北斎漫画
葛飾北斎は「富嶽三十六景」に代表される日本風景版画の創始者として、世界的な評価を得ている江戸時代後期の浮世絵師である。なかでも最も秀れたものは春画であると言われ、「喜能会之故真通」(きのえのこまつ)に載せられた、大蛸、小蛸が浜辺で裸女を犯している奇怪な構図は、その大胆な天才的イメージと妖しいエロティシズムで見るものをゆさぶる。こうした発想は、人間北斎の体内にうごめくものの自然な表現で、蛸はおそらく北斎自身の姿であろうと予想される。
(C)1981松竹株式会社
(C)1981松竹株式会社