美貌を武器に復讐を果たす『フィリップ』本編特別動画解禁、五十嵐匠監督や松尾スズキら著名人からの激賞コメ続々

06月18日16時00分映画

第2次大戦、ナチス支配下のポーランド、そしてドイツを舞台に、ユダヤ人としての素性を隠して生きている美青年フィリップの復讐、愛、死、孤独を描く映画『フィリップ』(6月21日(金)公開)の特別映像が解禁となった。

映画監督の五十嵐匠(『地雷を踏んだらサヨウナラ』『島守の塔』)、平山秀幸(『閉鎖病棟 それぞれの朝』『愛を乞うひと』)、古厩智之(『のぼる小寺さん』『さよならみどりちゃん』)ほか、作家・演出家・俳優と多彩な活躍を広げる松尾スズキら著名人から絶賛コメントが到着した。



解禁された動画は、フィリップがドイツ人女性に復讐を果たすシーンを捉えたもの。自身の美貌を武器にプールサイドで、夫が出征したドイツ人女性を誘惑したフィリップ。夫がいない寂しさを紛らわすために優しくしてもらおうとフィリップにすがったのも束の間「君の亭主はポーランドで死体になる」「子供はもう出来ない、これが最後の交わりになる」と、⾮道な言葉を投げつけられてしまう。その言葉に傷つき、警察を呼ぼうとする女性に対し「恥をかくのはそっちただ。髪を切られてな」と、畳みかけていく様子は、これまで自身が追ってきた傷を、さらに人を傷つけることで埋めようとする彼の壮絶な孤独が垣間見えるような映像となっている。

本編特別動画

【コメント⼀覧(※五⼗⾳順・敬称略)】
戦争により静かに壊されてゆく“⼈間であること”。
次々と破壊されてゆく愛と友情。
そして、主⼈公フィリップがたどりついた衝撃のラスト︕
現代、ウクライナ、シリア、パレスチナ、アフガニスタンから逃れた多くの難⺠たち。⾃国を捨て国外に⽣きる難⺠たちのどうしようもない深い苦悩が、ナチスドイツの時代を通して繊細に、そしてリアルに描かれ、観る者をたちまちその世界に引き込んでしまう。
五⼗嵐匠(映画監督)『地雷を踏んだらサヨウナラ』『島守の塔』

流麗でスリリングなカメラワークが素晴らしい。気品のある映像美が、常に感性を刺激してくれる。孤独と噓で塗り固めた主⼈公。強烈に引き込まれるのは、逆境の中でも朽ちない艶やかな⽣命感を⾒事に描いているからだ。
⼤⾕健太郎(映画監督)『⾵の奏の君へ』『NANA』

狂気という⾔葉が⽣ぬるい物語とその時代背景に美⼥たちの肢体が踊り、悪魔となった男が復讐をこめて貪り尽くす。彼⼥たちの⼼をもっと知りたいが、男が容赦せずに蹂躙する地獄を美しく感じても良いのか︖
⾦⼦修介(映画監督)『ゴールド・ボーイ』『信⻁』

主⼈公の⾏為は正義なのか悪なのか、それとも背徳なのか。ホロコーストを舞台にしながら、ステレオタイプな倫理ではない善悪の彼岸と真実の愛を描いていて、あまりにも圧巻。打ちのめされました。
佐々⽊俊尚(作家・ジャーナリスト)

フィリップの本⼼、偽らざる率直な「⾔葉」は、たった⼀⼈きりで過ごす夜の場⾯の数々にて、セリフを介さずして実に雄弁に語られているようだ。彼にとっては――故郷も何もかも失った彼にとっては――この「⾔葉」こそが、仲間の死を越え、ポーランド⼈そしてユダヤ⼈という枠組みを超えた、かけがえのない個⼈としてのアイデンティティをめぐる死に物狂いの闘いを⽣き抜くための、たった⼀つのよりどころとなったのだ。
⽥中洋(杏林⼤学外国語学部 准教授)

復讐⼼を燃やすフィリップがようやく、再び愛の温もりを得たと思えたのに──。戦争は何度でも⼈間を絶望に突き落とす。⾃分の⼼を消去したフィリップの衝撃の⾏動。表情を失った彼が、あの光景を⾒て噛み締めるものは何なのか︖
あまりにもやるせないラストは落涙すら寄せつけない。厳しい内容だが、真実とはこういうことなのだろう。
⾕⼝正晃(映画監督)『ミュジコフィリア』『時をかける少女』

ナチス⽀配下の、冷え冷えとした空気の中にたたずむ主⼈公の「哀しみ」の表情が忘れられない。 これは「⾃由と解放と、そして復讐」を求めた、新しいフィルム・ノワールだ
平⼭秀幸(映画監督)『閉鎖病棟 それぞれの朝』『愛を乞うひと』

ナチス・ドイツの占領地域だけではなく、そのお膝元にあっても、⾃由を求めた⼀⼈ひとりの抵抗があった。「君はこの腐った世の中に迎合していない。戦争が終わってもそれは⼤切なこと」という、フィリップがブランカを励ました⾔葉を⼼に留めておきたい。
藤森晶⼦(歴史研究家、『丸刈りにされた⼥たち』著者)

ドイツ⼈将校の妻たちを寝とるユダヤ⼈⻘年、なんて聞くと煽情的でピカレスクだけど。欲望があって友情があって、本当の恋を知って喪失があって。⾃分の輪郭が浮かび上がるかと思いきやそれを押しつぶす戦争があって…。ひとの魂が形を結ぶことを許さない戦争。そんな⽇々の中でも喜びや悲しみを燃やす⼈間の愛おしさを描いた⻘春映画だった…。映画ぜんぶで「たしかに⽣きた」と⾔っている
古厩智之(映画監督) 『のぼる⼩寺さん』『さよならみどりちゃん』

相⼿の⼥を寝取ることで復讐・・・・。滑稽だからこそ、悲しい。その愚かさと孤独を主⼈公は、独特すぎる⽬付きと沈黙で語り尽くす。
エリック・クルム・ジュニア。すごい俳優を⾒た。
松尾スズキ(作家・演出家・俳優)



■作品概要
監督:ミハウ・クフィェチンスキ
脚本:ミハウ・クフィェチンスキ, ミハル・マテキエヴィチ (レオポルド・ティルマンドの小説『Filip』に基づく)
出演:エリック・クルム・ジュニア、ヴィクトール・ムーテレ、カロリーネ・ハルティヒ、ゾーイ・シュトラウプ、ジョゼフ・アルタムーラ、トム・ファン・ケセル、ガブリエル・ラープ、ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ、サンドラ・ドルジマルスカ、ハンナ・スレジンスカ、マテウシュ・ジェジニチャク、フィリップ・ギンシュ、ニコラス・プシュゴダ
撮影:ミハル・ソボチンスキ
美術:カタジーナ・ソバンスカ,マルセル・スラヴィンスキ
衣装:マグダレナ・ビェドジツカ, ユスティナ・ストラーズ
メイクアップ:ダリウス・クリシャク
音楽:ロボット・コック
プロデューサー:ポーランド・テレビSA

配給:彩プロ |原題:Filip | 2022 | ポーランド | ポーランド語、ドイツ語、フランス語、イディッシュ語 | 1: 2| 124分 | 字幕翻訳:岡田壮平 | R-15+  後援|ポーランド広報文化センター (C)TELEWIZJA POLSKA S.A. AKSON STUDIO SP. Z.O.O. 2022 

映画『フィリップ』特別映像 YouTube
映画『フィリップ』公式サイト