キスシーンを17回撮り直し!Netflix「今、私たちの学校は…」作品の裏側と魅力に迫る26分の長編コメンタリー動画公開

2022年02月06日23時50分ドラマ
Netflixシリーズ『今、私たちの学校は…』独占配信中!

Netflixオリジナルドラマとして韓国若手俳優勢揃いで学園を舞台にしたゾンビパニックドラマ「今、私たちの学校は…」(全12話)が1月28日に公開され、話題となっている中、監督・脚本家・主演俳優を交えたコメンタリー動画が公開された。

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「今、私たちの学校は…」はとある高校を舞台に突如としてネズミから広がったゾンビウイルスがパンデミックを起こし、周りの生徒が次々にゾンビと化していく中で生き残ろうとする人々と、これを助けようとする人々の活躍を描いたウェブ漫画が原作のドラマである。

今回公開されたコメンタリー動画には演出のイ・ジェギュ、脚本家のチョン・ソンイル、主演ナム・オンジョ役のパク・ジフ、イ・チョンサン役のユン・チャンヨン、チェ・ナムラ役のチョ・イヒョン、イ・ソヒョク役のロモンが出演し撮影の裏側や、作品を作るにあたって心がけていた事などを打ち明けている(一部中盤までのネタバレも含むので注意)。


コメンタリー映像は9つのパートに分かれタイトルにちなんだ副題がつけられている。

■#1 ゾンビとの出会い
イ監督によれば2話でゾンビウィルスが拡散して学校がパニック状態になった直後に描かれた食堂でのシーンは、臨場感をより生々しく伝える為にワンテイクで撮ろうとしてとても苦労したシーンだ」と振り返る。物理的に一日でワンテイクで撮るのは困難だった為にリハーサルをまる一日かけて行った翌日に本番の撮影が行われたという。脚本を担当したチョン作家もワンテイクでの撮影と聞き、最初は引き止めたと振り返った。

作中でも学生たちが初めてゾンビと直面するシーンであり、主演のパク・ジフは「ゾンビに扮装した俳優たちを見たのもこの時が初めてだったのでリアルな演技を見せられた」と語り、ユン・チャンヨンも「とても強い衝撃を受けて本当に窮地に追い詰められた気持ちになった」と振り返った。このシーンに登場しないチョ・イヒョンは「出演した俳優たちから7月なのに水に濡れながらのシーンだったので寒くて大変だったと聞いた」と明かした。これに対して、イ監督は寒いだけでなく足元が滑る状況だったのでより臨場感が生まれたと付け加え、作中でその頃、渡り廊下で声をかけられて甘酸っぱいやり取りをしていたチョ・イヒョンとロモンをからかった。

また、学校で一番印象に残った武器を尋ねられ、最も武器になりそうなものが揃っている食堂や音楽室、放送室など使えそうなものは全部使ったというイ監督。ロモンも「教室のドアを外して武器や盾に使うなんて想像した事もなかった」と振り返った。扉やガラスは本物だったのかとの質問に「本物だった」と返すロモンにイ監督が「あれは小道具だった、衝撃が加わるガラスに関してはシュガーグラスやアクリルを使って安全に撮影した」と弁解しつつも「本物だと思って演じてくれた」とフォローし、ロモンが照れ笑いする一幕も見られた。

感染した体育教師をカバンで殴るシーンがあったと振り返るパク・ジフは殴る勢いがあまりにも弱々しいからとイ監督を殴ってみるように指示されたという。これを聞いたパク・ジフは本気でイ監督を殴って、力加減をマスターしたと言い笑いが溢れた。

■#2 トイレ作り
作中で、放送室から身動きが取れなくなった学生たちがトイレを作るシーンが登場する。ネックピローを用いて便座を作る発想や、「デス(イム・ジェヒョク)のお尻がデカイから」というセリフは俳優たちのアイディアだったと語るイ監督。実際の現場ではジュニョン役のアン・スンギュンと、デス役のイム・ジェヒョクが一同の中で一番実際の年齢が上だったので年上らしく頼りがいがあって話し合いもたくさんしたおかげで面白いシーンがたくさん生まれたと振り返るチョ・イヒョン。また、寡黙な生徒会長でメンバーの中でもアドリブで何かを言わなくてもいい役だったから安心していたといい、あだ名が「管制塔」「氷姫」「エルサ」だったと明かし仲間同士であだ名をたくさん付け合ったと明かした。

