韓国ドラマ「もうすぐ死にます」第7−8話(最終回):最後の転生は母親!ソ・イングクとキム・ミギョン親子のエピソードに涙腺崩壊必至

01月07日08時00分ドラマ
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ソ・イングクとパク・ソダム共演のTVINGドラマ「もうすぐ死にます」(全8話)。日本でもAmazon Prime Videoで全編が封切りになった。これまでの転生ドラマとは一味違うダークなファンタジーのクライマックスとなる第7−8話では、母親役のキム・ミギョンの名演技で涙腺崩壊シーンが連続し、主演ソ・イングクの心境の変化が描かれた。気になるあらすじと見どころをチェックしてみよう。
【「Prime Video」で独占配信の韓国ドラマ】

「もうすぐ死にます」は地獄に落ちる直前のチェ・イジェ(ソ・イングク)が“死”(パク・ソダム)によって下された審判により、12回の生と死を経験する人生転生ドラマ。イ・ウォンシク(ストーリー)&クルチャン(作画)による同名のウェブ漫画が原作で、ドラマ「18アゲイン」のハ・ビョンフン監督が演出と脚本を手掛ける。⇒【各話のあらすじと関連記事】



■キャスト
チェ・イジェ役:ソ・イングク
死役:パク・ソダム
チョン・ジス役:コ・ユンジョン
パク・テウ役:キム・ジフン

ほか

■第7話「チャンス」あらすじ
刑事ジヒョン(オ・ジョンセ)として、悪行を繰り返すテガングループ代表のテウ(キム・ジフン)を追い詰めたイジェ(ソ・イングク)。テウの代わりに罪をかぶって服役していたキム室長(イム・ジギュ)の面会に訪れ、彼が無実である証拠が入ったSDカードを見せた直後に噛み砕き、悪事に加担したキム室長を希望から絶望のどん底に叩き落とした。

世間ではテウの悪行が明らかになり社会に波紋が広がっていた。当のテウはイジェが仕組んだ計画で敗北した末にトラックに轢かれ、意識不明から回復したものの、両脚を失い、意識障害に陥っていた。殺された恋人ジス(コ・ユンジョン)復讐を果たしたものの、刑事ジヒョンもまた死を控えた人物のひとり、いつ死ぬのか分からないまま刑事として暮らしたイジェは負傷した部下とその娘を見て家庭に憧れながらも、凶悪犯から部下をかばって銃弾を受け、犯人とともにビルから転落して9回目の人生に幕を閉じた。

ホームレス(キム・ウォネ)として10回目の人生を開始したイジェはニュースを見て、ジヒョンの葬儀場を訪れ、自責の念を抱える後輩刑事ジフン(チェ・ウジン)を励まそうとするが冷遇され、結局他の身体でどんなに善行を重ねても、自分自身でない限り何の意味もないことに気づき、記憶が芽生える前に階段から足を踏み外して転落死してしまった。

虚無感しかない輪廻を早く終えたいイジェに対して、最後の死は苦痛を伴うと微笑む「死」(パク・ソダム)。こうして11回目の人生を開始したイジェが乗り移ったのはしがないサラリーマン(キム・ゴンホ)。企業に務め家庭も持っていた彼はリストラや離婚に遭って全てを失い失意のどん底に叩き落され、車道に飛び出して車に轢かれた。薄れゆく意識の中で既視感を覚えたイジェ。車で轢いたのはテウ、そして薄れゆく意識の中、目の前には面接会場に急ぐ自分自身(ソ・イングク)の姿。11回目の人生は7年前に自分の人生を狂わせた張本人だったのだ。

「死」が与えた過去を変えるチャンスを棒に振って、結局は自分の人生を狂わせてしまったイジェは次の人生も素早く終わらせるつもりで12回目の人生を開始するが、見慣れた部屋出目を覚まし、鏡に映っていたのは母親(キム・ミギョン)だった…。



■第8話「死に急ぐな やがて死は訪れる」あらすじ
母親の体に乗り移り、自ら死を急ぐことをためらい始めたイジェ。これまでの母親の記憶が芽生え、母親の少女時代から結婚、夫との死別を経て、息子イジェだけが彼女の生きがいだったことを知り、これまで母の全て知っているつもりになっていた自分の愚かさを痛感。母親もまた、勤めていた出版社を解雇され、自分よりも辛い人生をめげずに生きてきたことを知り、いつも幸せを与えてくれた母を当たり前のように軽視していたことを悔いた。

自身の自殺当時や、出棺の時の母の心情、自分のせいで息子を不幸にしたという自責の念を知り、「死」が言っていた本当の苦痛が焼死でも肉体を切り刻まれることでもなく、愛する人の死であることに気づいたイジェ。自分が母親に地獄の苦しみを与えていたことに今更気づいて涙し、自分への罰として年齢とともに衰え始めた母親の体で精一杯生き続けることを決意した。

