テクノ・ギャラリー全63話

東京工業大学の矢部孝教授は、CIPと呼ぶ画期的なシミュレーション手法を開発した。これまでのシミュレーションが必要とした計算量の81分の1で済むというもので、数値計算の量と効率を大幅に少なくする事に成功した。これはコンピュータが計算に使う格子点を増やす代わりに、そのポイントでの傾きを加味するもので、3次関数の計算を微分量である2次関数にできるものである。さらに格子の量を一方向につき3分の1にしても、同等の精度を確保できるので、結局タテ・ヨコ・高さ・時間の4次元につき3分の1の4乗、すなわち81分の1まで減らすことができるのである。だが最初に発表したころは、それまでの常識をことごとく塗り替えるものであったため、「奇異なる発想」だと言われたのだという。しかし、固体・液体・気体の物質の3相を同時に解くことができる唯一の方法であることがわかったり、NASAが手を焼いたすい星と木星の衝突を普通のパソコンで解いたりした実績は現在揺るぎ無いものを持っている。
  • 矢部孝 東京工業大学教授、深貝大輔(ナレーター) ヴォイスガレージ、
  • 再生時間 : 29分
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大陸の移動を説明するために、70年代に提唱された理論、それが「プレートテクトニクス」。地殻は何枚かの板(プレート)によって成り立っており、そのプレートが水平移動したり、海溝に沈みこんだりする時に、大陸移動や地震が起こる、という考え方だ。しかしそれならば、プレートを移動させる原動力はなにか? 沈みこんだプレートはどうなってしまうのか? 数々の疑問がわきあがる。この疑問を解決するのが、東工大の丸山茂徳教授たちが提唱する「プルームテクトニクス」だ。地殻の下にあるマントルという鉱物の塊の層が、じつはダイナミックに変動している、と考えるその理論、もともとは地球と水との関わりを考察していて辿り着いた考え方だ。地球に海ができたのは40億年前。その後、海が少しずつ減っていき、10億年ほど前に最初の大陸ができたわけだが、では海水はどうして減ったのか? じつは、地殻がプレートを取り込む時、海底の岩盤は圧力がかかって、海水を結晶の形で取りこむ含水鉱物となって沈んでいく。沈みこんだプレートは、いったんマントルの上部でたまり、そこで温められて、含んでいた海水を吐き出す。その後、プレートは核に向かってマントルの底に沈んでいく。プレートが沈んだ分、別のところから高温のマントルが盛りあがり、地殻に向かって噴出する。このキノコ状の巨大なマントルの盛り上がりを、丸山は「スーパープルーム」と命名し、スーパープルームこそが、プレート移動や火山活動の原動力になっていたのだ、と喝破したのだった。そして、マントルを変動しやすく柔らかくしている物質こそ、プレートとともに取り込まれた水なのだ。水の不思議な性質と、そこからわかった地球の歴史、構造について、丸山教授が解説する。
  • 丸山茂徳 東京工業大学、森永理科(ナレーター) フリー、
  • 再生時間 : 29分
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2001年2月に発表され、世界的に注目された超伝導の新材料ニホウ化マグネシウムの発見秘話。出演は秋光純青山学院大学教授。
  • 秋光純 青山学院大学、TAICHI 山田 ㈱アットウィル、
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人類が抱える重要な環境問題である、「地球温暖化」。化石燃料の大量消費が原因である、二酸化炭素の増加によって生じるこの現象を食い止めるためにはどうしたらいいのか。東京工業大学の平井秀一郎教授が取り組むのは、その二酸化炭素を液体にして海に溶かすというもの。その研究「二酸化炭素の海中貯蔵」について、くわしく紹介。
  • 平井秀一郎 東京工業大学、中尾みち雄(ナレーター) 青二プロダクション、
  • 再生時間 : 29分
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空気清浄機、風呂、トイレの抗菌、排ガスで汚れるのを防ぐトンネル照明、ガラスの曇り止めなど、今や「光触媒」はいたるところで使われている。光触媒とは、自身は反応の前後で変化しないが反応を促進するものである。その代表が植物の葉緑素だ。30年程前、日本で葉緑素のような光触媒物質、酸化チタンの性質が発見された。この酸化チタンを使って、植物のように太陽エネルギーから我々が使えるエネルギーを作り出す、人工光合成システムを作ろうというのが、今回紹介する研究者の研究である。橋本和仁さん、東京大学先端科学技術研究センター教授。彼の話を通して、植物の営みがいかに地球を支えているかが分かるだろう。
  • 理学博士 橋本和仁 東京大学先端科学技術研究センター、中尾みち雄(ナレーター) 青ニプロダクション、