■#3 今、私達のロマンス
ロモン演じるスヒョクとチョ・イヒョン演じるナムラのキスシーンについてチョン作家は台本から削ろうと検討した事もあったと明かし、イ監督も生徒たちの関係の亀裂をもっとドラマチックに描こうかと考慮したが結果的にはとてもいいシーンになったと振り返り、キスシーンを演じたロモンをからかう。このシーンは17回も撮り直されたそうだが、チョ・イヒョンが目を瞑ってキスをしようとしてロモンの唇がどこにあるか分からなかったからだと弁解し、撮影中もロモンに謝ったが「僕は嬉しい」と返したエピソードを暴露した。ロモンも「緊張していたが俳優がロマンスドラマをやりたがる理由がわかった。一番大切なシーンだ」と付け加えて笑いを誘った。

スヒョクに想いを寄せるオンジョが髪を解くシーンに我ながら可愛いと同意を求めたパク・ジフ。現場ではほぼ最年少となったパク・ジフが共演者にふざけて「おじさん」「おばさん」と呼んでからかわれたと明かすチョ・イヒョン。

作中でスヒョクに自分の名札を渡すシーンが登場するのだがこれについてイ監督は「最近の子供たちは名札をあげて告白しないよね?」と質問し、パク・ジフも「ありきたりな告白方法ではない」と答えた。また、後半に再び名札が登場する心が痛む場面があるとネタバレを始めたイ監督に、あのシーンで泣いたと明かす一同。

大きな災難や最も幸せな時に一番際立つのは「関係」だと説明し、「関係」にフォーカスして作品を作り、生きるという事も重要だがどうやって生きるかがもっと重要というメッセージを詰め込んだと明かすイ監督。チョン作家も誰が誰を好きで誰が誰と仲がいいのか、それが状況が変わるとどうなるのかと悩んだが、それよりも悩んだのは最近の学生がどのように人を好きになるのかが分からなかった事だと明かし、自身が高校を卒業して30年経ったと振り返った。脚本やト書きを書く際も「子供たち」という表現を使ってしまうと、大人の目線から物語を書いてしまいそうだったので「子供たち」という表現を一切使わないよう気をつけていたという。

■#4 図書館に現れたゾンビ
ゾンビが歩き回る図書館で本棚の上を飛び移るシーンについて、ユン・チャンヨンの代役を務めたスタントがとてもよく助けてくれたが、撮影が後半に進むほどに代役が必要ないのではないかと言われるほどユン・チャンヨンのアクションが成長したというイ監督に「演技とは違う面白さがあった」と語るユン・チャンヨン。

また、グィナム役のユ・インスも実際には高い所が苦手なのに高さが3mもある本棚の上で本番になった途端に役に入り込んで難易度の高い演技を見せてくれたと評価した。また本棚の上で二人の生徒が戦うシーンでは激しいアクションに集中しながらも、それぞれの役が置かれている精神状態や劇の流れを逃さずにうまく演じて印象的なシーンになったと振り返った。

■#5 ギョンスを死なせたナヨン
感染してしまったギョンス(ハム・ソンミン)を自己中心的な生徒ナヨン(イ・ユミ)が追い出そうとするシーンについて。チョン作家は感染したギョンスの目線から語られた原作のこのシーンを見て執筆を決めたと打ち明けた。このシーンでチョ・イヒョンがイ・ユミにビンタする場面が登場するが、人を殴る役が初めてで緊張したというチョ・イヒョンだがイ・ユミから「一度で決めろ」と言われ「よくやった」と褒められたと明かして笑いを誘った。

ナヨンがギョンスの傷口にゾンビの血がついたハンカチをあてて感染させた事が明らかになり、それを責めた生徒たち。味方がいないナヨンは絶望してゾンビがうろつく教室の外に出ていってしまうのだが、これについてナヨンを責めた生徒会長役のチョ・イヒョンも見方を変えればナヨンを殺したと考えられると当時役に入り込む中で複雑な気持ちになったと振り返った。また一人友人を失い、仲間同士で亀裂が生じたこのシーンは各キャラクターの心情に変化をもたらす重要なシーンとなった。

