歴史』他)

kandoratop【作品詳細】【「オクニョ」を2倍楽しむ】

NHKBSプレミアム|韓国ドラマ 「オクニョ 運命の女(ひと)」
 2017.04.02スタート 毎・日21:00-22:00



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