【大河コラム】「西郷どん」吉之助が命じられた“庭方役”は雑用係?
NHK大河「西郷どん」第9話で江戸勤めとなった西郷は、薩摩とは全く違う江戸の暮しに戸惑いながらも、今後ここで活躍していくことになる!そんな西郷が主君・島津斉彬から仰せつかったのは“庭方”…今回は、この庭方についてご紹介しよう。
吉之助が藩主・斉彬から拝命した“庭方役”とは、文字通り、屋敷の庭に控えて、庭の掃除などをする雑用係のこと。地位の低い西郷は、主君に謁見などもってのほかだが、たまたま庭掃除をしているときに、主君が通りかかれば用事を言いつけられる。実在の西郷もドラマのように庭方役を仰せつかり、諸々の雑事や公式にできない密事を斉彬から任された。地位こそ低いが、秘書のような立場と考えるといいだろう。密事などを頼むために、主君との関係は至って近く、西郷も斉彬と長時間話し込むこともたびたびあったそうだ。
第9話では、憧れの斉彬から「そなたの命をわしにくれ!」という、吉之助にとっては夢のような言葉が下された。しかし、これをボディーガードのような意味に捕えた吉之助は、「少年のころの腕の傷を負ったために、刀で主君をお守りできない」と断ろうとした。このことから斉彬は、目の前の大きい図体の吉之助が、かつて(第1話)出会った少年だと気づいた。少年時代のエピソードは番組の最後に「このとき斉彬が薩摩に来た記録はありません」とナレーションが入っていた通りフィクションだが、ここにきて改めて効果的な演出だったと感じ入った。
おまけに刀を振れない吉之助のために斉彬は自らの小刀を授けるという特大サービスも飛び出し、大歓迎の吉之助は「命をかけて庭掃除」をすると誓って、斉彬をあきれさせた。
劇中、さっそく、水戸の徳川斉昭に書状を届けたが、実在の西郷も、この庭方役の間に、斉昭や幕府老中の阿部正弘、越前の松平慶永らとの連絡係を任され、他藩の名士たちと交流する機会を得られた。これこそが、後に西郷の大きな財産になるのだ。
第10話で吉之助は、新たなお役目として篤姫様付用人に任命された。
◇NHK 大河ドラマ「西郷どん」番組公式サイト
◇NHKオンデマンド「西郷どん」
※【「西郷どん」を2倍楽しむ】では、ドラマの時代背景や豆知識、各話の詳しいあらすじなどをまとめて紹介していく。
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