ある日、誘われるように訪れた納骨堂では、母が毎日仕事の後にイジェに会いに来ていたことを知りイジェの心を締め付ける。自責の念を抱き続ける母がイジェに向かって「次もまたお母さんのもとに産まれてきてと言った約束を取り消すから、次は裕福な家庭で天寿を全うするのを遠くから見守る」と懺悔する姿を見て、来世でもまた息子として産まれたいと思っても伝えられず泣き崩れるイジェ。

せめてもの罪滅ぼしに、果たせなかった約束を果たそうと母が行きたがっていた山に登るイジェ。膝の痛みに耐えながら登った山頂から夕日を眺め、母を苦しめたことを懺悔。日が暮れて下山中に足を踏み外して滑落・遭難したイジェは母の体を救うために負傷しながらも必死に生にすがる。救助され病室で目を覚まし母の無事に安堵するも、霊安室で息子の亡骸と対面した時の母の心情がフラッシュバック。母として天寿を全うすると誓い、イジェとしての人生よりも長い32年間を母の体で生き抜いた。

与えられた命のありがたみを最後の転生でようやく悟り、母の体で静かに目を閉じ息を引き取ったイジェは、再び「死」のいる空間で目を覚ますと、32年ぶりに会う「死」に会いたかったと打ち明け、最後にもう一度イジェとしてやり直させてほしいと懇願。母として人生を生き抜き賭けに勝ったイジェに最後の銃弾を込める「死」。イジェが自殺せずにイジェとして再び生きるチャンスを得られるかは銃弾が発射されるかどうかにかかっていた。

「死」が引き金を引き、鳴り響く銃声。夜の街を見下ろすビルの屋上で、イジェはあの時取ることができなかった母親からの電話に答えると、用意していた遺書は風に飛ばされ夜の街に消えていった…。



■見どころ
諸悪の根源への復讐を果たしサスペンス的な要素は第5−6話でピークを迎えたため、残る2話分ではどんな物語が描かれるのかが気になっていた視聴者も多いことだろう。第7−8話ではこれまでのような派手なアクションや、主人公イジェの頭脳を活かした心理作戦は見られないものの、残る3回の人生ではホームレス役として大御所キム・ウォネが登場。続いてしがないサラリーマンとして転生すると、時系列が連続すると思い込ませるこれまでの展開から一転して、7年前に目の前で車道に飛び出して命を落とし、自身の人生を狂わせた男だったことが明かされ、自分が自分の人生を狂わせ、テウの殺人欲求を目覚めさせてしまった張本人だという奇妙なループが描かれた。

そして最後は母親の体に乗り移ってしまい最終話を迎えるのだが、見どころは何と言っても母親役のキム・ミギョンの迫真の演技力、これに尽きる。展開事態は原作と同様ながら、彼女はたった一人の生きがいだった息子を失った母親としての顔と、そんな心情を知って心を締め付けられるイジェの顔を一人二役で見事に演じ切った。

これまでさんざん派手なアクションやサスペンス、歌劇でグロテスクな死亡シーンに手に汗握ってきたくせに最後に号泣とは何事だとは思うものの、イジェが知らなかった母親の人生や、息子に対する愛情の大きさ、息子の亡骸に対面するシーンや、出棺のシーン、そして自分のせいで息子を不幸にしてしまったと泣き崩れるシーンなど、第8話では視聴しながら声を上げて泣けるレベルの場面がひっきりなしに登場する。一人で二人分の悲痛な気持ちを表現したキム・ミギョンの名演は、親にも子供にも共感を与え、自殺の絶えない現代の社会に対する強烈なメッセージを残したのではないだろうか。

豪華キャストが演じる12人の人生を通して、学園や任侠、刑事などさまざまなドラマジャンルをクロスオーバーして視聴者を楽しませつつ、最後は親子の温かさを描いて自殺を思いとどまらせようとするメッセージ性をも含みながらも一つの作品として違和感なく成立している原作と、悪役テウを序盤から登場させることでさらに物語に一体感をもたせたドラマオリジナルの脚本は秀逸。過激な死の描写が苦手な人はぜひ最終話だけでもおすすめしたくなる、そんな作品だ。

TVINGオリジナルシリーズ「もうすぐ死にます」は後半となる第5話以降は1月5日(金)に配信を開始し、全8話がAmazon Prime Videoで独占配信中だ。

■スタッフ
脚本兼演出:ハ・ビョンフン
原題:이재, 곧 죽습니다(イジェ, コッ チュクスムニダ)
原作:ウェブトゥーン「もうすぐ死にます」(原題:이제 곧 죽습니다)

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