硬派で骨太な韓国ドラマが好き!そんな人におすすめの法廷を舞台にしたおすすめドラマ3選!

2023年02月04日17時00分ドラマ
Netflix公式YouTubeチャンネル映像よりキャプチャー

ラブストーリー、ファンタジー、ミステリーなど、韓国ドラマにはたくさんのジャンルがある。その中でも硬派で骨太なストーリー展開が望めるのが法廷もののドラマだ。

そこで今回は、読者の皆さんにおすすめしたい法廷を舞台にしたドラマを紹介する。(以下、物語に関するネタバレあり)



キム・ヘスが少年犯罪を憎む判事に「未成年裁判」

『未成年裁判』Netflix公式YouTubeチャンネルよりキャプチャー


数々のドラマや映画に出演し、最近では「シュルプ」で演じた王妃役が話題になったキム・ヘス。「未成年裁判」では、少年事件を担当する判事役を熱演している。

「14歳未満は大人と同じ法律で裁かれない」という少年法の問題点に焦点を当てた本作。「子どもだから罰せられない」と、犯罪に手を染める子どもたちを厳しく罰しようとするシム・ウンソク(キム・ヘス)と、罪を犯した子どもたちに寄り添う判事、チャ・テジュ(キム・ムヨル)の葛藤が描かれる。

韓国社会の闇をクローズアップした少年犯罪の数々がリアルに描かれている。少年法を改正すべきか否か、日本でもたびたび論じられることだが、韓国も似たような状況にあるのだな…と興味深く見ることができる作品だ。

何しろキム・ヘスがいい。ワーカホリックで食事もしないで仕事ばかりしている判事。まっすぐで不正を嫌う性格から、上司のカン・ウォンジュン(イ・ソンミン)やナ・グニ(イ・ジョンウン)から疎まれてしまう。「シュルプ」で片方の眉を吊り上げるなどの“顔芸”が話題になったヘスだが、本作では強い目力で判事を好演している。

なぜウンソクがワーカホリックになってしまったのか、そして優秀であるにも関わらず少年事件の判事にこだわるのか。それには深い訳があった。離婚した夫との間にもうけた息子を、ある少年に殺されていたからだ。こうした悲しい過去も描かれるわけだが、息子が生きていた頃のウンソクと亡くしてからのウンソクの表情が全く違うところにも注目してほしい。

また脇を支える俳優たちも魅力的だ。ウンソクの同僚判事、テジュを演じるキム・ムヨルは考え方の違うウンソクに戸惑いながらも理解しようとする、心優しいキャラクターを熱演。Netflixで配信中の「車輪」ではキレ者の首席補佐官を演じている。
そして物語の前半でウンソクの上司を演じるイ・ソンミンは、さすがの安定感。「ミセン~未生~」では理想の上司を好演したが、本作で興奮してウンソクにキレるところは、ダメ上司のオーラが炸裂。しかし物語の中盤では自身の進退に関わる大きな見せ場もあり、存在感を示している。

また後半にウンソクの上司を演じるイ・ジョンウンは、「海街チャチャチャ」など母親役が多い俳優だが、今回は癖のあるエリート判事を演じて新たな顔を見せてくれた。ウンソクと過去に因縁があり、対立する様を緊張感たっぷりに演じている。

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チョン・リョオン&イ・ギュヒョンが癖の強い弁護士に「弁論をはじめます。」

『弁論をはじめます』ディズニープラス公式YouTubeチャンネルよりキャプチャー

ディズニープラスで配信中の「弁論をはじめます。」は、高い勝率を誇るノ・チャッキ弁護士(チョン・リョウォン)と低い勝率に甘んじている国選専門弁護士、チャ・シベク(イ・ギュヒョン)が、ひょんなことから同じ事務所で働くことになり、過去の事件の真相を暴いていくストーリーだ。

チャッキを演じるチョン・リョウォンは、「私の名前はキム・サムスン」で、キム・ソナが演じる主人公の恋のライバルを演じその名を広めたが、その後「魔女の法廷」「検事ラプソディ~僕と彼女の愛すべき日々~」で高い評価を得た。3度目の法廷ドラマとなる今回は強烈な個性を持つ敏腕弁護士を演じる。大手弁護士法人張山に所属し「張山の犬」と揶揄されるほどの実力の持ち主。養護施設で育ち、地方の大学を出て弁護士になったチャッキにとっては、手段を選ばず勝ち続けることが、のし上がっていく唯一の手段だったのだ。

一方で弱者に寄り添う国選専門弁護士を演じるイ・ギュヒョンは「刑務所のルールブック」の ヘロリンことハニャン役で愛された演技派俳優。かつてチョ・スンウ主演の「秘密の森~深い闇の向こうに~」で有能な検事を演じたが、今回は勝率が極端に低い弱小弁護士をコミカルに演じている。

