「捜査班長1958」第5−6話:イ・ジェフンの甘いプローポーズから結婚を経て新時代へ(ネタバレ)

05月06日12時00分ドラマ
『捜査班長1958』ディズニープラス スター独占配信中
© 2024MBC. All Rights reserved.

ディズニープラススターで独占配信中のMBC韓国ドラマ「捜査班長 1958」(全10話)。1970年代から18年間放送された超大作ドラマの前日譚を描いた本作の第5−6話では主人公ヨンハンとヘジュの結婚というビッグイベントや、5・16軍事クーデターなど実際に起きた事件を背景に物語が1960年代に突入し大きな転機を迎えた。気になるあらすじと見どころをチェックしてみよう。
【「Disney Plus」で独占配信の韓国ドラマ】

「捜査班長1958」は、韓国で1971年から1989年まで18年間に渡って放送され記録的大ヒットとなった、犯罪捜査をテーマにした伝説的ドラマ「捜査班長」の前日譚(プリクエル)を描いた作品だ。⇒【関連・各話のあらすじ】



■キャスト
パク・ヨンハン役:イ・ジェフン
キム・サンスン役:イ・ドンフィ
チョ・ギョンファン役:チェ・ウソン
ソ・ホジョン役:ユン・ヒョンス
イ・ヘジュ役:ソ・ウンス
 ほか

■第5話「この世に捕まえられない犯人はいない!」あらすじ
捜査班長© 2024MBC. All Rights reserved.餅屋の孫ソンチル(オム・ジュンギ)が遺体で発見され悲しみに暮れるヨンハン(イ・ジェフン)ら。市場を牛耳る東大門派を恐れて口を閉ざす人々。マムシ(カン・イングォン)の仕業だと睨んだヨンハンらはアジトに乗り込み逮捕するが、証拠の凶器を発見できず、彼らとコネクションを持つチェ署長(オ・ヨン)の怒りを買ってしまう。

祖母(チャ・ミギョン)の勇気ある決断のおかげで検死結果から数々の事実を突き止めたヨンハンらだが、凶器が見つからない中で、マムシの逮捕には計画が必要だった。その頃ソウルでは黒白教というインチキ宗教が流行していて、それに目をつけたヨンハンは教祖を利用して信者でもある東大門派の手下を恐怖に陥れると埋められていた凶器を手に入れた。しかし、署長は東大門派に対する逮捕令状を出さないと宣言し再び行き詰まったヨンハンはヘジュ(ソ・ウンス)の前でもどかしい気持ちを吐露して涙を流した。

「韓国の警察が捕まえられないなら外国で捕まえればいい」そんな下宿人のアイデアにひらめいたヨンハンは東大門派が開いた式典で騒ぎを起こすが、やって来たのは警察ではなく駐留米軍だった。マムシが暴行を加えていたのはかつて立てこもり事件で貸しがあったスティーブ(イ・ウジュ)だったのだ。マムシは米軍に連行され、その間にジョンジェ(キム・ヨンソン)と取引したヨンハンは令状を手に入れてマムシらを逮捕し、ソンチルの無念を晴らした。さらにジョンジェが軍の中佐と取引して手に入れた不正な軍需品を強奪し、市民に配給。事件は公になり中佐は失脚し、ジョンジェもヨンハンに対して宣戦布告。

チェ署長がかつて親日派から発足したシングァン会のメンバーであることや、その弱みをユ班長(チェ・ドクムン)が握っていることが明かされ、捜査1班がどれだけ目をつけられても免職を免れる理由が判明。一方でヨンハンはヘジュに心を込めてプロポーズし、二人は晴れて結婚することに。書店の常連だった女学生ナンシル(チョン・スビン)は巡査として鐘南(チョンナム)警察署に配属され、時代は変革の1960年代へと突入していく…。

■第6話「冬の始まり」あらすじ
捜査班長© 2024MBC. All Rights reserved.現代。連続する殺人事件のニュースに表情を曇らせるヨンハン(チェ・ブラム)。訪ねてきた孫ジュンソ(イ・ジェフン)は犯人を捕まえられないもどかしさに涙を流し、ヨンハンは自身と重ねながら励ます。

