豪華キャスト集結、リーディングホラー『親指さがし』朗読劇の感動と恐怖をレポート

07月09日16時00分映画
Ⓒ山田悠介・幻冬舎/エイベックス・ピクチャーズ株式会社

「リアル鬼ごっこ」などで知られる鬼才・山田悠介原作によるベストセラー小説『親指さがし』の朗読劇、リーディングホラー『親指さがし』が2024年7月6日(土)、7(日)にシアター1010にて開催された。両公演の様子をレポート、本公演は7月21日(日)までアーカイブ配信で視聴できる。



呪われた遊び“親指さがし”をしたことから、思いもよらない恐怖に巻き込まれるという、ホラーとサスペンスが入り混じった「親指さがし」。2005年の発行から累計発行部数87万部を超え、その後、コミカライズ、映画化され社会現象となりました。軽い気持ちで始めた“遊び”が7年後、恐怖として彼らに忍び寄る―。呪いと恐怖のノンストップ・ホラーが<朗読劇>という新たなエンターテインメントの形に生まれ変わった。

出演者には、アニメや舞台、ドラマなどで活躍する10名の超豪華キャストが集結。1日目は、俳優の梅津瑞樹、声優の伊瀬茉莉也、ダンス&ボーカルグループ「BUDDiiS(バディーズ)」のメンバー高尾楓弥、声優の前田佳織里、お笑いコンビ・しずるの村上 純。2日目には、俳優の高橋健介、声優の古賀 葵、劇団EXILEの八木将康、声優/女優の礒部花凜、そしてお笑いコンビ・しずるのKAƵMAが新たな「親指さがし」の世界を作り出す。そしてアンサンブルキャスト3名とともに物語を奏でた。

リーディングホラー「親指さがし」
日程:
2024年7月6日(土)【昼の部】13:45~ 【夜の部】18:30~
2024年7月7日(日)【昼の部】13:45~ 【夜の部】17:30~
会場:シアター1010 (〒120-0034東京都足立区千住3-92 千住ミルディスⅠ番館 11F)
7月6日(土)出演:梅津瑞樹、伊瀬茉莉也、高尾楓弥(BUDDiiS)、前田佳織里、村上純(しずる)
7月7日(日)出演:高橋健介、古賀 葵、八木将康(劇団EXILE)、礒部花凜、KAƵMA(しずる)
両日出演者・アンサンブル:田中聖奈、小川直彦、宮崎加奈子
原作:山田悠介『親指さがし』(幻冬舎文庫) 脚本・演出 小野真一
主催:エイベックス・ピクチャーズ株式会社




本公演の1日目は、アニメや舞台、映画、ドラマなど、幅広いジャンルで活躍する豪華キャストが集結。会場は超満員となった。小学生時代に“親指さがし”という呪われた遊びを軽い気持ちではじめてしまったことから、思いもよらぬ恐怖に巻き込まれるというミステリーホラーは、まさに暑い夏にピッタリ。会場の観客もヒンヤリとした気分で、話に耳を傾けていた。
6日公演7月6日公演

この物語は、主人公・武が見たこと、聞いたことをモノローグで心の声として表現しつつ、その合間でキャスト陣の会話劇が織り込まれる、という物語スタイルで進行する。5人の仲間たちが過ごした日々、そして彼らが向き合う運命などを読み上げる梅津の声質は非常に聴き心地が良く、この物語にもピッタリ。また朗読劇でありながらも、身体的な動きも積極的に取り入れられており、しばしば朗読劇であることを忘れさせてしまうほどの没入感をもたらしてくれた。

オープニングは彼らが小学六年生だった時代の回想シーンからはじまる。由美(伊瀬)から学校の屋上に呼び出された武(梅津)は、中心部分に花びら模様がついた、ビーズの指輪を手渡される。「大人になるまでそのビーズの輪っかが切れなかったら……なんでも願いがかなうんだって。だから大人になるまで大切にしてよ」「う…うん、分かったよ」。少女時代の由美が武に思いを寄せるさまを初々しく演じてみせた伊瀬と、どこか照れくさそうな武を体現する梅津。そのやり取りはどこか甘くも懐かしさを感じさせるようなひとときだった。

だがそんな思い出が繰り広げられる中、重くて静かな衝撃音が会場に鳴り響き、会場は七年後の世界に。武は、間もなく二十歳を迎える大学生となっていたが、梅津が発する言葉にはどこか後悔の念が混じっている。「この七年間ずっと後悔していた。なぜあんなことをしてしまったのか。なぜ遊び半分であんなことを。後悔したところで由美は帰ってこない……」。いったい何が起こったのか、そんな疑念を観客に抱かせたその瞬間、スクリーンにはダダン!という音とともに「親指さがし」というタイトルが。会場は一気に物語の世界へと誘われた。

