三国志全43話
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諸葛孔明は固く門を閉ざした司馬懿を何度も挑発したが、司馬懿はその恥辱に耐え忍んだ。焦りが限界に近づいたとき、呉が曹叡に敗れたと知らせが入り、魏を挟み撃ちにする計画もついえた。加えて長年の激務がたたり、孔明はついに五丈原（ごじょうげん）の陣中で倒れる。姜維（きょうい）の勧めに従い、孔明は北斗星に天命を託す。祈りが終わろうという７日目、司馬懿が急襲してきた。これに慌てた魏延は、天幕内に点された命の灯を誤って消してしまう。孔明はこれを天命と受け入れ、死後の準備を静かに行うのだった。孔明は秋風吹きすさぶ五丈原で最後の力を揮って閲兵する。共に克復中原を目指した北伐の同士たちを眺めながら、志を果たせなかった無念の思いのままこの世を去るのだった。
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紀元２３４年、三年間の休養を得て諸葛孔明は魏を討つべく六度祁山に出陣した。魏帝の曹叡は司馬懿を大都督に任じて追撃し、孔明は呉と連合して魏を挟撃する態勢を整えた。曹叡は自ら呉の追撃に出征して、司馬懿を蜀軍に専念させた。司馬懿は、蜀が速戦速攻でくると見て固く守る作戦に出たが、孔明は木牛流馬（もくぎゅうりゅうば）の奇計をもって、魏の糧秣を奪い司馬懿の鼻をあかす。さらに魏軍を上方谷（じょうほうこく）に引き込み、司馬懿の大軍を焼き尽くした。猛火に囲まれた司馬懿だったが、雨が降りだし炎熱地獄より脱出することができた。司馬懿はこれらの戦いを経て、孔明に及ばないことを悟ると、軍門を閉じて戦わなくなった。
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四度目の戦いは孔明が敗北し、蜀将の陳式（ちんしき）はこの祁山攻防戦の失敗を魏延（ぎえん）のせいにした。孔明は言い逃れる陳式を嫌い、斬首に処した。その後祁山への道を開いた孔明は、すかさず曹真に侮辱の書簡を送り、それを読んだ曹真は怒りのあまり憤死した。こうして長安を目前にした時、蜀帝劉禅が突然、孔明に帰還を命じる。成都の宦官の意向だったが、実はその裏に司馬懿の策略があったのだった。２３１年、諸葛孔明は五度祁山を目指す。魏蜀両軍の争点は麦の収穫を巡るものとなった。そしてここでも地形を巧みに利用した諸葛孔明が勝ち、隴西（ろうせい）一帯の小麦を手に入れたのだった。
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漢中に退いた諸葛孔明は、体制を整え再び祁山に出て、魏に立ち向かった。そこで魏の大将軍曹真を打ち破る。しかし孔明は糧秣不足をきたし漢中への撤兵を余儀なくされる。２２９年の夏、孔明は三度祁山へ出撃し、陳倉を落とす。陳倉を奪われた魏は再度司馬懿を蜀軍に当てた。司馬懿は孔明に裏をかかれて大敗。その後、夜襲にも失敗してついに門を閉ざして篭城する。孔明は司馬懿の頑なな守りに対し、偽りの撤兵で誘い出し勝利した。しかし激務に加えて張苞（ちょうほう）の死が孔明に心労による病をもたらし、漢中への帰還を強いるのだった。魏帝曹叡は曹真の病が癒えると大都督に復し、司馬懿を副都督に任じて４０万の兵を動員し必勝を期した。
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参軍の馬謖は諸葛孔明に街亭の守備を強く願い出た。孔明は亡き劉備が馬謖を大事に用いてはいけないと話していたことを思い出す。しかし街亭は戦略の要地であると言い聞かせ馬謖を抜擢するが、功を焦った馬謖は孔明の言い付けに従わず、取り返しのつかない失敗を犯し、司馬懿に街亭を奪われてしまった。司馬懿は次に電光石火で西城（せいじょう）に攻め入った。街亭の危機に急いで西城に入った孔明だったが、そこにはわずかな老兵が残るのみだった。司馬懿の大軍が城下に迫ると、進退極まった孔明だったが空城（くうじょう）の計でこの難を回避した。街亭を失った諸葛孔明は漢中に戻って軍勢を整え、再び祁山に兵を進めて中原を窺うのだった。
