富士山の科学全13話

富士山の北側斜面で続発している深部低周波地震により、地元自治体・住民はもちろん、全国の注目が富士山に集まっている。山梨県防災消防課では、これを受けて初めての、富士山噴火を想定した防災訓練を準備した。一方、富士山の噴火を理解するためには、基礎的な地学・火山学・鉱物学が不可欠となる。ただ噴火災害を恐れるのではなく、富士山の恵みに大きさに感謝し、科学的に活火山と向き合う必要があるはずだ。番組は、富士山の噴火に備えるための2つの方向性として、科学教育と防災訓練を相互不可欠と考え、両面から取材を進める。科学面では、都留文科大学の地質学教授・上杉さんに溶岩流の作る地形と玄武岩の柱状節理を案内していただき、国土地理院による、富士山地下の重力測定実験を紹介する。又、山梨県による初めての富士火山想定防災訓練を報告、自治体や関係機関の科学技術力も合わせて紹介する。多くの責任ある人々が、子供たちへの火山・防災・環境教育の重要性を訴えているのが印象的である。
  • 上杉陽教授 都留文科大学理科教室、笹本勝相 防災監 山梨県総務部消防防災課、木村勲 重力係長 国土交通省国土地理院、雨宮 修 助役 富士吉田市、小佐野常夫 町長 山梨県河口湖町、足立敏之 参事官 内閣官房・危機管理担当、小山真人 助教授 静岡大学教育学部、小川孝徳さん 富士山火山洞窟学研究会、輿水達司さん 山梨県環境科学研究所・地球科学研究室、鵜川元雄さん 防災科学技術研究所・火山噴火調査研究室
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世界遺産をめざす富士山の環境問題にとって、悩みの種の一つが、年間30万人の登山者の置き土産とも言える、し尿問題。トイレの改善無くして世界遺産の登録もない!と言われているほど深刻な課題なのだ。具体的には、トイレの数が少ない事、臭い事、掘っ立て小屋同然で見た目にも実際にも汚いこと、山腹への放流・垂れ流し方式で、富士山本体の環境問題だけでなく、地下水・湧き水への悪影響がありうる事等だ。本作品は富士山の山頂へバイオトイレを建設したNPOの活動を通して科学技術のあり方と富士山の環境改善を考えるものである。特筆すべき話題は、このプロジェクトの中心となったNPOが、住友建設をはじめとするれっきとした技術者集団であった事である。彼らは、静岡県内の建設土木の企業メンバーをボランティアで募り、「ふじのくに まちづくり支援隊」を設立、NPO法人の資格も取って、富士山のトイレ建設に臨んだ。作品は建設本番・富士山の山頂における1週間の奮闘記であり、バイオトイレプラントの科学解説であり、又、富士急行ボランティア登山隊等によるバイオの資材、スギチップ搬入など、多くの人々の協力の記録でもある。
  • 舟津宏昭さん  NPO富士山クラブ、栗原績さん 静岡県環境部(部長)、高石国康さん 山梨県森林環境部(部長)、荒井正志さん 東陽綱業(株)代表取締役・NPOふじのくに まちづくり支援隊メンバー、広川敏雄さん 広川建設・代表取締役、NPOふじのくに まつづくり支援隊メンバー、神野弘明さん 住友建設(株)静岡支店建築部・NPOふじのくに まちづくり支援隊メンバー、渡辺豊博さん  NPO富士山クラブ/事務局長
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富士山の東西40kmに広がる広大な裾野から、山頂途中・標高2500m(六合目)付近の森林限界までは、様々な生態系が展開しているが、そのほとんどが森林王国ワールド。今回は富士山の森で活躍する人々の姿を通して環境科学を学習する。作品のテーマは4つ。富士山の溶岩流の上に成立したアカマツ林で進められている、地球温暖化と森林の二酸化炭素吸収能力の研究。そして地球観測衛星ランドサットを利用したリモートセンシング技術による、空からの巨視的な富士山森林研究。この研究を担っているのは、山梨県環境科学研究所。三つ目は、生物多様性に立脚しつつ、生態系の遷移を人間の手で早めて富士山本来の巨木の森=極相林を作る活動。この森作りには、森林生態学の専門家と民間NGOが協力している。最後は、適材適所による、林業のための森作り。ここにも、林野庁と民間NPOのパートナーシップがある。富士山の複雑な森林生態系を今日的なテーマで見つめ、理解するための第一歩となる科学番組である。