本作の物語で重要な位置を占めるのが、小学校時代の仲良し5人組が「親指さがし」を行うシーン。強気でやんちゃな性格の智彦を体現する高尾。智恵の元気さと明るさで作品を盛り上げた前田。そして昔も今も怖がりで、みんなの後についていくタイプの信久を演じた村上。そして「親指さがし」にまつわるうわさを仲間たちに伝え、そして誘った由美を演じた伊瀬。まるで肝試しに興じるかのような無邪気な小学生時代の姿と、そんな彼らが、仲間の失踪という事実に直面し、贖罪(しょくざい)の気持ちを抱き、それでもその思いにケリをつけようとする7年後の姿を巧みに演じ分けてみせた。

そしてなんといってもクライマックスシーン。詳細な内容をこちらで記すことはできないが、それぞれの出演者が真に迫る迫真の演技を見せ、観客もその細かい表情、動きに目が離せない様子。そして恐ろしいだけでなく、その中に悲しみや切なさを感じさせる物語で、会場を最後まで魅せ続けた。

衝撃的なエンディングに会場がぼう然とする中、本日の出演キャストがあらためてステージに立つと会場からは大きな拍手が。その様子を見た出演者たちも晴れやかな顔を見せた。

ステージ終了後は、村上が司会を務めるアフタートークを実施。昼の部は前田と高尾が「怖い話」を披露することに。だが緊張感あふれる本編とはうって変わって、そこかしこに笑いがちりばめられたふたりの話に、会場も和やかな雰囲気に包み込まれた。

そして夜の部のアフタートークでは、近所にいた謎のおじさんに関する話を披露した梅津、そして不思議な予知能力の話を披露した伊瀬と、昼とはまた違ったベクトルのトークが繰り広げられ、会場は大盛り上がり。

最後に高尾が「自分の声と向き合い、すごく刺激的な日々を過ごさせていただきました。本当に忘れられない日になりました」と振り返ると、村上も「朗読劇をすると、普段まざらないような各業界の人たちとライブができる。そんな楽しさを認識することができました。いろんなジャンルの人とからめて、楽しかったです」と笑顔。

そして「楽しんでいただけたでしょうか?」と前田が呼びかけると、会場からは大きな拍手が。「ホラーって本当に難しいですね。その時の間やテンションで全然違うし。お別れしちゃうのはさみしいので、またこのチームで朗読劇とか、何かしらできたらいいなと思っております」と再集結への期待を込めた。

さらにクライマックスの熱演の影響で「すいません、終わってしまってから声がカスカスです」と笑う伊瀬は、「今回、由美を演じることができてうれしかったです。少しでも来てくださったお客さまが楽しんでいただけましたらうれしいです」と呼びかけ。

そして最後に梅津が「本当にあっという間でした。素敵な方たちとご一緒できて光栄に思います。また何かの機会で、この異色なメンバーで何かお仕事できる機会がありましたら、その日のために今日から精進したいと思います」と語ると、「ホラーというのは、朗読には珍しい題材かなと思いますが、かなり面白かった。リーディングホラーが続くことを影ながら祈っております。怖い話は日常との隣り合わせですから……次はあなたの番かも」と最後に観客をヒヤッとさせて、会場は大盛り上がり。客席からは大きな拍手が惜しみなく出演者たちに寄せられた。

7月7日公演7月7日公演
2日目となる7月7日(日)の出演者はさまざまな声優、俳優、芸人と各分野の実力派が集結。外は猛暑がつづく天気となったが、出演者たちの熱演が繰り広げられる会場内では、観客の肝を冷やすような緊張感と、ひんやりとした空気が漂っていた。

物語は1日目同様、主人公・武が見たこと、聞いたことを、心の声でつぶやくようなモノローグで表現しつつ、その合間にキャスト陣の会話劇が織り込まれるスタイルで進行。主人公・武を演じる高橋がほぼ全編出ずっぱりで、膨大な量の文章を朗読し続けた。その声質は、穏やかな中にも強い意志を感じさせるようなまっすぐさがあり、心地よい響きが会場を包み込んでいた。また台本を手に持ちながら演じる朗読劇でありながら、目線や身体的な動きが取り入れられるのは前日と同様だが、高橋が演じることで、武のまっすぐさがより際立つようにも感じられた。