上昇志向の強いチャッキが、張山代表のチャン・ギド(チョン・ジニョン)の策略で国選専門弁護士として活動することを余儀なくされ、あろうことかシベクと同じ事務所で机を並べることになった。

水と油のような2人が上手くいくはずがなく、口論が絶えない。チャッキとシベクが繰り広げる子どものような口げんかが面白くてたまらない。しかし考え方は違えど、弁護士という職業に誇りを持っていることは2人に共通しているところで、依頼人のために力を合わせるうちに、チャッキはシベクの弱者に寄り添う姿勢の影響を受けていく。

物語の前半は、シリアスな事件が取り上げられつつも、全体的にコメディータッチで描かれていく。シベクの屁理屈にあきれ返るチャッキの表情や、無表情で持論をまくしたてるシベクの癖の強さに笑いが止まらない。

しかし後半になっていくと、シベクの悲しい過去が明るみになり、未解決の連続殺人事件の容疑者なのではないか…とハラハラしながら展開を見守ることになる。そしてシベクの過去とチャッキの過去が絡み合い、最終的に2人はラスボスを倒すために手を組むことになるのだ。

2人の間に恋愛感情はなく、あくまでも同志としてお互いに持っている知識を駆使し、各々の過去の悲しみに決着をつける。しかしさりげなく、将来チャッキとシベクの間に恋愛感情が生まれるかもしれない…と予感させるシーンが盛り込まれているところに、ニヤリとしてしまう人もいるのではないだろうか。

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ナムグン・ミンが高コスパの弁護士に「わずか1000ウォンの弁護士」

『わずか1000ウォンの弁護士』ディズニープラス公式YouTubeチャンネルよりキャプチャー

弁護士のチョン・ジフン(ナムグン・ミン)は、タイトルどおり1000ウォン(約100円)で依頼人の要望を聞き、解決に導いていく。まさに高コスパの弁護士だ。

派手なサングラスにチェック柄のスーツに身を包んだジフン。韓国では浮いてしまう風貌の上に、依頼があれば、漢江大橋にものぼってしまう神出鬼没なところがあり、事務長のサ・ムジャン(パク・ジヌ)は毎日振り回されている。

そんなジフンの事務所に、弁護士試補(日本でいうところの司法修習生)として派遣されたがのペク・マリ(キム・ジウン)。祖父が大手法律事務所の代表という恵まれた環境で育ってきた人物だ。

検事試補を終え、次は祖父の事務所で弁護士試補として働くことを疑っていなかったマリが、祖父の命令でジフンの事務所で働くことになり戸惑う。しかし、ジフン、マリ、ムジャンの3人が、ドタバタしながらもあらゆる事件を痛快に解決していき、見ている側はスカッとする。

ナムグン・ミンは演技が上手い俳優だと分かっていたが、今作で彼のコメディーセンスのすごさを実感した。表情、動き、せりふの言い回し、すべてにおいて完璧で、法廷ものの作品でこんなに笑ったのは初めてかもしれない。そしてミンの演技に真摯に応えるキム・ジウンのコメディエンヌセンスも素晴らしい。

ところがこの作品、笑ってばかりもいられなかった。なぜジフンは1000ウォンの弁護士になったのか、その謎が解けた時に彼の悲しい過去を知ることになったからだ。

検事だった頃、ジフンは結婚を約束した弁護士、イ・ジュヨン(イ・チョンア)がいた。彼女がある事件に巻き込まれて殺されてしまい、彼女がやるはずだった「1000ウォンの弁護士」を引き継いだというわけだ。

検事時代のジフンは、明るく笑うことがなくクールなイメージだった。それはジフンの生い立ちに関係があるのだが、ジュヨンと出会うことで笑顔を見せるようになっていくジフンがなんとも愛おしい。視聴者はこの作品で、ナムグン・ミンの2つの表情を堪能できるため、そういう意味でもコスパの高い作品だといえるだろう。

現在Netflixで配信中の「昼と夜」で共演しているナムグン・ミン&イ・チョンアが恋人役を演じているところに注目しつつ、堪能したい作品だ。

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法廷を舞台にした作品は、難しいのではないかと感じる人もいるかもしれないが、決してそんなことはない。難しい言葉には注釈が入ったりするなど、分かりやすい作りになっている。

笑える要素を盛り込んでいる一方で、リアリティーのある事件を取り上げて社会問題に切り込んでいくなど、骨太で見応えのある作品が多い。試しに見て、沼にハマってみてはいかがだろうか。


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