話題作続々登場!今話題を集める韓国版ダークヒーローの魅力とは?

02月17日23時30分ドラマ
「ヴィジランテ」
ディズニープラス スターで11月8日(水)より独占配信中
© 2023 Disney and its related entities

昨年11月にDisney+ (ディズニープラス)のコンテンツブランド「スター」にて独占配信したナム・ジュヒョク主演の「ヴィジランテ」、そして今年2月9日よりNetflixで独占配信を開始した「殺人者のパラドックス」、この2作に先駆けて昨年8月にPrime Video(プライムビデオ)にて独占配信した「国民死刑投票」など、ダークヒーローの活躍を描いた作品が続々と登場し話題となった。ダークヒーローとはどんな存在なのか?作品の特徴や魅力を考察してみよう。

【「Disney Plus」で独占配信の韓国ドラマ】
【「Netflix」で独占配信の韓国ドラマ】
【「Prime Video」で独占配信の韓国ドラマ】



■ダークヒーローとは?
ダークヒーローという言葉にはいくつかの定義があるものの、最近韓国ドラマに登場するダークヒーローは「私刑執行人」と言い換えることができ、警察や法律の力をを借りずに、社会に害を及ぼす悪人を裁く人物を指している。警察の不正や証拠不十分により警察が手を出せない悪人を裁く世直しヒーローである反面、独自の正義感に沿って殺人をも犯すことから、アウトローな犯罪者の側面も持ち合わせた存在だ。

■なぜ今ダークヒーローに注目が集まるのか?
大切な人を奪った相手の命を奪う復讐は時代劇ではごく自然に描かれるものの、現代を舞台にした作品では警察や法も考慮するとそう簡単には描けず、犯人の自殺や、逮捕から無期懲役という流れで幕を閉じる場合が多い。一方ダークヒーローを描いた作品では警察の不正や権力者との癒着が描かれることが多く、警察や法制度に依存しない制裁で明白な勧善懲悪が果たされる。こうした作品が人気を集めるのは、加害者の人権や裁判上の戦略で罪が軽くなりえる法制度、また韓国では実質的に死刑が廃止されているという背景も影響しているかもしれない。

■注目の作品1:「ヴィジランテ」
ヴィジランテ「ヴィジランテ」
ディズニープラス スターで11月8日(水)より独占配信中
© 2023 Disney and its related entities
「ヴィジランテ」はナム・ジュヒョク演じる警察学校の生徒ジヨンが、幼い頃に母を殺した犯人が、法廷で本性を暴かれないまま軽い刑罰で社会復帰し悪事を繰り返していることに納得できず、自らが正義を貫くダークヒーロー<ヴィジランテ>として悪人を次々に殺害していく物語だ。

■注目の作品2:「殺人者のパラドックス」
パラドックス「殺人者のパラドックス」Netflixで独占配信中「殺人者のパラドックス」はチェ・ウシク演じるどこにでもいるような大学生タンがある日、正当防衛で偶発的に人を殺してしまい、事実の露呈を恐れて殺人を重ねるうちに、殺した相手が凶悪な犯罪者だったことが明らかになり、最終的には元の名を捨ててダークヒーローとして変貌していく様子が描かれている。

■注目の作品3:「国民死刑投票」
国民死刑投票「国民死刑投票」Prime Videoで独占配信中「国民死刑投票」は、犬の仮面つけた正体不明の人物“ケタル”が、証拠不十分として無罪となった悪質犯罪者たちを対象に「毎月15日と30日の夜10時に18歳以上の国民」に国民死刑投票を行い、賛成が過半数を占めた場合に死刑を執行するという物語だ。

■主人公(ダークヒーロー)たちの違い
「ヴィジランテ」では主人公ジヨンは将来有望な警察官候補で過去に親を殺されたという動機の下で、次第に警察や法に対する不信感と正義感から自発的に悪を裁くようになり、マスコミの扇動で世間から英雄視されるようになる。一方、「殺人者のパラドックス」ではしたいことが見つからないごく平凡な青年がある日殺人を犯し、罪から逃れるために人を殺していくうちに結果的に悪人を成敗していくという物語だ。
国民死刑投票「国民死刑投票」Prime Videoで独占配信中「国民死刑投票」も正義を名乗るケタルをマスコミが英雄視するが、終盤までダークヒーローが誰なのか全くわからない。特捜本部チーム長(パク・ヘジン)やサイバー捜査員(イム・ジヨン)、犯人逮捕に協力する受刑者(パク・ソンウン)だって犯人かもしれない。他にも怪しい人物が次々に現れ、視聴者は各話のエピソードから「誰が、何のために?」を推理する考察型サスペンスとしての面白みも加わる。

■作品における警察の存在
パラドックス「殺人者のパラドックス」Netflixで独占配信中どの作品も主人公の生い立ちやキャラクター、英雄性には違いがあるものの、いずれも警察に追われる「殺人犯」だということだ。検挙するべき悪人を先に殺してしまうダークヒーローを牽制し逮捕しようと駆け回る、正義の刑事として、それぞれ「ヴィジランテ」のホン刑事(ユ・ジテ)や、「殺人者のパラドックス」のナンガム刑事(ソン・ソック)、「国民死刑投票」のキム・ムチャン刑事(パク・ヘジン)率いる特捜チーム員たちが登場する一方で、警察内部の不正や闇社会との癒着が描かれ、視聴者は刑事たちの目線から「正義は誰のためにあるのか」という作品の主題を感じ取ることになる。対立関係にある刑事らも時に主人公と共闘し、ある程度彼らの存在意義を認めているよう描かれている。

■魅力的なサイドキック(協力者)
ヴィジランテ「ヴィジランテ」
ディズニープラス スターで11月8日(水)より独占配信中
© 2023 Disney and its related entities
「ヴィジランテ」「殺人者のパラドックス」にはそれぞれ財閥の副会長でヒーローオタクのガンオク(イ・ジュニョク)や、ヒーローオタクで有能なアマチュア犯罪プロファイラーのビン(キム・ヨハン)など主人公の正体を知りながらもその活動をサポートするサイドキック(協力者)が登場する。映画『バットマン』の執事アルフレッドや相棒ロビンのような役割だが、作中には突飛な兵器や乗り物は登場せず、あくまでも悪を倒すのは主人公のアクションと現実的な凶器だ。彼らサイドキックの抱える過去や事情もストーリーに深く影響を及ぼし、面白みを与えるのはドラマならでは。一方「国民死刑投票」では誰が協力者でいったい何人いるかも分からず、どのシーンも気が抜けない。。

■続編にも期待
国民死刑投票国民死刑投票従来の刑事ドラマの主役だった警察を敵に回す正義の登場は、刑事ドラマでは描くことができなかったヒーローとしての徹底した勧善懲悪と、犯罪者としての葛藤や逃亡劇のスリルが描かれ、正義のあり方について考えられる作品だが、いずれの作品も主人公(ダークヒーロー)は捕まることなく、まるで今でもどこかで悪を裁き続けているかのような余韻を残して幕を閉じる。仮に続編が描かれたとしても違和感はなく、特に「ヴィジランテ」「国民死刑投票」では続編をほのめかす意味深な発言も登場することから、期待せずにはいられない。

地上波では描けない生々しい正義を描いたダークヒーロー作品は、これからも配信ドラマの注目のジャンルになるに違いない。各作品の各話のあらすじと見どころなどは以下で一覧できる。

【「ヴィジランテ」関連・各話のあらすじ】

【「殺人者のパラドックス」関連・各話のあらすじ】

【「国民死刑投票」関連・各話のあらすじ】

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