戦時下の“司法”描く終戦特集「気骨の判決」小林薫ら会見動画-NHK

2009年08月11日13時32分ドラマ
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番組制作情報を動画で伝えるNHKオンライン「コレ見て!MOVIE」は、8月16日(日)放送予定のNHKスペシャル終戦特集ドラマ「気骨の判決」より、主演の小林 薫、脚本の西岡琢也らが出席した試写会と記者会見の模様を配信開始した。

言論の弾圧激しかった戦時下、真っ向から不正へ立ち向かったひとりの裁判官の姿に、「こんな人が居たのか…」と、そう感嘆を漏らさずにはいられない。NHKスペシャル終戦特集ドラマ「気骨の判決」で描かれるのは、戦争末期の昭和20年、「翼賛選挙は無効」という判決を下したひとりの裁判官を巡る実録ドラマだ。主人公は小林 薫演じる翼賛選挙無効の判決を下した裁判長吉田久。原作は、3年前に最高裁判所の倉庫から発見された判決文をもとに綴られた、NHK大分放送局・清永聡記者の詳細な同名ノンフィクション「気骨の判決―東條英機と闘った裁判官」。

ドラマの時代背景となるのは、太平洋戦争真っ只中の昭和17年に東條英機内閣が行なった衆議院解散総選挙。「戦争に勝つため」というスローガンのもとで、基本的に軍部の方針を追認する「翼賛政治体制協議会」(通称「翼協」とされる)が推薦した候補者に支援が寄せられる一方で、「自由主義的」「戦争に非協力」などの理由で非推薦となった候補者に露骨な選挙妨害が繰り広げられていた。選挙の結果、翼協派が議席の大多数を占める翼賛体制が成立。戦争に異を唱えることはない「翼賛議会」が実現していく。

そんな中、兼吉前代議士を始めとする各地の候補者らから、いわゆる翼賛選挙の無効を求める訴えが、現在の最高裁にあたる大審院に起こされる。だが、多くの裁判官は尻込みした。時局を気にしたのだ。だが唯一、持ち前の実直さで裁判に取り組み始めた吉田久裁判官(小林 薫)らは、真相を究明するべく、鹿児島に乗り込んで大量の証人尋問を断行する。「なぜ人々は、戦争を熱烈に支持するのか?」「法律は、本当に市民を救えるのか?」という問いに苦悩しながら。果たして吉田たちは、いかなる「判決」に辿り着くのか。想いのすべてが注ぎ込まれたクライマックスの“気骨の判決”に、思わず息を呑む。

本作「気骨の判決」に、裁判長吉田久を演じた主演の小林 薫は、8月5日に渋谷のNHK放送センターで行われた記者会見にて、「その時代にあって、そんな判決をくだすのは並大抵のことではなかった」と収録をおえた今、あらためて吉田の気概を振り返った。「(たんに)偉い人物として演じたくなかった。そこに至るまでの迷いも含めて。でもやっぱり偉い人物だなあ」と結ぶ。また脚本を担当した西岡琢也によれば、「気骨とか勇気とか、一言で片づけられない。ヨタヨタしながら懸命に悩んだ一人の男として吉田を描きたかった」と。立派な人物だった、と単純化して語りたくない、人間としての葛藤をしっかり表現したい…それが演じた小林、描いた西岡に共通した思いだったようだ。そのほか会見コメントは、下記リンクよりNHKオンライン「コレ見て!MOVIE」にて。

NHKスペシャル終戦特集ドラマ「気骨の判決」は8月16日(日)、NHK総合にて夜9時から放送。

NHKオンライン 終戦特集ドラマ「気骨の判決」会見