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太陽の表面(光球)の温度は六千度、一方、太陽の周囲を取り巻く高温の大気「コロナ」の温度は百万度以上に達する。しかし、「熱力学の第二法則」によれば、熱は熱いものから低いものへの一方通行のはず。ではなぜ、太陽は表面よりも噴き出すコロナの方が高温になっているのか? この謎を解明するメカニズムが「磁気リコネクション」。東京大学の星野真弘さんが、オーロラ発生の原因でもある「磁気リコネクション」についてわかりやすく解説します。
  • 星野真弘 東京大学 大学院理学系研究科、森永理科(ナレーター)フリー
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慶応義塾大学心理学動物実験室。ここで比較認知科学と呼ばれる研究をしている、渡辺茂教授を紹介する。高度な知的能力は人間だけが持っている、私たちはそう考えがちだ。しかし、渡辺教授はいろいろな動物に目を向け、認知の多様性を研究している。彼が広く世界に注目された研究に、ハトにゴッホとシャガールの絵の区別ができるかという実験がある。訓練により、ハトは初めて見る絵でもゴッホとシャガールの絵を、画風を見て区別が出来るようになり、さらにモザイクをかけても識別できるという。比較認知科学を探求する中で、渡辺教授は、動物の認知を脳の構造へと結びつけて考えるようになってきた。それは、比較認知神経科学という新しい分野の研究へとつながる。渡辺教授の独自な発想による心の研究は続く。
  • 渡辺茂 慶応義塾大学心理学動物実験室、中尾みち雄(ナレーター) 青ニプロダクション、
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ソニーコンピューターサイエンス研究所インタラクションラボラトリー室長、暦本純一さんの研究を紹介。暦本さんが研究しているのはコンピューターのユーザーインターフェース。コンピューターがさらに普及し誰もが持ち歩くような環境になった時、コンピューター間が常時ネットワークでつながることになるだろう。しかし今のままではネットワークでデータのやりとりをするのは、一般の人間には今ひとつ分かりにくい面がある。そこで暦本さんが考えているのは、まるで物をつかんで置くような感覚でデータのやりとりができるインターフェースなのである。コンピューターが鉛筆のように誰もが簡単に使える道具となることを目指し、斬新なインターフェースの数々を開発している暦本さんの研究を、デモンストレーションを交え紹介する。
  • 暦本純一 ㈱ソニーコンピューターサイエンス研究所、TAICHI 山田 ㈱アット・ウィル、
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東京農業大学 発酵生産科学研究室の角田教授を紹介。微生物の中の「キャンディダ・プルケリマ」という酵母菌が語ってゆく構成。まず微生物とは一般的に大きく分けて酵母菌、カビ、バクテリアの三つの分けられる。酵母菌はビールやワインなどの製造に役立っている。麹カビは日本酒、醤油、味噌の製造、バクテリアの中の乳酸菌はチーズなどを製造するのに人と密接に関係している。しかし人間は、この微生物たちの姿だけでなく、働きもまったく、認識していない。そこで例えば微生物は人間の身の周りの空気の中や、南極や海底火山にもいるということや、大きさを紹介、さらに微生物のつくる酵素による働き、すなわち、発酵について詳しく説明する。その後、「キャンディダ・プルケリマ」という酵母菌がいったいどのような働きをもっているかを実験(ジアゾ結合で構成した色を「キャンディダ・プルケリマ」が出す酵素で消す)にて説明した後、「キャンディダ・プルケリマ」という酵母菌が発見に至るまでの苦労を角田教授が説明する。この研究に相当な根気でいどんだ角田教授の趣味(カメラ)を話していただく。角田教授が今現在、期待している動物性の油を植物性の油に変えるカビの出す酵素の研究を説明。このように発酵とは、食品だけでなく、いろいろな分野に関わっている.例えばカビがつくる抗生物質など医療の分野にも今日やくだっている。人間は発酵という分野の入口にまだまだ立ったばかりである。今後は目に見えないミクロの巨人たちの力を理解し、信じることで軌跡は生まれるだろう。
  • 農学博士 角田潔和 東京農業大学 発酵生産科学研究室、深貝大輔(ナレーター) ヴォイスガレージ、
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茨城県の農業生物資源研究所放射線育種場が持つ、半径100mの「ガンマーフィールド」。ここでは、中央の放射塔から発せられるガンマ線によって、周囲に栽培された植物に突然変異を発生させる。その中から、病気に強い品種や、色にバリエーションあるものなど、有効な品種を選び出して栽培する。場長の永富成紀さんに話しを聞く。
  • 永富成紀 農業生物資源研究所放射線育種場、中尾みち雄(ナレーター) 青二プロダクション、
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