大御所俳優が唐揚げを巡ってキャラ崩壊!Netflix「タッカンジョン」の中毒性と魅力を大解剖

03月17日00時18分ドラマ
Netflixシリーズ「タッカンジョン」独占配信中

イ・ビョンホン監督×リュ・スンリョン×アン・ジェホンの韓国ドラマ「タッカンジョン」がNetflixにて本日3月15日(金)に全10話一挙配信を開始した。唐揚げに変身した娘を助けるというB級感漂う作品ながら、一度観たら忘れられない中毒性を持ち、ぜひおすすめしたい作品だ。この作品の魅力を考察してみよう。
【「Netflix」で独占配信の韓国ドラマ】




「タッカンジョン」は、謎のマシンに入り、タッカンジョン(甘辛いソースのかかった鶏の唐揚げ)になってしまった娘ミナ(キム・ユジョン)を、父ソンマン(リュ・スンリョン)と彼女に片思いしていた男ベクチュン(アン・ジェホン)が必死に人間に戻そうとする同盟ウェブトゥーンを原作としたコメディミステリー。

■キャスト
チェ・ソンマン役:リュ・スンリョン
コ・ベクチュン役:アン・ジェホン
チェ・ミナ役:キム・ユジョン (特別出演)
ホンチャ役:チョン・ホヨン(特別出演)

 他

■あらすじ
発明が好きな社長スンマン(リュ・スンリョン)と作詞作曲が趣味の個性的なファッションの社員ベクジュン(アン・ジェホン)、変わり者の二人にツッコミを入れながらも自身もどこかずれているキム代理(キム・ナムヒ)の3人しかいない小さな機械工場にある日、人がひとり入れるほどの奇妙な機械が送られてくる。

父スンマンにタッカンジョン(※鶏の唐揚げ)を差し入れに持ってきた娘ミナ(キム・ユジョン)は、ある誤解から機械に入り、タッカンジョンになってしまった。目の前で片思いの相手がタッカンジョンになってしまったことに動揺するベクジュンと父スンマン。さらに他のタッカンジョンと混ざってどれがミナなのかわからなくなってしまう。

機械の正体や出どころを探る二人は機械がふたつ存在することや研究の第一人者だったユ博士(ユ・スンモク)が謎の失踪を遂げたことを突き止めた。ベクジュンの元恋人でフードコラムニストのホンチャ(チョン・ホヨン)のおかげでタッカンジョンの中からミナを特定し、機械の正体に近づく二人だが、そんな矢先にミナと機械は何者かに盗まれてしまう。

機械を盗んだのはユ博士の甥のテマン(チョン・スンギル)だった。幼い頃から頭脳明晰だった彼は叔父が持ってきた漢方薬を兄テヨン(GOT7 ジニョン)に飲まされたせいで、学生時代から50代にしか見えない老け顔になってしまい、叔父や兄を恨み、機械を使って兄に成り代わろうとしていた。しかしなんと機械からは失踪していたユ博士が現れた。

ユ博士とコンタクトを取った二人は約束の場所でミナを奪還すると、発明した即席銃でテマンを牽制。一度は冷静になった一同にユ博士は一家に200年前から伝わる絵を見せ、機械がいわゆる「オーパーツ」だったことを告げる。機械が故障したことに落胆する二人は隙をつかれて監禁されてしまう。

同じ頃、街で大繁盛しているタッカンジョン屋のベクジョン(キム・テフン)らもひそかに機械を探し出してユ博士らがいる廃工場に潜り込む。彼らの正体は宇宙人で、彼らが持ち込んだ機械は朝鮮時代に人間に悪用されて以来、行方が分からなくなっていた。

宇宙人の乱入と説得を気にもとめず博士らと対決を試みるスンマンら。三つ巴の大乱闘の末、機械にはあと一回分のエネルギーしか残されておらず、ミナを元に戻すか、宇宙人たちを故郷に返すかの選択を迫られたスンマン。彼らの惑星にミナを連れて行き元に戻す方法を提案されるが、それは50年もの長い間、娘と別れることを意味していた。果たしてスンマンが選んだ選択肢とは…?

