「シュルプ」第3話:息子のセクシャリティに向き合う母キム・ヘスの姿に涙

2022年10月23日15時10分ドラマ
Netflixシリーズ『シュルプ』独占配信中

キム・ヘス主演で、朝鮮時代の教育ママの奮闘を描いたコメディ時代劇「シュルプ」(全16話)前回、四男の女装趣味を知ってしまったファリョンはどう息子と向き合うのか?気になる第3話のあらすじと見どころを紹介しよう。
※視聴率は7.0%(ニールセンコリア、全国調べ)

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「シュルプ」は、トラブルメーカーの息子たちと、王座を狙うライバルの策略…さまざまな問題に振り回されながら、未来の朝鮮王を育て上げるために日々奮闘する王妃の姿を描く。



■第3話あらすじと豆知識
四男ケソン大君(ユ・ソンホ)が隠れて化粧をする趣味がある事を知ってショックを受けるファリョン(キム・ヘス)。密かに彼の動向を調べていたコ貴人(ウ・ジョンウォン)も、彼の秘密の趣味を知り、ライバルを陥れようと大妃(キム・ヘスク)に密告するものの、不確かな情報で王家の品位を落とすべきではないと叱責されてしまう。

陪童を選出する試験が始まり、我が子を送り出す母親達。合格を祈りながらも、高貴な出自の揀択後宮と、宮女出身の承恩後宮で受験対策に雲泥の差があった事に不満をささやく。しかし、その場にファリョンの姿はなかった。その頃、再び世子(特別出演 / ペ・イニョク)が倒れたと知ったファリョンは世子が自ら病状や治療の詳細を記した日誌を受け取る。世子が倒れる頻度・意識を失っている時間が増え、噂は宮中にも広まり始めていた。
※陪童(ペドン):世子と共に王になる為の学問を学ぶ学友。

一次試験では数学、作文のほか、王(チェ・ウォニョン)が突発的に出題した問題で知識や計算力、柔軟性を試される王子達。一次試験の結果、4人が次の試験への進出を果たす。その中にはファリョンの次男ソンナム大君(ムン・サンミン)と四男ケソン大君も含まれていた。

ファリョンは夫である王のもとを訪れると内官達の前で、世子の皮膚病を理由に温泉療養の許可を求める。世子を載せた駕籠が療養地の温陽へ向かい、宮中での噂も落ち着きを見せる中、ファリョンは極秘で世子を自らの暮らす中宮殿に移動させ面倒を見ようとしていた。しかし、ファリョンのよき相談相手だったシン尚宮(パク・ジュンミョン)は大妃に世子の病状を密告していた。

一次試験も終わり、ケソン大君と向き合う必要性を感じたファリョンは、ケソン大君が廃屋へ向かわないよう、ソンナム大君と勉強をさせる事にするが、ケソン大君の噂を大妃も知っているようだと告げるシン尚宮の言葉に動揺。更に大妃からケソン大君の事で呼ばれると意を決して大妃のもとへ向かう。

大妃は散策と称して王を連れて、ケソン大君の廃屋に連れて行き、真実を暴こうとする計画だった。ファリョンも散策の誘いを断りきれず同行するが、シン尚宮の機転で散策への参加を免れる。

何も知らずに廃屋へ向かうケソン大君、そして大妃と王が見たのは燃え盛る廃屋だった。テイン世子の死の真相が火災で消失し、詳細を知る御医も別の火事で死んだと聞いたファリョンはそれが大妃の仕向けた事だと気づき、「火事には火事」でケソン大君の秘密をもみ消そうとしたのだった。やって来た大妃と真っ向から対立するファリョン。

焼け落ちた廃屋で途方に暮れ、涙をこぼすケソン大君。化粧をしていた時に物音が聞こえた事を思い出した彼は修城禁火司を訪れ、火災を通報したのは誰かと尋ねる。廃屋を燃やし、通報させたのが母ファリョンだと気づいたケソン大君は、真の姿を知っているのになぜこんな事をしたのかと責める。
※修城禁火司(スソングムァサ):宮中の消防を担当していた機関。

ファリョンは廃屋を燃やした理由を見せると言って東門へ呼び出す。雨の中、母に連れられ王宮の外のある場所にやって来たケソン大君。鮮やかな着物と髪飾りを渡され、美しい女性の姿で肖像を描いてもらう。その頃、外で待っていたファリョンはシン尚宮に、息子の気持ちを考えての行動だと心の内を明かす。