  • 渡邊定元 農学博士 立正大学環境科学研究所・東京大学総合研究博物館、 中野隆志 理学博士 山梨県環境科学研究所・植物生態学研究室、大塚俊之 理学博士 山梨県環境科学研究所・植物生態学研究室、杉田幹夫 工学博士 山梨県環境科学研究所・環境計画学研究室、仁藤 浪さん  NGO/富士山自然の森づくり、太田眞弓さん  NPO/ふじ環境倶楽部
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富士山の周辺に暮らす人々にとって、命の支えとなる水はそのほとんどが富士山の湧き水である。湧き水や湖から水路を通して日常使用する水を得ている。祖先達は、苦労してそのための土木工事を行った。又、湧き水は河川となり、交通面では、川を渡るための橋を架ける必要が生じた。本作品では、サブタイトルに記すように、富士山の麓の各地を訪ね、土木技術を通して「水に挑んだ人々の足跡」を科学的に振り返る。訪ねる土木産業遺産は、「河口湖新倉掘抜」、「甲州街道・日本三奇橋の一つ、猿橋」「富士川の雁堤」の3ヶ所。それぞれ地元の博物館の学芸員に概略説明を頂きつつ、現代の科学技術の観点から、山梨大学工学部・土木環境工学科の協力を得て、当時の土木技術の分析と構造力学的解説を行っていく。現地取材の映像とインタビューから得られるものは、当時の人々の驚くべき技術力と自然観察の力であった。
  • 杉山俊幸 教授 山梨大学工学部土木環境工学科、砂田憲吾 教授 山梨大学工学部土木環境工学科、堀内 真 学芸員 富士吉田市歴史民俗博物館、 杉山正文学芸員 大月市郷土資料館
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静岡県水産試験場と山梨県水産技術センターの協力を得て、富士山水系の代表的な淡水魚を観察・解説する。主な魚は、山中湖のワカサギとブラックバス、山梨県富士湧水の里水族館でイワナ、アユ、ヤマメ、アマゴ、富士川でアマゴの降海型シラメ、静岡県水産試験場富士養鱒場でニジマス、ヤマトイワナ、アマゴ。水中撮影・研究者インタビューを交えながら解りやすく紹介する。特に、アマゴとヤマメの地域による棲み分け、両者の陸封型・河川生活型と降海型の神秘的な変異については、詳しく解説して行く。又、生物多様性の観点から、外来魚問題、人工放流問題にも触れる。(ブラックバス、ヤマトイワナ)
  • 大浜秀規研究員 山梨県水産技術センター、加地弘一研究員 山梨県水産技術センター、野田浩之副主任 静岡県水産試験場・富士養鱒場、名倉盾研究員 山梨県水産技術センター&富士湧水の里水族館、羽田一三組合長 山中湖漁業協同組合、小川博彦さん 釣り師&カメラマン
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静岡県と山梨県が共催した「富士山こども環境サミット」の三日間の模様を、地学・火山学・森林生態学の解説を交えながら紹介する。参加したのは、北は北海道、南は鹿児島県・屋久島からやって来た全国の小中学生、100人。こどもたちは、山梨県環境科学研究所,本栖湖、河口湖フィールドセンター、富士山新六合目宝永山の登山、インターネット壁新聞の制作、富士山メッセージの宣言を主体的に体験した。解説の場面では、富士山誕生の火山学、溶岩流、生態系の遷移、火山噴火の歴史、パイオニア植物と高山植物、溶岩樹型の生成について別途取材の映像を使って解りやすく説明する。その他、木工工作や、子供たち・主催者側の大人へインタビューも。全国の100人の子供たちは、富士山の初体験&総合的な環境学習を通して科学する心を育んだ。
  • 桜井みよ子 山梨県環境科学研究所、渡辺久幸 山梨県環境科学研究所、篠原滋美 河口湖フィールドセンター
