啄木との出会い、谷中村運動の行く末は…土曜ドラマ「足尾から来た女」後編予告動画と前回のあらすじ-NHK

2014年01月24日20時00分ドラマ

1月25日、NHK総合で土曜ドラマ「足尾から来た女」後編を放送、強制執行で家を壊された新田サチ(尾野真千子)は失意のうちに福田英子(鈴木保奈美)の家に戻る。社会主義者に対する風当たりが強くなる中、福田家も困窮していきサチは身の置き所のなさを感じていく最中、看護婦という仕事に強い関心を抱くようになる。ある日街中でサチは一人の男性を助ける。その男は石川啄木(渡辺大)であり、サチにも大きな影響を与えていく。

【みどころ】
谷中村の活動は続くものの、減る住民と政府からの圧力で田中正造は窮地に立たされる。側で見守るサチが何を感じるか、社会主義者たちを目の当たりにする日々の中でサチの考えや気持ちにどう変化が生まれていくのかが物語の核となる。時の首相・原敬を演じるのは國村隼。サチとの出会いがどのように描かれるのか大いに注目される。

【前編あらすじ】
日本が日露戦争の祝勝ムードに沸いていた頃。栃木県下都賀郡谷中村は、足尾銅山からの鉱毒被害を受け作物や生き物は死に絶えていた。村民たちは餓死するか汚染された作物を食べるかの選択しか残されていなかった。新田サチは畑を耕しながらその無意味さに嫌気を覚えていた。
あるサチの兄・信吉(岡田義徳)は田中正造に依頼されて鉱毒の状況を視察しに来た東京からの学者たちを畑に連れてきた。信吉は重ねて正造がサチに頼みごとがあると伝えてきた。その内容は東京にいる女性運動家・福田英子が手伝いの女性を谷中村から雇いたいというものだった。信吉の意向もあり、サチは正造の頼みを断ることは出来なかった。そんな正造がサチに渡したのは、渡良瀬川で拾ったという何の変哲も無い石ころだった。
サチは自分が家を離れると父親の面倒は誰がみるのかと信吉に食って掛かるが、信吉は自分は県の勧めに従って村を離れるつもりだと明かした。正造は村民が団結して谷中に残り抗議を続ける事で足尾銅山を閉山に追い込めると活動を続けていた。しかし信吉にとって死の村に残り続けることは耐えられず、そこへ県からの勧めで村を出るなら県の土木課で働いてもいいといわれていると明かした。信吉はその言葉に乗り、正造の活動を裏切ることを決めたのだった。それなら信吉についていくというサチだったが、県からの依頼もあってどうしても福田英子のところへ行って欲しいと頼み込むのだった。
その2日後、サチは「県の偉い人」だという日下部(松重豊)に案内されて上野へ行く。道中の汽車の中、日下部は田中正造のような社会主義者は悪であると説くが、字も読めないサチにはあまりよく分からない事だった。日下部はこの先英子の家で見聞きしたことを日下部に報告して欲しいと頼む。スパイになれ、というのだった。サチは後に日下部が警察関係の人間だと知ることになる。
英子を探していたサチは、一人のいじめられっ子を助け出す。そこへ現れたのが福田英子で、サチの助けた子は英子の息子だった。英子は早速サチを連れて集会に出掛けた。壇上で弁舌を振るう男―石川三四郎(北村有起哉)に英子はそっと手を振った。熱気あふれる会場にサチは終始気おされていたが、会場で待ち合わせた英子の母・楳子(藤村志保)などを紹介される。弁舌に向かって合の手を入れる楳子や意見を述べる英子に驚きつつ、初めて見る世界にサチは戸惑っていた。
英子の家は若い社会主義者たちのたまり場のようになっており、その接待に加え英子の子ども達や母の世話、家事などが山のようにありサチは日々目も回る忙しさだった。英子は自分が刊行する新聞について意見を述べて欲しいとサチに語りかけるが、字が読めない事を三四郎から大勢の前で指摘されてカッとなる。英子はそんなサチに読み書きは女性の地位向上のために必要だと訴え、字を覚えるべきだと諭した。しかしサチは谷中村に帰って畑を耕すから必要ないと言って字の勉強を断った。その後日下部が接触して英子の家であった事をサチから聞きだした。サチの報告を上出来だと褒める一方で、英子から字を習うのを拒否したというサチに向かってサチには字が読める必要は無いと言い捨てた。
一度は字の学習を断りながらも、サチは一度習ったことのあるひらがなを思い出しながら、英子の子ども達の読み物をたどたどしく読むようになっていた。