■見どころ
「唐揚げに変身した娘を助ける」という、いくらSFとはいえども常人の発想の斜め上をいく突飛なプロットにこの作品を観るか観まいか悩んでいる視聴者は多いのではないだろうか。ここまで溢れんばかりにB級感を醸し出してくる作品も珍しいが、いい意味で予想を裏切られる作品で、一話あたり30分前後という尺も手伝って1話観たら止まらなくなってしまうはず。

まず魅力的なのは作品の随所に散りばめられたコミカルな要素だ。この作品ではウィットに富んだ言葉遊びが多用され、他のドラマでもありがちな展開に対する辛辣なツッコミや、ダジャレが毎回数多く登場する。同監督でアン・ジェホン出演の人気ドラマ「恋愛体質~30歳になれば大丈夫」を使ったパロディも登場する。更に地上波ではとても流せないような「くそ」という表現がやたら登場し、豪華俳優陣が放送禁止用語を連発する様子は衝撃的だ。

セリフだけでなく登場人物の動きにも随所に笑いが盛り込まれ、本来ならば緊迫感を強調して描かれるような大ピンチのシーンでも白目を剥いて奇妙な動きでのたうち回ったり、ゾンビのような動きを始めたりと「この大スターにこんなセリフを言わせるのか!こんな動きをさせるのか!よくこの役引き受けたな!」と何度も驚かされる。いじめっ子を助けてミナと一緒に不良から逃げるベクジョンの回想シーンはスローモーションで描かれ、逆に最近では見られない古典的な雰囲気を醸し出しているが、よく見るとキム・ユジョンが屈託のない笑顔を浮かべながら不良に向かってなんと中指を立てているのだ。終盤で正体を明かした宇宙人がスンマンらの争いを止めようと威嚇するシーンではシカのモノマネを始めたり、キム・テフンがBTSを踊り始めたりとカオスさが頂点を極める。

ドールハウスから飛び出したようなビビッドなファッションのアン・ジェホンや、鬼太郎みたいな髪型で奇妙な動きをするマッドサイエンティストを演じたユ・スンモク、51歳にして老け顔の20代を演じたチョン・スンギルなど個性的すぎる主要なキャラクターだけでなく、「イカゲーム」のチョン・ホヨンや、GOT7のジニョン、ベクジョンの父親役にコ・チャンソクほか、ため息が出るほど豪華なキャストがそれぞれ今までにないコミカルな役で見事にぶっ飛んでいる。

上述の通り一話が30分前後なので、見やすいことに加え、内容がぶっ飛んでいる割には物語の軸はとてもテンポよく進みついつい時間を忘れて一気に観てしまう中毒性がある。同様に内容がぶっ飛んでいる割に登場する小道具が近未来的でいちいちポップ。傷まないように厳重にガラスケースに入れられたタッカンジョンのシュールさが際立つ。

第9話で究極の決断を迫られるシリアスなシーンで幕を閉じると、第10話では誰も予測できなかった未来の世界が描かれるのだが、ミナは無事に人間に戻れるのか、スンマンは無事にミナと再会できるのか?ぜひその目で確かめてほしい。

「タッカンジョン」ではあまりに多くのギャグ要素が詰め込まれているため、一度でその全てに気づくことは難しい。二度三度観たくなるドラマでもあり、その都度新しい発見を楽しめるに違いない。


■作品紹介
制作国:韓国
制作年:2024年

スタッフ:
演出・脚本:イ・ビョンホン
原作:パク・ジドク『タッカンジョン』(NAVERウェブトゥ ーン)
原題:닭강정
制作:スタジオN、プラスメディアメントテイメンツ
配信:Nシリーズ 2024年3月15日独占配信 Netflix


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