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シリーズ8作品目の本作品では、地底から探る富士山と題し、噴火と造山運動の痕跡を地学のフィールド調査から解説して行く。前半部に登場して頂くのは、山梨県環境科学研究所の地球科学研究室長,輿水達司さん。輿水さんは,富士五湖の湖底をボーリング調査し、湖底の堆積物を円柱状のボーリングコアとして採取している。分析の結果富士五湖の堆積物には大きな相違があり、富士山の噴火による堆積物には,地域の差が激しい事が解った。西の本栖湖には、玄武岩質の溶岩が大量に堆積、東の山中湖には,火山性降下物のスコリアや火山灰が多かった。偏西風で噴出物は東へ吹き飛ばされるからだ。こうした分析から、防災面でも,噴火のパターンや地域差を考慮した対策が望まれていることが判明した。番組中盤は、トピックス的な話題。甲斐の国で有名な地下資源,水晶と金を紹介。訪ねるのは,甲府市にある,クリスタル・ミュージアムと山梨中央銀行金融資料館。番組後半部は、学術市民団体・富士山火山洞窟学研究会の皆さんと共に青木ヶ原・精進湖登山道に溶岩洞窟を訪ね,富士山の噴火と溶岩流の痕跡を地底調査から解説して行く。表面の景観だけでは把握できない、地底探検ならではの富士山学を存分に味わってもら
  • 輿水達司さん  山梨県環境科学研究所 地球科学研究室 室長、古屋栄和さん 山梨中央銀行 金融資料館 館長、小川孝徳さん 富士山火山洞窟学研究会 会長、川村一之さん 富士山火山洞窟学研究会 事務局長、澤 勲 さん 大阪経済法科大学 教授 工学博士、富士山火山洞窟学研究会 メンバー
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富士山はまぎれもない活火山。今も山頂の地下で低周波地震が続く。火山のマイナス面だけでなく、湧水などの多くの恵みをもたらしてくれる事も理解したい。富士山を地学の視点から取材・観察する・・・・1、元は海の底だった富士山。周辺で発掘された化石の数々。富士山の山頂火口、直径850m.噴火口からなにがわかるのか?宝永山の噴火の記録を調べる。登山道でよくみかける砂礫土壌、スコリアとは何か。これらの基本的な疑問について専門家に聞く。解説してくれるのは、静岡大学の小山助教授。2、富士山にはなぜ湧水が多く点在しているのか?忍野八海・柿田川湧水・富士五湖・白糸の滝・富士市湧水群・富士宮浅間大社湧玉池・・・・これら湧水群を地学的に取材富士山の雨、雪と湧水の関係を探る。解説は静岡大学の名誉教授、土先生。溶岩流の流れた地層のポイント、そして岩石の隙間に水がたまる・・・スポンジ説。富士山の湧水は圧力を受けた地下水である。・・・・・・・3、活火山としての富士山。噴火の歴史。もしもの時に備える必要はある。防災体制を作るためのコンセンサス・・・4、富士山の地下で深部低周波地震が観測されている。研究を進めているのは防災科学技術研究所富士山の地震の観測体制、その技術、傾斜計が特に大切。富士山の地震予知の可能性、低周波地震の分析、一般の地震との違いなどを解説してもらう。5、そもそもなぜ、ここに単独峰の高い山ができたのか?太平洋のプレート移動との関わりについて・・・富士山を生きている活火山として捉えなおす必要ーと同時に、富士山の恵みに対する理解と感謝が必要。NPOは地元の湧水を環境調査し富士山との関わりのなかで自然をとらえなおす活動を開始している。
  • 鵜川元雄さん 科学技術庁防災科学技術研究所 地震調査研究センター 火山噴火調査研究室長、小山真人さん 静岡大学教育学部総合科学教室 教授 理学博士、土 隆一さん 静岡大学名誉教授 理学博士 土隆一研究事務所、佐野毅さん NPO ふじ環境倶楽部 佐野建築環境計画事務所代表、 中澤洋子さん NPO ふじ環境倶楽部、松井正樹さん NPO ふじ環境倶楽部 高校教諭
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富士山の周辺では,たくさんの博物館が活動,自然環境の教育活動に励んでいる。又地域のNPOや学識者も力を合わせ世界遺産の登録を目指している。1、富士山周辺の公的博物館を訪ね、展示の特色を紹介すると共に、富士山を様々な自然科学の分野から描き出す。静岡県富士市立博物館・・・地学的展示、学芸員の高山病などについての解説、縄文・弥生の土器などの展示静岡県裾野市立富士山資料館・・・富士山の造山運動、鉱物学、湧き水のシステム、展示指導員の解説も熱心・・・裾野周辺の植物についての解説、元はうみだった富士山の痕跡ー発掘された化石の紹介と解説、気象庁富士山測候所の初期の観測機材の展示 山梨県立富士ビジターセンター・・・富士山をトータルに解説する博物館。