幼き日の由美の無邪気さと、スズの狂気的な激しさを巧みに演じ分けた古賀。まさに静と動というべきキャラクターのコントラストがくっきりと色濃く体現したからこそ、クライマックスの展開が切なくも、激しく胸に迫るものとなった。また、“親指さがし”遊びに興じた際に由美が発した「いい? 絶対に親指さがしの話を他の人にしゃべっちゃだめだからね? 絶対だよ」というセリフが劇中でも響き渡るが、古賀が発するセリフのトーンが明るいがゆえに、武たちの心の十字架のように重くのしかかっていく。

過去の自分たちがやってしまった後悔と贖罪(しょくざい)の気持ちと決別したいと願う智彦の焦燥感を、安定感のある芝居で表現してみせた八木。恐ろしい体験に恐れを抱きながらも、親友の由美を思う知恵の感情を演じきった礒部。そして普段の芸人としての顔を封印して、臆病で怖がりな信久の繊細さを演じきったKAƵMA。1日目とはまた違った個性が織りなすアンサンブルは非常に印象的で、熱心に耳を傾ける会場内だった。

無邪気な“親指さがし”に興じる少年時代の5人。「軽い気持ちだった」と武が語る通り、秘密を共有した彼らが感じたのは恐怖よりも、鳥肌が立つようなスリル、興奮だった。そんな彼らが取り返しのつかない後悔に直面する。その背後にはえたいの知れない何かがうごめいている。そんな恐怖体験を盛り上げるために、音楽、照明、効果音などが絶妙なタイミングで挿入。その相乗効果でつづられたホラーストーリーに、熱気を忘れるほどの涼しさを体感させた。

そして終盤にかけて繰り広げられる怒濤(どとう)の展開、衝撃のどんでん返しとたたみかけられ、2日目の公演も無事に終了。熱のこもった朗読を繰り広げたキャスト陣に会場からは大きな拍手が送られた。

ステージ終了後は、キャスト陣が登壇するアフタートークを実施。KAƵMA(しずる)が司会を担当。芸人らしく明るいトークで場を盛り上げた。



昼の部では、リーディングホラーについて語りあった登壇者たち。今回は台本を手に持ちながら演じる朗読劇ということで、「台本ってどう持つのが正解なんですか?」というKAƵMAの素朴な疑問から、台本談義に花を咲かせた。

恐ろしい体験をしている時の演技の最中にページをめくると、「余裕あるじゃないか」と思われないか。ならば八木はどういう風にしているんだろうと思い、八木の台本をめくる所作を観察していたというKAƵMAは、「八木さん、めくってるのかどうか分からないくらいのスピードでめくるんですよ」という指摘して会場は大笑い。「自分では意識してないですけどね」という八木。その後も劇中のとあるシーンで武たちが、KAƵMA演じる信久に対して雑な扱いをするくだりがあることに対してツッコミを入れてみたりと、会場は終始大盛り上がりとなっていた。

そして夜の部では、「アンサンブルの方も2日間やったわけですし。ステージに来ていただいたら」というKAƵMAの提案により、アンサンブルキャストを務めた田中聖奈、小川直彦、宮崎加奈子の三名をステージに呼び込み。「僕たちのリハーサルにも付き合ってくださったんです」という高橋に、KAƵMAも「稽古の後も、皆さん集まって、監督と打ち合わせをしたりしていて。なのにここに出てもらわないと味気ないだろうと。本当にすばらしかったです!」。会場からは彼らをねぎらう拍手がわき起こった。

昼のアフタートークでは、ストーリーの中で武が信久に対して雑な扱いをしてしまうくだりに対してツッコミを入れいていたKAƵMAだが、それを受けた夜の部では、高橋が「それまではまったくそんなことを思っていなかったのに、KAƵMAさんにその話を聞いてからは、そのシーンが来る直前に(笑いそうになって)ヤバすぎた。でも夜の部のお客さんにはそれは関係のないことですから。配信で観ていただくと顔がピクピクしているかもしれません」と告白。

礒部も「知恵的ポイントなんですけど、最初に親指さがしをはじめるか、はじめないか、と言い合うところで、知恵が『本当にやるの?』と言いながらも、結局やることになった時に、(武のモノローグが)一応全員の意見が一致したところで……って言っていて。絶対に丸め込まれたじゃんと思いました」とぶちまけて会場は大笑い。

さらに八木も「昼公演のアフタートークの時に、台本のページをめくるのが早くて。いつめくってるのかと言われたんですけど、今回意識し過ぎちゃった」と笑ってみせると、KAƵMAが「ごめんなさい! 全部俺が言っちゃったせいですね」と懺悔してみせて会場を笑わせた。

