小舟に乗ったテハとオンニョンはテギル一行に追いつかれ、矢を放たれる！すべての事情が分かっている視聴者は、思わず「テハどいて！」と怒鳴ったのでは？この距離ならオンニョンの顔がテギルに見えるはず。しかし、テハはオンニョンを守るためにテギルとオンニョンの視線をさえぎる。今回はドラマ全編に渡っての逃走劇が繰り広げられる。ここから先、登場人物の名前が分からない場合は、2倍楽しむメニューの登場人物や相関図を参考にされたい。

間一髪で危機を脱したテハとオンニョンだが、2人を追いかけて馬で疾走するシーンがものすごい！特にテギルはソルファを後ろに乗せての疾走だ。片手で手綱をさばくテギルたちを離れたアングルで撮るカメラワークが迫力満点！撮影中、チャン・ヒョクは落馬している。大事には至らなかったのは、その類まれな運動神経のおかげだろう。しかし、この場面を見れば、「そりゃ、落ちるわ～」と納得するはず。
そんなテギルたちに比べて船で川を渡る二人は、どこかのどかでのんびりしている。しかし、オンニョンは追っ手が何者で誰を追ってくるのか、テハがなぜ逃げているのかいぶかしむ。

(C) 2010 KBS. All rights reserved（チョルン）そのころ、義父であるはずのイ左議政（大臣）によって牢に入れられたチョルンは、過去を思い出していた。チョルンの結婚は義父にまんまとハメられたのだ。出世をエサに四肢に障害を持つ自分の娘ソニョンを押し付けたのだ。そんな妻を毛嫌いするチョルン。そうされてもなんとか夫の役に立ちたいと願う妻。ドラマ最後まで彼女の切ない演技は視聴者の胸を打った。演じたのはハ・シウンという女優。2004年MBC「どきどきチェンジ」というドラマで女優デビューしたが、その後パッとした役にもめぐり合えず、下積み生活が長かった。本作のソニョンの役で見せた切ない演技に高い評価が集まり、今注目されている女優の一人だ。

話をドラマに戻して…。テハたちとテギル一味とはそれぞれ野宿するが、その対照的な様子をじっくりご覧いただこう。テハのオンニョンに対する態度は、いつどんなときも礼儀正しくジェントルマンだ。草ぼうぼうの草むらを歩くときは先を歩いて刀でオンニョンの行く手を阻む草を刈り取る。オンニョンがへたり込むと呼吸法を教え、手をつなぐのではなく布で引っ張ってやる。どこまでも紳士だ。夜になると雨露をしのぐねぐらを作ってやる。もっともこの後で、空腹をしのぐために蛇をさばいて焼くのは勘弁してほしい。いくら役とは言え、蛇を食べるのは本人もつらかっただろう。実はこのシーン、何度か紹介しているオ・ジホのファンミーティングでネタ明かしをしている。当日選ばれた名場面の2位に選ばれた場面で、オ・ジホは本当の蛇の皮をはいでいるのだ。この時ばかりはさすがに監督に怒りを感じたそうだ。まさか本物の蛇を持ってくるとは思わなかったようで、皮を剥いでも蛇は生きていたそうだ。このあたりの顛末については、ファンミレポートを確認しよう。

(C) 2010 KBS. All rights reserved（ソルファ）一方、テギルたちの野宿はなんとも楽しそうだ。一味の弟分のワンソンがサダン（旅芸人）出身のソルファに何かと言い寄るのだが、その都度ソルファはテギルの元に逃げ込む。それをチェ将軍が楽しそうに見つめる。（ワンソン）どうやらソルファはテギルの粗暴な中にある優しさが気に入ったようだ。料理も裁縫も出来ない大飯喰らいを自分も分かっていて、何とか場をなごませようとする健気さがいじらしい。今回は彼女の弾く楽器に注目しよう。この楽器は、日本では女子十二楽坊で話題になった中国の二胡と言う楽器。日本では胡弓と言う名で親しまれている。韓国では“ヘグム（혜금）”と呼ばれ、地域によっては「ケグム」「エングム」「カンカンイ」などと呼ばれる擦絃楽器。哀切あふれる音色がドラマに似合っている。

テハたちがある宿に辿り着いたとき、テギル一行がまさに追いつこうとする。テハが必死で偽の痕跡を残せば、それを見破り、見破られるのを承知でもうひとつ仕掛けをかけたりと、見ごたえたっぷりの逃走劇をお楽しみに。
【作品詳細】【「推奴-チュノ-」を2倍楽しむ】

作品情報
■発売・レンタル：カルチュア・パブリッシャーズ
■(C) 2010 KBS. All rights reserved
■2010年、KBS、全24話
■キャスト：チャン・ヒョク、オ・ジホ、イ・ダヘ、キム・ジソク、
　　　　　　　 イ・ジョンヒョク、コン・ヒョンジン
■スタッフ：監督・演出＝クァク・チョンファン、脚本：チョン・ソンイル

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