イ監督は一般的にはナヨンが悪役だが、ナヨンを危険な状況に放り出してしまう状況自体が悲劇的で加害者と被害者の区別が難しいと語り、生徒たちに波風を立てつつもただ悪役として終わらせてはいけないキャラクターを想定していたという。作品中では登場しなかったがチョン作家はナヨンの行動を裏付ける家庭事情などの設定も脚本に書いていたが相談の結果、削ったと明かし、代わりにナヨンの複雑な事情を抱いて悪行を表現できる役者を探してイ・ユミに依頼をしたところ思い描いていたナヨンのように演じてくれたとイ・ユミの演技を評価した。

■#6 職員室を目指すチョンサンとスヒョク
携帯電話を手に入れる為に窓をつたってチョンサンとスヒョクが職員室へ向かうシーンについてはこの作品のために作られた学校の外壁を模した4階建ての高さのセットを使った事が明かされ、映像も紹介された。セットでの撮影とCG、そして実際に安東市の高校で撮影された映像と合わせなければいけなく非常に困難だったと振り返るイ監督。ゾンビに襲われそうになって間一髪はしごを使って教室に逃げ延びるシーンでははしごを登るシーンは安東市で撮影して、登りきったシーンはセットで撮影したと振り返るチョ・イヒョンは「はしごを登る為だけに安東に行った」と笑いを誘った。

窓枠をつたっていくシーンを改めて観た一同。セットとはいえ高所での撮影だったがワイヤーを装着していたので怖くなかったが、腕力を使うシーンでは辛かったというロモン。ロモンの表情が子供みたいというチョ・イヒョンに「前の日にチャジャン麺を食べたからか顔がむくんでいる」と笑い合う一幕も見られた。

作中で窓枠に掴まりながら恋愛の話を始めた事についてユン・チャンヨンは「職員室に行って携帯電話を持って帰れば助けが呼べるという希望を抱いていたのでごく自然な会話だった」と振り返り、ロモンも台本を見ても違和感を感じなかったと付け加えた。

■#7 蘇るグィナム
作中で理性を失わずに免疫を獲得して半ゾンビ状態になったグィナムが目を覚ますシーンについて、グィナムの顔にとまったハエを見てあれはCGだと明かすイ監督だが、チョ・イヒョンは撮影現場にハエが多かったと振り返り、パク・ジフもカットになるたびにハエと戦っていたと明かした。本作で大量に使われた血を表現する為に甘い原料が使われてたからだそうだ。

グィナム役を演じたユ・インスについて、青少年演技大賞を見て当時18歳だったユ・インスに惚れ込んで注目していたとオファーの経緯を明かしたイ監督。「見れば見るほど可愛い男=グィナム」とユ・インス自身が言っていたと聞いて吹き出す一同。一番情熱的で見れば見るほど格好良いとは感じたとフォローするチョ・イヒョン。自分でそう言ってたのか?と信じられない表情のユン・チャンヨンはユ・インスと家が近所で休みの日に高台の公園で夜景を見ながら3時間も演技について語り明かし、親友であると認めた。

また、作中でグィナムが着ている「心はひとつ」と書かれたジャージについて、原作に登場した衣装へのオマージュだったと明かすイ監督。更にここでイ監督の口からゾンビに噛まれても死なずに特殊な能力を得る免疫者の設定について語られ、チョン作家も悪にも守護者にもなりうるこの特殊なゾンビの設定が最も難しい部分だったと認めた。

■#8 ナムラを包むオンジョ
ゾンビに噛まれても死なずに強大な力を手に入れたグィナムに噛まれて自身も特殊なゾンビになってしまった生徒会長ナムラに仲間たちが警戒するシーンについて。パク・ジフはこれまで対立してきたナムラとオンジョが初めてお互いに支え合えた大好きなシーンだと言及。イ監督とチョ・イヒョンは共に「ナムラの性格だったら何も言わずに教室から出て行った方が自然なのでは?」という迷いがあったというが何度もリハーサルを重ねて自然な演技を完成させたという。チョン作家も放送室での出来事(上記#5参照)がなければナムラのこのセリフは成立しなかったと分析した。

全ての生徒の立場や感情に共感できるように心がけていたというイ監督。感染したナムラに対してクールで愛情が籠もった対応を演じたロモンも台本を呼んだ時は少し戸惑ったというが「祖母と暮らすスヒョクという立場から見たら一番守りたかったのは愛だったのではないか」と自己分析した。