気象情報、観光情報、インターネットを利用した山梨県内の科学研究機関の紹介。 山梨県鳴沢村のなるさわ富士山博物館・・・火山の爆発によって流れ出した溶岩に閉じ込められたティラノザウルス、富士山周辺のジオラマ模型、噴火する富士山の巨大模型、噴火によって生じた様々な岩石。火山弾・溶岩樹形・風穴、氷穴ー手で触って感じる富士山。2、 富士山を環境と自然科学の学校として捉えフィールドや研究の対象に活動する人々・・・静岡県立富士宮西高等学校のワンダーフォーゲル部は富士山を自分たちのフィールドの拠点と捉え、ごみ拾いなどの環境登山を行う。NPOの富士山クラブは登山者に不満の多いトイレ問題に取り組んでいる。トイレやごみ問題、環境問題の解決を通して富士山の世界遺産登録を目指している。日本植物学会のシンポジウムのテーマも、富士山の世界遺産登録・・・・出席したパネラーが語る富士山への思い。NPOふじ環境倶楽部は麓を含め、富士山の全体を守り、保全していくために、水源の森作りに励んでいる。博物館だけでなく富士山は自然環境全体がエコ・ミュージアムなのである
  • 志村博さん 富士市立博物館 学芸員、三浦春彦さん なるさわ富士山博物館 事務次長、杉山義則さん 裾野市立富士山資料館 展示指導員、増沢武弘さん 静岡大学理学部生物学教室 教授、高橋進さん 環境庁国立環境研究所 環境情報センター センター長、藤原一絵さん 横浜国立大学 環境科学研究センター教授、原田誠治さん 静岡新聞社取締役・編集主幹、渡辺豊博さん  NPO富士山クラブ理事、清水雄三さん 静岡県立富士宮西高等学校 ワンダーフォーゲル部教諭
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富士山は山頂に測候所を持つだけでなく、この山にかかる雲の形によって地域の人々に天候の変化を知らせる観天望気の舞台でもあった。富士山の山頂、剣が峰に気象庁の富士山測候所がある。昭和40年に完成し、35年間太平洋と東海地方の雲を観測し続けてきたレーダー・・・戦後日本の復興と高度経済成長、科学技術の発展の証でもあった富士山レーダー測候所の職員による解説ーレーダーの仕組み、レーダーを守るドームの建築技術、高出力の電波を作り出すシステム、マグネトロン、台風の雲の形を映し出すブラウン管画面・・・アメリカIEEEからマイルストーン賞を受賞した遺産富士山レーダーの引退、保存、次世代のバトンタッチ技術について・・・牧の原の新しいレーダーシステムの紹介・・東京大手町の気象庁を訪ねる・・・富士山レーダーはなぜ引退したのか?次世代技術とは何か?21世紀を担う技術は、気象衛星・・・ひまわりのシステム、運行システム、能力、役割、について担当者の解説、宇宙の利用の可能性・・・・富士山レーダーが担ってきた雲の観測は、より高い所、より正確な技術に受け継がれていく。一方で、人間の目を使う観測も大切に受け継がれている。気象庁では、毎日視程と呼ばれる、大気の濁り具合を調査する観測が行われている。そして、この観測の目標対象物にじつは、富士山が利用されている・・・・。再び富士山測候所山頂で行われる視程観測、現在の測候所の観測作業、現況の観測機器、富士山の天候と雲の動きについて・・・・富士山の日の出早朝の雲の動き,ハイスピードで撮影した雲の変化・・・富士見のポイント,三つ峠を訪ねる。富士山と雲についての観測で知られる山小屋の主に聞く。観天望気は天気予報にとどまらず,自然を知り,地球の動きを知り,宇宙に思いを馳せるための地図ではないか・・・気象庁の研究者も観天望気に大きな文化的価値を認めている。
  • 島本高志さん 気象庁 東京管区気象台 富士山測候所 主任技術専門官、 高橋宙さん 気象庁 東京管区気象台 富士山測候所 技官、中村光吉さん 三ツ峠山荘、吉永泰祐さん 気象庁 観測部気象衛星室 補佐官、川口俊之さん 気象庁東京管区気象台 技術部 技官、山下浩史さん 気象庁東京管区気象台 技術部 技官
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