1961年の12月、5・16軍事クーデターを経て警察が反革命分子の摘発に躍起になっていた時代。捜査1班はすっかり息の合うチームとなり、チェ所長は保安局の副局長候補として昇進を果たそうとしていたが、シングァン会はある脅威に頭を悩ませていた。そんな時にチェ署長の前に現れたのは、失脚した中佐で後に警察署に赴任することになるペク署長(キム・ミンジェ)だった。反社会組織の首謀者が相次いで死刑になったことにどこかもどかしさを感じていたヨンハンのもとに、ユ班長が襲撃されたという悲報が飛び込む。

混乱の最中に行われた新署長の就任式でペク署長を見たヨンハンの脳裏に学徒兵時代のトラウマがよぎる。ペク署長はヨンハンに民間人の射殺を命じ、自ら妊婦を射殺した残虐な人物だった。ペク署長もヨンハンに気づいていて二人の間には対立が生まれる。班長襲撃事件の手がかりが得られず頭を抱えていた捜査1班だがナンシルの目撃談から班長がシングァン会に対する意見書を投書していたことが明らかになり、ヨンハンは単独でチェ副局長の逮捕に向かうが、逆に捕らえられてペク署長から責任を追求されてしまう。そこに現れたのは意識不明だと思われていたユ班長本人だった…。



■見どころ
第5−6話では物語の舞台となる時代背景や、主人公ヨンハンの結婚など、時代や人生の大きな変革が描かれ、物語は激動の1960年代に突入した。今回新たに描かれた1960年代の幕開けは韓国以外の視聴者にとっては少し説明が必要だろう。韓国は1945年の日本統治からの脱却からアメリカの統治を経て1948年に建国。李承晩を大統領に第一共和国と呼ばれる軍事独裁政権が続いたが、作中で描かれているように公権力が腐敗し国民の権利の弾圧も激しい苦難の時代だった。1960年になり、李承晩の不正選挙による再当選に対するデモが激化し四月革命を経て、大統領ではなく議院内閣制を導入した民主党主導の第二共和国時代に突入した。この第二共和国では過去の反省から自由な社会づくりが行われたが、あまりに急進的な変革や党内での考え方の違いに社会はかえって混乱を招き、これを危惧した軍部によって翌1961年5月に5・16軍事クーデターが引き起こされ、朴正煕大統領の下で政治腐敗の一掃や反共体制の強化を掲げた第三共和国と呼ばれる軍事独裁政権に再度突入した。要するにたった1,2年のうちに国のあり方や国民の自由に対する政府の姿勢がコロコロ変わるという激動の時代だったのだ。第6話以降はこうした実際の時代背景を考慮すると物語の理解の助けになるはずだ。

第5話では、捜査1班を腫れ物扱いするチェ署長が彼らをクビにすることができない理由も明らかになった。日本統治時代に親日派で結成されたシングァン会という上流階級の組織に所属していたチェ署長は、組織の恩恵で役職を手に入れたものの、親日派=売国奴というレッテルはシングァン会にとって最も強烈な弱みであり、ユ班長はこの組織の存在やチェ署長がメンバーであるという弱みを知っていたからどんなに対立しても免職を免れていたのだ。

時代背景や当時の世相を反映した深みのあるストーリーラインに沿って、どちらのエピソードでも大切な人が殺されてしまったり襲撃を受けたりと暗く悲しい事件が起きる反面、第5話終盤では遂に主人公ヨンハンがヘジュにプロポーズし、人生で最も幸せな一場面が描かれた。第6話時点では既に夫婦になっているが、これまで通り進むべき道を見失ったヨンハンを心強い言葉で励ます良妻として、また時にはペク署長の目の前で悪口を呟くなど恐れを知らない型破りさも健在だ。

新たに署長としてやってきたペク・ドソクはヨンハンの学徒兵時代、軍需品の不正納入を行っていた軍人時代、そしてシングァン会の息のかかった署長としてこれまでの全ての時間軸に登場し、ユ班長を襲撃するなど人を殺すことに抵抗がない危険な人物として描かれ、今後ヨンハンら捜査1班との対立に注目したい。

金曜放送では初の2桁を割ってしまったものの(→既報)、第5話では9.5%、第6話では9.0%(ニールセンコリア調べ)と安定した視聴率を記録した。

『捜査班長1958』ディズニープラス スターで4月19日(金)より独占配信開始。第3話は26日(金)21時50分に放送、その後、Disney Plusで独占配信される。
(全10話/毎週金・土曜日1話ずつ配信)

YouTube第5話予告(日本語字幕なし)

kandoratop【作品詳細】【関連・各話のあらすじ】