人間の愚かしさを描く実話ベースの問題作!映画『マグダレンの祈り』、放送開始!

2009年01月16日17時02分映画

神の名の下で性的に堕落した少女を矯正する…耳にしただけで戦慄が走る話だが、これは正真正銘の実話なのだ。完全無料ブロードバンド放送「GyaO」は、本日1月16日(金)正午より、衝撃の問題作 『マグダレンの祈り』(R15指定)の放送を開始した。

映画『マグダレンの祈り』が描くのは徹底的な人間の愚かしさであり、また、厳格なカトリックが持つ“処女性への崇拝”が、現代的な倫理・道徳とコミットし得るかどうかを徹底的に問いかけた。しばしば人間は神の名の下に暴力を働く。かつての宗教戦争が導いた残虐非道な殺戮を振り返るまでもなく、この現代社会でも大国の大統領が神の名を口にしながら、ナパームを市民に落下させた。この映画が舞台とするアイルランドに実在したマグダレン修道院で行われた行為もまた神の名の下に行われた徹底的な暴力である。1964年、アイルランド。結婚式のパーティで従兄弟にレイプされたマーガレット、美しい孤児バーナデット、未婚のまま赤ん坊を産んだローズらの少女が連れてこられたのは
マグダレン修道院。歪んだ心を持つ破壊的なシスターらの手によって、収容者となった少女たちは、あくまで“罪を洗い流す”ために、信じがたい過酷な重労働に従事させられる。しかも、私語は厳禁。囚人服のような制服を着せられ徹底的に管理される彼女らは、非道なシスター、神父らから壮絶な虐待を受ける日々が続いていく。

そう、この映画の最もおそろしい点は、マグダレン修道院のシスター、神父らは、これらの行為を神の名の下、正義と信じている点である。しかしそれは、一体誰のため、何のための正義なのか?その不条理の中に人間の持つ愚かしさが炙り出されていく。運命と戦い、静かに対決していく少女らのドラマは圧巻。ピーター・マラン監督・脚本で製作された映画『マグダレンの祈り』はヴェネチア国際映画祭・金獅子賞受賞という形で自らの問いかけの正しさを証明した。

闇の中で行われた非道な行為、それは闇の中につい埋もれたままになってしまうが、マグダレン修道院で実際に壮絶な体験をした勇気ある女性が、この体験を手記にしたため出版化したため、この物語は白日の下に晒されることになった。

実話をベースにした衝撃の問題作『マグダレンの祈り』、この配信の機会に是非ともチェックしてみて欲しい。ピーター・マランがこの作品で現代に何を問いかけたかったのか、わかる筈だ。

GyaO シネマ&ドラマ
GyaO : マグダレンの祈り

【information】
『マグダレンの祈り』<2002年 / イギリス・アイルランド / 118分>
監督・脚本:ピーター・ミュラン 美術:マーク・リーズ
音楽:クレイグ・アームストロング
出演:ノラ=ジェーン・ヌーン、アンヌ=マリー・ダフ、ドロシー・ダフィ、ジェラルディン・マクイーワン、ダニエル・コステロ ほか
放送予定:2009年1月16日(金)正午~2009年2月16日(月)正午