3/8衝撃ロードショー!『ウトヤ島、7月22日』衝撃の77人殺害事件、試写会感想レポ!あらすじと予告動画

2019年02月13日22時17分映画
(c) 2018 Paradox 

2011年7月22日、ノルウェー首都オスロ近郊のウトヤ島で起きた惨劇を映画化!たった1人のテロリストが69人もの若者を殺害!その緊迫した72分間をワンカットで映像化!『ウトヤ島、7月22日』は3月8日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー。予告動画は映画公式サイトにて視聴できる。

近年希に見る、非常に緊迫した映画だった。その理由として、この映画は事実に基づいて描かれていること。2011年7月22日、夏休みのサマーキャンプを楽しむ若者たちを襲った、未曾有のテロ事件。単独犯としては史上最多の77名(オスロ市内で起きた爆破事件とウトヤ島惨劇)が命を落とした事件が映画化された。

内容がショッキングなだけあって、上映前、しんと静まりかえった試写場。少しだけ緊迫した空気漂う中、いよいよ映画が始まった。冒頭は若者たちが楽しそうにキャンプをしている、和やかなシーン。今どきの子らしく、スマホをいじる子もいればサッカーに興じる子もいる。怪しい白いバンが政府庁舎前に止まり…大爆発が起きる。もうすでにテロ事件は始まった。

utouya爆破シーンの後、ウトヤ島で楽しく過ごす若者たちが描かれる。和やかなシーンの最中、突如鳴り響く銃声に、試写場内の人々の体がこわばる。逃げまとう若者たち、絶え間なく鳴り響く銃声。見ているこちらも、彼らと一緒になって逃げている錯覚に陥る。

何が起こっているかわからない。犯人の姿はほとんど見えない。ただひたすら銃声が鳴り響く。森に逃げ込む主人公カヤと友人たち。地面に身を伏せて息を潜めてじっと耐える…遠くで聞こえる銃声が、少しずつ大きくなる。その音の強弱で犯人が近くにいるかがわかる。

筆者は何度もその場から立ち去りたい衝動に駆られた。スクリーンの中で、恐怖に震える主人公・カヤ(アンドレア・バーンツェン)が、自分の隣にいるような気がした。まるで自分までもがテロリストに殺されそうになっている錯覚に陥った。

この映画には激しい銃撃シーンは一切ない。音楽もない。テロリストが放つ銃声、泣き叫ぶ若者たちの声、彼らの表情だけで観客は一気に作品に引き込まれる。実に斬新な演出だ。

実際に起こったテロ事件は、最初の発砲から犯人が逮捕されるまで72分間続いた。この映画では、その72分をワンカットで映像化。観客は、リアルにウトヤ島で起きた惨劇を、若者たちの視線で目の当たりにすることができる。

そして衝撃のラスト…非常に忘れがたい余韻を残す作品である。視聴してから数週間経った今も、筆者はあのシーンを思い出すことが多々ある。こんなに衝撃的な映画を見たのは、本当に久しぶりだった。

■Netflixオリジナル『7月22日』もオススメ
Netflixではオリジナル映画『7月22日』を配信中。これは映画『ウトヤ島、7月22日』と同じ、2011年7月22日に起きた惨劇をアメリカが映画製作した。

Netflix版は、ウトヤ島の惨劇だけではなく、生き残った人、家族を失った人たちのその後が描かれている。さらに事件を起こしたテロリストの裁判まで描かれている。テロリストは移民に寛大な現政権に批判的な極右。ノルウェーという国家、国民、人種を守るため、他民族を徹底的に排除するべきと主張。

昨今、欧米では他民族を受け入れない風潮が強い。アメリカでは大統領が声高に「アメリカ・ファースト!」と叫んでいる。そのような政治的、宗教的、人種的問題をどう乗り越えて平和な社会を築くかを考えさせられる作品である。『7月22日』と『ウトヤ島、7月22日』両方を見ると、日本ではなかなか報道されなかった事件の全貌が非常によくわかる。

■『ウトヤ島、7月22日』(2018)
監督:エリック・ポッペ
脚本:ジヴ・ラジェンドラム&アンナ・バッヘ=ヴィーク
出演:アンドレア・バーンツェン/エリ・リアノン・ミュラー・オズボーン/ジェニ・スヴェネヴィク/アレクサンダー・ホルメンほか。
配給:東京テアトル
提供:カルチュア・パブリッシャーズ、東京テアトル
2018年/カラー/ビスタ/97年
2019年3月8日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

■あらすじ
2011年7月22日午後5時過ぎ、ノルウェーの首都オスロ近郊にあるウトヤ島では、毎年恒例の行事「ノルウェー労働党青年部」のサマーキャンプが行われていた。

その少し前、オスロ中心部にある政府庁舎で不審な爆発事件が発生。ウトヤ島にいる若者たちにも、そのニュースは伝わった。かすかな動揺が広がる中、カヤ(アンドレア・バーンツェン)は、携帯電話で母に「ここは安全だから大丈夫よ」と伝えた。

テントにいた妹・エミリア(エリ・リアノン・ミュラー・オズボーン)と口げんかしてしまったカヤは、気分転換に友だちと合流。一緒にワッフルを食べていると、遠くから何かが爆発したような音が聞こえた。すると、その音があった方から、大勢の若者たちが猛然と走ってくる。

「逃げろー!」という叫び声を聞いたカヤたちは、事態を把握できないまま、無我夢中で逃げる。絶え間なく鳴り響く銃声は、少しずつカヤたちに近づいていた…。

映画『ウトヤ島、7月22日』は2019年3月8日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー。予告動画は映画公式サイトで視聴できる。

映画『ウトヤ島、7月22日』公式サイト