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２２６年魏の曹丕（そうひ）が逝去しその子の曹叡（そうえい）が即位。曹叡は後に諸葛孔明の宿敵となる司馬懿（しばい）を驃騎大将軍に任命し、蜀軍の北進に備えた。漢朝を復興すべく南征を終えて北伐に備えていた孔明は、この動きを警戒し謀反の噂を流して司馬懿の兵権剥奪に成功する。翌年、孔明は出師の表を上奏し、兵を祁山に進めて中原を窺った。孔明が魏を攻め曹真は大敗、その知らせに驚愕した曹叡は、以前罷免した司馬懿を再び登用し、自らも出征して曹真を救援した。司馬懿は孟達を敗ると、次に戦略の要地である街亭（がいてい）を狙っていた。
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２２５年、建寧（けんねい）太守の雍闔（ようがい）は南王の孟獲（もうかく）と結び蜀に対して謀反を起こす。南方の安定が必須と考える諸葛孔明は、今は亡き劉備の悲願だった漢朝復興のために、自らその征伐に乗り出すことにする。南征に赴いた孔明は離間の計を用いて易々と反乱軍を平定し、領地を回復すると孟獲との決戦の準備に入った。参軍の馬謖（ばしょく）は孔明に、孟獲と戦うにはまず心を攻め、次に城を攻めなければ孟獲は降伏してもまた謀反を起こすだろうと進言する。南方の後顧の憂いを断ち、北方に専念したい孔明は馬謖の策を入れ、武力ではなく心を攻める戦略にでた。
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荊州奪回を成功させた陸遜を登用した孫権。劉備は書生あがりに全権を委ねた呉の人事を甘く見ていた。陸遜は劉備の思い上がりを利用し、あえて守りに入った。夏になると劉備は酷暑に苦しむ兵を川沿いに移し、その結果陣営は700里にも延びきるのだったが、それこそ陸遜の思う壷だった。成都にいた孔明が劉備の布陣図を見たときには、手遅れだった。延々と連なった蜀の陣営は陸遜の火攻めで壊滅する。成都へ戻る途中、非難した白帝城（はくていじょう）が劉備の終焉の地となった。息を引き取る間際、劉備は諸葛孔明を呼び寄せ、蜀の後事を託した。
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220年、持病の頭痛が命とりとなって曹操はこの世を去る。社稷を継いだ曹丕（そうひ）は同年、帝位を簒奪した。曹丕は国名を魏と改め、初代皇帝に即位。劉備も臣下の勧めに従って、漢中王から帝位に昇る。皇帝となった劉備の最初の仕事は関羽の仇討ちだった。諸葛孔明らの反対を押し切って呉を討伐すべく挙兵を決める。ところが75万の兵を自ら率いて出陣しようとした矢先、張飛が惨殺されてしまう。復讐に燃える劉備は長江を下り、一気に夷陵（いりょう）まで兵を進めた。蜀の大軍を前にして呉の孫権は、魏に助けを求めるが断られ、孫桓（そんかん）を大将に立てての攻防戦にも失敗、ついには劉備に和睦を求めるがもちろん拒否される。そこで孫権は陸遜（りくそん）を大都督に抜擢し…。
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呉の呂蒙（りょもう）と陸遜（りくそん）は関羽の不在を狙って荊州に侵入し、攻め落とす。それを知った曹操は樊城への援軍を増強し、傷を押して出陣した関羽は徐晃（じょこう）との一騎討ちに敗れ、麦城（ばくじょう）に落ちたところを呉に包囲されてしまう。救援も来ないまま糧秣が尽き、毒矢の傷も再発、追い詰められた関羽はついに麦城郊外で捕らえられ首を落とされる。劉備の復讐を恐れた呉は、関羽の首を曹操に送り付け、関羽殺しが曹操の差し金であるかのように装う。しかし関羽を愛した曹操はその首を手厚く葬り、呉の魂胆をくじくのだった。関羽惨殺の知らせに成都は激震し、劉備・張飛は死ぬほど泣いて復仇を誓う。
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