[チャングムの魅力]ストーリーの魅力

特集 韓ドラここが知りたい チャングムの魅力
前回はキャストの魅力について触れたが、今回からはドラマとしてストーリー展開の魅力について紹介しよう。おすすめ隊では、チャングムのストーリーの魅力は次の3つと見た!

まず一つ目は、ドラマが途中からでもたのしめるということ。
ドラマ「チャングム」は彼女の人生を、「誕生まで」「少女時代」「見習い時代」「女官時代」「追放時代」「医女時代」ときっちり分けて構成している。だから、各時代のあらすじさえ読んでおけば、どの時代からでも楽しめる。おまけに、このドラマの中の“語り”と“字幕”が実に効果的に使われていて、難解な宮廷のしきたりや時代背景をうまく説明してくれる。これまで他の歴史ドラマを観て疑問に感じていたことも、「あー、そうなのか」と合点がいくことも多いはず。
こういった手法は日本のドラマでも使われている。橋田壽賀子のドラマがそうだ。代表作「渡る世間は鬼ばかり」では、ナレーションと長い台詞で、途中からでも、また、家事などをしながらでも、画面を見ないでドラマが理解できるような工夫を凝らしている。

二つ目は、万人受けするストーリー構成。
「チャングム面白いよ~」と勧められて見始めた方は、いきなり高貴な女性の処刑場面から始まるオカルトチックな展開に驚かれたのではないだろうか?この事件は、あの暴君・燕山君(ヨンサングン)の生母、廃位ユン氏の処刑場面だ。朝鮮王朝の悲劇はすべてここから始まったといっても過言ではない。(表朝鮮王朝系図の9代王・成宗のふきだしに記した事件だ。この事件については、『王の男』④(おまけ)最終回に詳しく紹介しているので、そちらを先にどうぞ)
この処刑法は「賜薬」。薬を賜ると書くが何のことはない、王様が「あなたは悪いことをしたから、毒をありがたくいただき死になさい」という、ちっともありがたくない死刑執行だ。これに関わったのが、後のチャングムの父・チョンスだった。そして同時進行で、後のチャングムの母・ミョンイの毒殺事件がおきる。こちらは、何やら犯罪のにおいがするハラハラドキドキのサスペンスタッチだ。次に、チョンスの前に何らやミステリアスな人物が現れ、彼に運命の予言をする。そして、ふたりは偶然出会い、チョンスがミョンイを悪者から助けるアクションシーンが入る。その後、ふたりは静かな恋物語を紡ぎ、めでたくチャングムが生まれ貧しいながらも楽しいホームドラマを描く。

ここまでがチャングムの第1話。なんと、たった1話で「オカルト→サスペンス→ミステリー→アクション→純愛→ホームドラマ」と、思いつく限りのドラマのジャンルを網羅している。しかも、どれも手を抜かない丁寧な描き方だ。かくしてドラマを観た人は、第1話にしてチャングムに嵌ってしまうことになるのだ。
チャングムが韓国、日本はもとよりアジア、欧米にまで愛されたのは、まさにこれだ!これだけのジャンルを網羅すれば、誰にでもお気に入りのジャンルのひとつや二つは出てくるだろう。「おニャン子クラブ」や「モーニング娘。」ら、大人数のアイドルグループが大ブレイクしたのと同じ原理だ。

最後に3つ目の魅力だが、これはゲーム的要素があること。
ストーリーは、まるでゲームソフト(RPG)のステージクリアーのように、ひとつの事件が解決すると、また次の難問がやってくる。しかも、ゲームでステージクリアーするとアイテムがゲットできるように、チャングムもひとつの事件が解決するとアイテムをゲットする。ただし、チャングムのアイテムは人間だ。彼女の前に立ちふさがる人物が、彼女のがんばりで力強い“味方”というアイテムになるのだ。こうして、チャングムはどんどんグレードアップしていく。ちなみに、イ監督は一時期テレビゲームにはまって朝から晩までやっていたそうだから、なるほど…。
もっとも、これは、他の歴史ドラマ「朱蒙」や「ソドンヨ」などでも使われている手法だが、チャングムがいたいけな少女だけに効力は大きいはず。


あっぱれ、チャングム!
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kandoratop【作品詳細】【「チャングムの誓い]を2倍楽しむ】
  • 不明

キャスト:イ・ヨンエ、チ・ジニ、ホン・リナ、イム・ホ、ヤン・ミギョン、ヨ・ウンゲ、パク・ウネ、ハン・ジミン、キョン・ミリ
監督/演出: イ・ビョンフン、脚本: キム・ヨンヒョン