出来上がった絵を見て涙を浮かべるケソン大君。表で待っていた母は、「誰にも秘密があるが全て表には出せない、真の姿を思い出したければその絵を眺めろ」と優しく抱きしめるファリョン。なぜ怒らないのかというケソン大君に、「最初は途方に暮れたが怒りはしなかった。どんな姿であれ大事な息子だ」と告げ、もし娘が出来たら渡すつもりだったという母の形見のかんざしをケソン大君に渡す。

いつか隠す必要がない日が来るはず…ケソン大君の横顔を見つめながらファリョンは思う。

■見どころ
第3話では、いよいよ試験が始まり、王子達が競い合う中、女装の趣味が露見したケソン大君に危機が迫る中、彼を守ろうとするファリョンの葛藤が描かれ、スリリングながらも涙を誘う展開が描かれた。

一番の見どころは、息子のセクシャリティと向き合う母親の姿だろう。現代でもタブー視される事が多いトピックを時代劇で描くという発想は斬新だが、同じ課題を抱える母親にとっては、非常に勇気づけられ、どう向き合うべきかを教えてくれる教本の役割を果たしたに違いない。

「男が化粧をして女の格好をする」これは現代でも根強いヘイトが存在するデリケートな問題で、実際に我が子がそうだとしても反対したり、知らないふりをしてしまう親も多く存在する。ましてや実際の朝鮮時代や、由緒正しき王家の内部では「あってはならない出来事」であったはずだ。しかし、本作では真実を知った母親が困惑しながらも我が子の気持ちに歩み寄り、肖像を書かせ、母の形見を渡すなど、「どんな姿でも大事な我が子」と告げるシーンは涙を誘う美しいシーンだ。また、ケソン大君の秘密を守り抜こうと、靴が脱げても気づかず全力疾走するファリョンの姿からも、子供を守りたい母親の気持ちが伝わってきて胸を打つ。

そしてクライマックスの「いつか隠さなくてもいい日が来るはずだ」という母親の願いは、いまだにそれが実現していない現代への皮肉を込めたメッセージだとも受け取れる。

母としての本心を打ち明けたファリョンとシン尚宮の関係も心温まる。二人の場面で象徴的に使われるのが拱辰丹(コンジンタン)という菓子だ。老化予防や気力回復に効くとされ、王族のような高貴な身分しか手にする事が出来ないもので、日頃はシン尚宮がファリョンに差し出していたのだが、今回、ファリョンがシン尚宮に一粒分けるシーンでは身分は違えど信頼し合える二人の関係が窺え微笑ましい。

そんなシン尚宮はかつては大妃殿で仕えていたという設定で、今回、大妃に世子が温泉療養ではなくファリョンの宮殿に匿われた事を密告する場面が描かれた。その一方で、大妃がケソン大君の秘密を知っている事をファリョンに警告するなど、二重スパイとも取れる行動が今後の展開にどう働いていくのか気になるところだ。

テイン世子の死や、その証拠隠滅に大妃が関与している事を暗に認め、同じ手法でケソン大君の秘密を守り抜いたファリョンと真っ向から対立するシーンや、「明日から真の戦争だ」というファリョンの言葉から、次回以降ふたりの対立が激化していきそうな予感で、目が離せない。

子供の将来や社会的ステータスを巡ったママ同士のドロドロとした競争といった現代のトピックを朝鮮時代に移植し、王位を賭けた教育奮闘記を描いたユニークなtvN土日ドラマ「シュルプ」はNetflixで独占配信中だ。

■スタッフ
演出:キム・ヒョンシク
脚本家 :パク・バラ
原題:슈룹(シュルプ)

■キャスト
イム・ファリョン役:キム・ヘス
大妃役:キム・ヘスク
朝鮮王イ・ホ役:チェ・ウォニョン
ソンナム大君役:ムン・サンミン
世子役:ペ・イニョク
ムアン大君役:ユン・サンヒョン
ケソン大君役:ユ・ソンホ
イリョン大君役:パク・ハジュン
ファン貴人役:オク・チャヨン
コ貴人役:ウ・ジョンウォン
テ昭容役:キム・ガウン

ほか

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