現実と虚構が交錯する、幻惑の心理サスペンス映画『Shirley シャーリイ』本編特別映像解禁

06月29日10時00分映画

ゴシック作家シャーリイ・ジャクスンの伝記がエリザベス・モスらの演技で初映画化『Shirley シャーリイ』は7月5日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開される。夫婦の秘密を覗き込む本編特別映像が解禁となった。



巨匠マーティン・スコセッシが製作総指揮に名乗りをあげ、2020年のサンダンス映画祭でUSドラマ部門審査員特別賞を受賞したのが長編第4作『Shirley シャーリイ』。本作は、スティーブン・キングも影響も受けたと言われるゴシック作家シャーリイ・ジャクスンの伝記に、現代的で斬新な解釈を加えて練り上げられた、想像力とダイナミズムに満ちた心理サスペンス。彼女の小説だけでなく、配偶者で文芸評論家でもあったスタンリーとの数百通の手紙をもとに制作されている。また、作家自身のキャラクターを描きながら、まるでジャクスンの小説世界に迷い込んだかのような、幻惑的な映像を作り上げた。

シャーリーこの度、翻訳家の柴田元幸、ブックデザイナーの名久井直子、文筆家・イラストレーターのはらだ有彩、Youtuberの好事家ジェネら、総勢10名の著名人から絶賛コメントおよびイラストが到着した。

ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザーら現代アメリカ文学の翻を多数行う翻訳家の柴田元幸は「手持ちカメラを多用した不安定な映像と、傷つける者傷つけられる者、護る者護られる者が容易に反転する不安定な関係とが地続きになっている――という図式にも安定しないところがまたよい」と話す。

俵万智の歌集『アボカドの種』川上未映子さん『黄色い家』など、数多くのブックデザインを手がけるブックデザイナーの名久井直子は、「シャーリイの放つ妖しく強い光と影。観ているこちらも、嫌悪を愛に変えられてしまった。小説家ってこわい!(周りの小説家たちを思い浮かべつつ)」、<暗く悪しく美しいカルチャー>を紹介するYoutuberの好事家ジェネは「シャーリイという作家の日々を傍観していたつもりが、いつの間にか彼女の悪夢のような創作世界に取り込まれてしまった」とコメントしている。

シャーリー2日本の昔話に登場する女の子が、現代の女の子たちに打ち明けるように語りかけるエッセイ『日本のヤバい女の子』が話題を呼んだ文筆家・イラストレーターのはらだ有彩と、CDジャケットのアートワークや書籍装丁など、少女や超能力をモチーフにした漫画や作品をお発表するイラストレーターのいとうひでみは「シャーリイについて、全てを語ることはできない。放っておくことも、人生を託すこともできない。ただ読んで、見て、鏡に自分を映してみることしかできない」(いとう)、「次に何が起こるかまったく分からず、画面は美しくスリリングで、まるで魔術の過程を見せられているかのようでした」(はらだ)とコメント、併せて『Shirley シャーリイ』の幻想的な世界観にインスパイアされたイラストもそれぞれ寄せられた。

解禁された本編映像は、長く執筆スランプ中のシャーリイを切り取ったものだ。朝になってもベッドから離れる気にならないシャーリイに対して「1日中寝てる気か?」「僕の仕事の邪魔をする気か?」スタンリーは、はっきりと非難を浴びせる。「そのうち元気になる」―渋々ベッドから起き上がるシャーリイだったが、それは2人にしかわからない戯れの時間でもあった。作家シャーリイと大学教授の夫のスタンリー、史実同様、絶妙なバランス感覚で保たれた夫婦の<秘密の時間>を覗き込むようなシーンとなっている。

■あらすじ
1948年、『ニューヨーカー』誌上に発表した短編「くじ」が一大センセーションを巻き起こした後、新しい長編小説に取り組んでいたシャーリイ(エリザベス・モス)だったが、なかなかスランプから抜け出せずにいた。小説の題材になったのは、ベニントン大学に通う18歳の少女・ポーラが突如として消息を絶った未解決の失踪事件。同じくベニントン大学教授である夫のスタンリー・ハイマン(マイケル・スタールバーグ)は、引きこもってばかりいるシャーリイの機嫌をとって執筆へ向かわせようとするもうまくいかない。

そんな二人のもとへ一組の夫妻が居候としてやってくる。文学部でハイマンの補佐として職を得たフレッド(ローガン・ラーマン)は、妻のローズ(オデッサ・ヤング)と共にバーモント州の学園都市へ移住を計画していた。新居が見つかるまでの間、無料で部屋と食事を提供する代わりに家事や妻の世話をしてほしい——スタンリーに半ば強引に言いくるめられた夫妻は、何も知らずにシャーリイとスタンリーと共同生活を送ることに。当初は他人が家に上がり込むことを毛嫌いしていたシャーリイだったが、ひどい扱いを受けても懲りずに自分の世話を焼くローズを通じて、次第に執筆のインスピレーションを得るようになる。

一方、ローズはシャーリイの魔女的なカリスマ性に魅入られ、いつしか二人の間には奇妙な絆が芽生えていく。しかし、この風変わりな家に深入りしてしまった若々しい夫妻は、やがて自分たちの愛の限界を試されることになるのだった……。

■作品概要
監督:ジョセフィン・デッカー
脚本:サラ・ガビンズ
原作:スーザン・スカーフ・メレル(『Shirley』未邦訳)
撮影:シュトゥルラ・ブラント・グロヴレン
美術:スー・チャン
編集:デヴィッド・バーカー
衣装:アメラ・バクシッチ
音楽:タマール=カリ
音楽監監修:ブルース・ギルバート、ローレン・マリー・ミカス キャスティング:ケリー・バーデン、ポール・シュニー
<キャスト>
エリザベス・モス(『ハースメル』『透明人間』『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』)/マイケル・スタールバーグ(『ボーンズ アンド オール』『君の名前で僕を呼んで』)/ローガン・ラーマン(『ブレット・トレイン』『ウォールフラワー』/オデッサ・ヤング『帰らない日曜日』『グッバイ、リチャード!』)

2020年|アメリカ|英語|107分|アメリカン・ビスタ|原題:Shirley|字幕翻訳:橋本裕充  © 2018 LAMF Shirley Inc. All Rights Reserved
配給・宣伝:サンリスフィルム


映画『Shirley シャーリイ』本編特別映像 YouTube
映画『Shirley シャーリイ』公式サイト