東京スカイツリー、世界一の634mに。ライティングデザインも決定し、対談動画を公開

2009年10月16日21時10分映画
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東武鉄道と東武タワースカイツリーは、東京都墨田区業平橋・押上地区で開発を進めている「東京スカイツリー」の最高高さを634mに決定した。
同ツリーの最高高さについては、プロジェクト当初から約610mと案内されてきたが、世界各地で高層建築物が計画、建設されているなか、自立式電波塔として世界一をめざし検討を重ねた結果、最高高さを634mに決定したもの。
同ツリーは、五重塔の心柱制振など古来の技を日本の最新技術で再現。同ツリーが自立式電波塔として世界一となり注目度が高まることが、日本の文化や技術を世界に知らせるまたとない機会となる。
高さ数字を決定するにあたっては、世界一のタワー・地域のシンボルであるタワーとして、覚えやすい数字にしたいと考え、武蔵の国など「むさし」は日本人にとってなじみ深い言葉であることと、「634=むさし」という響きから、広く一般に覚えてもらいやすいと考えて決定した。
最高高さの634mは、第2展望台上のアンテナなどを取付るゲイン塔部分が長くなる予定で、展望施設(第1展望台350m、第2展望台450m)、放送施設、店舗、レストランなどに変わりはない。
また、同ツリーのライティングデザインも決定した。2007年8月に戸恒浩人シリウスライティングオフィス代表をライティングデザイナーに決定し、「下町~東京~日本へ広がる地域性」、「江戸~現代~未来へつながる歴史性」、「地球にやさしく環境時代にふさわしい象徴性」を基本コンセプトに照明演出計画の検討を行うとともに、器具、光源、配置計画などの技術的な検証を進めてきた。
今回、決定したライティングデザインは、江戸で育まれてきた心意気の「粋」と、美意識の「雅」という2つのオペレーションが1日こどに交互に現れる新しいスタイルのライティングで、今日に続く明日、明日の先に続く未来を表現。随所に江戸の原風景を継承するデザインを取り入れることでタワーの立つ下町の歴史文化を表した。
また、照らしている部分と陰になる部分が一体となって美しく感じられるライティングに取り組むとともに、最先端の照明技術を駆使し、環境時代を迎えた21世紀にふさわしい、省エネルギーと美しさが両立するデザインとした。
心意気を示す「粋」の姿では、隅田川の水をモチーフとした淡いブルーの光でタワーを貫く心柱を照らし出す。大地から力強く立ち上がり、隠さないで中を見せるイメージからは、気風の良さや潔さを感じることができる。
美意識を示す「雅」の姿では、鉄骨の細かな構造体を衣に見立て優雅で気品あるイメージを表現。江戸紫をテーマカラーとし、金箔のようなきらめきのある光をバランスよくちりばめる。
タワー頂部の光と2つの展望台を挟んで鉄骨構造体を照らす光が、タワーの裾野に向かってグラデーションを描き地面に溶け込んでいく様子は、江戸の原風景である富士山が雪を頂いた姿を重ねている。
展望台の上部に並ぶ流星のようなきらめきは、一定の速さで周り続け、過去と未来を結ぶ時を刻む光を表現している。
タワーの頂部を照らす光は、空に向かってたくましく伸び、人々の夢や希望を乗せて宇宙に向かって力強く輝く。鉄骨を照らす光は、タワーのもつ「そり」と「むくり」の美しさを際立たせる。
環境時代を迎えた21世紀では、省エネルギーと美しさが両立する新しいライトアップのあり方が問われる。同ツリーでは、日本で育まれた「陰影礼賛」の考えに習い、照らしている部分と陰になる部分が一体となって美しく感じられるライトアップに取り組んでいる。
照明器具や施工に関しても、世界に誇る日本の技術を結集し、LEDをはじめとする長寿命で高効率な光源を積極的に採用する予定だ。
オフィシャルサイト内の「TOKYO SKY TREE Web TV」では、「Rising East Pressから: 墨田に新しい夜の光が生まれる、東京スカイツリーのライティングデザイン!~対談: 戸恒浩人vs.伊藤香織」を公開している。
戸恒浩人と、公共空間をめぐってクリエイティブな提案をしている東京理科大学理工学部建築学科准教授の伊藤香織をゲストに迎え、同ツリーのライティングに込められた思いと公共空間との関わりについて対談した様子が収録されている。
人間らしさや江戸・東京がつむいできた心意気と美意識を取り入れた同ツリーの光のデザイン「粋」と「雅」、不自由で少ない東京の公共空間に加わる同ツリーのライティング風景を人々が使いこなす術など、同ツリーのライティングへの思いを語り合っている。
同ツリーは、2012年春開業予定となっている。

「東京スカイツリー」オフィシャルサイト