チョン作家も「生きる上で一番活用するのは経験と知識だが、ゾンビ事態という未曾有の状況では最も重要なのは人間の本性でそれがうまく見せられたシーンだ」と振り返った。

■#9 屋上で輪になって歌う仲間たち
屋上に避難した一同が火を起こして歌を口ずさむシーンについて、このシーンが最愛のシーンだと語るパク・ジフ。このシーンで登場する歌はデス役のイム・ジェヒョクが作詞作曲した曲で、休み時間にも口ずさんでいた事が明かされ、ユン・チャンヨンは今でも口ずさんでいると言って笑いを誘った。イム・ジェヒョクについて、ミュージカル志望の俳優からは有名な役者だと聞いたイ監督が屋上で歌を歌ってみたらどうかと提案して実現したと経緯を明かした。チョ・イヒョンは「以前はクラスメイトと距離を置いてイヤフォンを付けてばかりいたナムラにとっては初めて聞く歌だったがようやく一緒に歌える友達ができて嬉しかった」と率直な感想を告白した。

火を囲むシーンでは実際にこれまでの撮影を思い出して、自然と求められている演出に近い雰囲気が出せたとパク・ジフが振り返り、撮影の合間には写真もたくさん撮ったと明かした。ロモンはようやくゾンビがいない屋上に辿り着けた安心と余裕が表現できたと振り返り、チョ・イヒョンは冬の野外での撮影に放送室のシーンからブランケットを持って屋上に向かうよう監督に意見を出したと明かし、イ監督もブランケットがなかったら大変な事になっていたと認め、寒い中での撮影では撮影が中断するたびに出演者が輪になって抱き合って通称「ペンギン技法」で暖を取っていたと明かした。

■ファンに向けてのメッセージ
最後に作品のファンに向けてのメッセージでコメンタリー動画は幕を閉じた。内容は以下の通りだ。

「2年間、俳優やスタッフと大変だったが本当に楽しく作り上げてきた作品だ。音量を少しだけ大きくして、普段より少し灯りを暗くした状態で観てもらえば完全にドラマにのめり込んで楽しんでもらえるはずだ」(イ監督)
「全員が全ての力を注いで作った作品で各エピソード毎に多様なアクションや多様な感情もあるので飽きずに観てもらえると思う」(パク・ジフ)
「骨身を削って全身全霊を注いで作った作品なので楽しんで観て欲しい」(ユン・チャンヨン)
「参加者全員が積極的に頑張って作り上げた作品なので是非観て欲しい」(チョ・イヒョン)
「我々ここにいる俳優もここにいない俳優のみんなも、これからの成長過程をたくさん観て欲しい」(ロモン)
「ここまでは我々の時間だったがこれからは視聴者皆さんの時間だ、楽しんで観て欲しい」(チョン作家)


このドラマはゾンビという非現実的な題材を扱いながらも、高校が舞台であり、大人でも子供でもない多感な年頃の主人公たち誰を取っても共感ができる作品だ。撮影はどのように行われたのか、どのようなメッセージ性を込めて作り上げられたのか、また俳優陣はどのような想いで各シーンを演じていたのかが語られた今回の映像を観た後にもう一度本作を観てみると新たな発見があるのではないだろうか。

「今、私たちの学校は…」(全12話)は1月28日からNetflixオリジナルドラマとして独占配信中だ。


■スタッフ
演出:イ・ジェギュ
脚本:チョン・ソンイル
原題:지금 우리 학교는

■キャスト
ナム・オンジョ役:パク・ジフ
イ・チョンサン役:ユン・チャンヨン
チェ・ナムラ役:チョ・イヒョン
イ・ソヒョク役:ロモン
ユン・グィナム役:ユ・インス
パク・ミジン役:イ・ウンセム
イ・ナヨン役:イ・ユミ
キム・ヒョンジュ:チョン・イソ
イ・ビョンチャン役:キム・ビョンチョル
チョン・ヨンナム役:ユン・ギョンホ
ソン・ジェイク役:イ・ギュヒョン
ナム・ソジュ役:チョン・ベス
パク議員役:ぺ・ヘソン

予告動画(Youtube)
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