江戸時代末期に発生した“ええじゃないか”騒動や百姓一揆など騒然とした世相を背景に、女相撲やろくろっ首など見せ物小屋が軒をつらねる江戸の東両国界隈に生きた下層庶民のバイタリティ溢れる生き様を描いたエンタテインメント大作。登場する人物も、アメリカに漂着して帰国した百姓の源次、その妻で今はストリッパーの先駆けともいうべき“それふけ太夫”に身を堕としたイネ、親兄弟を皆殺しにされ復讐心だけで生きているような琉球人のイトマン、サムライを捨てた旗本くずれ、ヤクザ、娼婦そしてその元締め…彼らがせめぎ合い、わき合い生きる様は正しく今村作品ならではの魅力である。時代は彼らを取り残さんとばかりに激しく流れていき、ラストシーンの両国橋をはさんで“ええじゃないか踊り”の群れと鉄砲を構えた権力者たちとの対峙は緊迫したスペクタルへとドラマを高めていく。