年の瀬が近づき、正月に英子が発行する「世界婦人」の準備のために福田家は毎日人で溢れかえりサチは忙しい日々を送っていた。ほんの休みの間、サチは新聞に掲載された詩を拾い読みする。その姿を目撃した三四郎は、自分とキスする引き換えに字を教えようとサチをからかってきた。驚いて固まるサチだったが、その場面を英子に見咎められる。慌てて英子を執り成しに追いかけた三四郎だったが、英子は嫉妬から三四郎を激しく責めた。三四郎は呑気にはぐらかすが、英子は激昂して涙を流す。部屋の外でうろたえるサチに、楳子が近寄って気にするなと慰めつつ自分が字を教えようかと声を掛けた。続いて三四郎との話を終えて部屋を出てきた英子は、サチに正造からもらった石を今度見せてほしいと話しかけてきたことで凍りついた空気もうやむやになってしまった。
年明け。英子の屋敷に入り込んできた不審人物に向かってサチが怒鳴りつけるとそれは正造であった。近所の子ども達と隠れん坊をして潜んでいた正造は、明るく子ども達に飴を振舞いつつ久しぶりのサチの姿に目を細めた。三四郎たちに呼ばれてきた正造は、政府転覆を狙う社会主義者たちが谷中村の活動と連携しようとして呼び出されたのだった。しかし社会主義者たちの活動内容に足尾銅山の労働者たちの待遇改善要求が盛り込まれていると知り、正造は共に活動することを断る。影響力の強い正造の協力が得られなかった事で当てが外れた社会主義者たちは憤慨して英子の家を出て行った。英子は残された正造と共にサチも一緒に茶を飲むように勧める。英子は女性運動や社会主義運動、谷中村の活動は自由民権運動から取り残されたものであり、だからこそ少ない者同志連携したかったのだと三四郎たちを弁護する。
正造が外にたむろする警官たちを見てハイエナだと揶揄すると、他の社会主義者の家では赤子の子守が密偵だったという事例を英子が語った。自分のことを見透かされたかと気が騒ぐサチは、英子がサチについて正造に相談があると切り出して更に動揺する。しかし英子が言い出したのは、サチに字を勉強するように勧めて欲しいというものだった。サチは字の勉強を承諾して部屋を飛び出してしまう。内心の焦りを隠せなかったからだ。夜、英子の家から帰る正造をサチは見送った。その道すがら、正造は信吉が県の役人になって村を出て行ったこと、今ではや中村には16戸しか残っていないことをサチに聞かせた。サチはいつまでたっても谷中村に残って何の良い事があるのかと訴えるが、正造は100戸のために1戸が殺される社会は野蛮であると自説を述べ、サチによく勉強するように励まして帰っていった。その後日下部と接触したサチは、正造は社会主義者とは違うとの自論を述べる。以前に比べて頑ななサチの態度に現れた変化を日下部は感じ取っていた。
足尾銅山では労働者たちの暴動が発生、それを鎮圧すると同時に警察には暴動を扇動したとして社会主義者への取り締まりを強めてきた。その手は三四郎にも伸び、三四郎は連行されていく。三四郎逮捕を阻止するべく必死に動いた英子であったが、尽力する事叶わず為す術もなかった。しかし三四郎が連れ去られた後の英子は、開口一番サチに字の勉強をしようと言い出した。涙にくれつつ詩を読んで聞かせる英子を見つめながら、サチは自分の証言のせいで三四郎が連行されたのだと罪悪感に苛まれる。そしてサチは英子の家を出て谷中村に帰っていく。久々に戻った、明治40年の谷中村。しかしサチの目に飛び込んできたのは取り壊しが始まると大騒ぎする村民たちだった。サチの目の前で、県の役人たちの指揮によって次々に村の家が壊されていく。サチは自分の家が壊される瞬間さえも目の当たりにしてしまう。そして取り壊しを指揮する役人の中に信吉の姿を見つけたサチは、驚いて問い詰める。信吉は谷中村を水に沈めることで周辺の村が救われると説得する。サチは足尾銅山さえ無くなれば鉱毒も無くなり村を沈める必要が無くなると訴えた。しかし信吉はかつて日露戦争に出征した際に手にした鉄砲の弾をサチに握らせる。これが自分を救ってくれた、そしてこれは足尾銅山の銅で作られている、と。サチは絶句しつつも、自分の村や家を奪われた哀しみを信吉にぶつけるしか術がなかった。

土曜ドラマ「足尾から来た女」後編は1月25日(土)、よる9時から放送。予告動画は公式サイト「各話のあらすじ」で視聴出来る。前編はNHKオンデマンドにて見逃し番組として配信中。購入期限は2月1日(土)まで。

土曜ドラマ「足尾から来た女」|NHKオンライン
NHKオンデマンド「足尾から来た女」


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