そんな笑いが充満したアフタートークもいよいよ終盤。まずは八木が、「このアフタートークを聞いた上でアーカイブを見るとまた違った面白さがあるんじゃないかと思い、僕も気になってきました。ぜひチェックをお願いします」。

続けて礒部が「わたしもアーカイブで八木さんの高速ページめくりをどうやられているのか、勉強したいと思います」と語ると、古賀も「朗読劇をやるときって、声優さん同士とか、俳優さん同士という感じになると思うんですが、今日は声優の方も、俳優の方も、芸人の方もいて。異色な感じがすごく面白くて。今まで経験したことがない刺激をいただけてうれしかったです」とコメント。

そして高橋が「今日、劇場の前がものすごい行列で。リーディングホラーに来てくださる方かなと思ったらほぼパチンコの人で。7月7日で、7がそろうんじゃないかと幸せな顔をされていました。もしかしたら今は違うかもしれませんが(笑)。でも今日は7月7日ということで、皆さまに幸運がくるように祈っております」と会場に向けて呼びかけた。

こちらの公演は7月21日(日)までアーカイブ配信で視聴可能なので、ぜひご覧いただきたい。配信チケットはhttps://spwn.jp/events/evt_MZ8eMnzaFO0Z4lBM3rfI より購入可能だ。

■あらすじ
「ねぇ、“親指さがし”って知ってる?」由美が聞きつけてきた噂話は、ある別荘で女性がバラバラにされ殺害されたが、遺体の左手の親指だけがとこにも見当たらず、その左手の親指を探すというゲームで、見つけたら幸運な出来事が起きるらしいというものだった。
武、智彦、信久、知恵、そして由美の仲良し5人の小学生は、スリルを味わうために遊び半分で“親指さがし”を行う。すると、5人は全く知らない部屋に飛ばされる。何か得体のしれない気配を感じ、急いで元の場所へと戻るが、そこに由美の姿はなかった・・・。
あれから7年。大学生になった武は失踪した由美を見つけるため、過去を清算するため、そして事件の真相を求めて、皆を誘い、再び“親指さがし”を行うのだが、それは彼らに訪れる惨劇の始まりだった……。



◆公演日程
2024年7月6日(土)、7月7日(日) 計4回公演
◆会場 シアター1010 (〒120-0034東京都足立区千住3-92 千住ミルディスⅠ番館 11F)
◆原作 山田悠介『親指さがし』(幻冬舎文庫)
◆出演キャスト
7月6日(土):【沢 武役】梅津瑞樹、【田所由美役】伊瀬茉莉也
【五十嵐智彦役】高尾楓弥(BUDDiiS)、【高田知恵役】前田佳織里、【吉田信久役】村上純(しずる)
7月7日(日):【沢 武役】高橋健介、【田所由美役】古賀 葵
【五十嵐智彦役】八木将康(劇団EXILE)、【高田知恵役】礒部花凜、【吉田信久役】KAƵMA(しずる)
【両日出演者・アンサンブル】田中聖奈、小川直彦、宮崎加奈子

■配信チケット
販売期間:~7月21日(日)19:59
①単品チケット:各3,900円 (税込)
※2024年7月6日(土)昼公演・夜公演、7月7日(日)昼公演・夜公演のうちどれか1公演が視聴可能
②1dayチケット:7,500円 (税込)
※2024年7月6日(土)昼・夜の2公演、または2024年7月7日(日)昼・夜の2公演が視聴可能
③両日堪能配信チケット(特典付き):7,500円 (税込)
※2024年7月6日(土)夜公演と、7月7日(日)夜公演の2公演が視聴可能

特典映像:ここだけでしか見られない公演の舞台裏をキャストが語るキャスト舞台裏座談会
※③両日堪能配信チケット(特典付き)を購入いただきました方のみのご視聴いただけます。

■アーカイブ視聴可能期間
<各公演>公演終了時~7月21日(日)23:59
アーカイブ開始時間は公演後、状況により遅れる場合がございます
<特典映像>7月19日(金)18:00~8月4日(日)23:59
※公開日より2週間を予定しております。
■配信プラットフォーム・チケット販売サイト
SPWN https://spwn.jp/events/evt_MZ8eMnzaFO0Z4lBM3rfI
ご視聴に関する問い合わせ:SPWN問い合わせ窓口:https://event.spwn.jp/contact

公式サイト(特別映像公開中)