東京郊外で小さな薬局を営む吟子（吉永小百合）のもとに、長年音信不通だった弟・鉄郎（笑福亭鶴瓶）突如姿を現した！吟子の一人娘・小春（蒼井優）の披露宴も鉄郎が酔っ払って台無しに…それでも吟子は鉄郎のことが憎めずにいたのだが…NHKBS 5日（土）夜8時半より『おとうと』を放送、予告動画はYouTubeにて公開。

本作は、山田洋次にとって10年ぶり（『十五才 学校Ⅳ』以来）となる現代劇。『おとうと』は幸田文原作で、1960年に市川崑によって映画化されている。本作では、山田洋次による市川崑へのオマージュが込められている。

国民的大女優・吉永小百合の弟役が笑福亭鶴瓶…それを聞いただけで最初は笑ってしまったのだが、本編を見るとそんなことは全く気にならず、作品に引き込まれてしまう。酒癖が悪く、定職にもつかないダメな弟・鉄郎（笑福亭鶴瓶）のことを大切に思う姉・吟子（吉永小百合）。いい加減、こんな弟に見切りをつければいいのに…と思うのだが、これぞ、山田洋次監督が描く家族愛！　と太鼓判を押したくなるほど、吟子、鉄郎姉弟の愛が描かれている。
ラスト、鉄郎が静かに息を引き取るシーンは号泣もの。普段テレビで見る「笑福亭鶴瓶」を完全に忘れさせられた。思い出すだけでも、涙が込み上げてくる名シーンである。
弟思いの姉・吟子に、素直に慣れない鉄郎。それこそが、姉への愛だと気づいたときに、また涙があふれてくる…。

公私ともに鶴瓶と親しいSMAP中居正広がカメオ出演している。どこに出てくるのかぜひ、探し出してほしい。

■あらすじ
東京の郊外で薬局を営む吟子（吉永小百合）は、女手一つで娘・小春（蒼井優）を育てて来た。吟子の夫の十三回忌に突如現れた弟の鉄郎（笑福亭鶴瓶）。役者になると言って家を出て、それっきり音信不通だった風来坊が、小春の結婚を聞きつけ吟子のもとへやって来た。絶対酒は飲まないと約束したのに飲んでしまい、披露宴を台無しにしてしまう鉄郎。親類縁者から厄介者扱いされる鉄郎だったが、吟子だけが鉄郎をかばっていた。しかしある事件がきっかけで、吟子もとうとう鉄郎に絶縁を言い渡すことに。悪態をついて出て行った鉄郎と吟子が再び再会したとき、すでに鉄郎は死の病に…。

【おとうと】（2010）
監督・脚本：山田洋次
脚本：平松恵美子
原作：幸田文『おとうと』（新潮文庫）
音楽：冨田勲
出演：吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮、加藤治子、笹野高史、森本レオ、ラサール石井、池乃めだか、佐藤蛾次郎、キムラ緑子、近藤公園、小日向文世、石田ゆり子、小林稔侍ほか。
『おとうと』DVD&Blu-rayは松竹より絶賛発売中。

NHK BSプレミアムシネマ 12月5日（土）午後8時30分より放送『おとうと』。監督・脚本：山田洋次、脚本：平松恵美子出演：吉永小百合、笑福亭鶴瓶、青井優、加瀬亮、小林稔侍、笹野高史、加藤治子ほか。予告動画はYouTubeにて視聴できる。

◇NHK BSプレミアムシネマ番組公式サイト
◇山田洋次監督、吉永小百合主演『おとうと』予告動画（YouTube）