第29回釜山国際映画祭『Cloud クラウド』黒沢監督記者会見レポート…頭文字「K」に名監督が多い!?問答も
韓国・釜山で開催中の「第29回釜山国際映画祭」(開催期間10/2(水)~10/11(金))にて<アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞>を受賞した映画『Cloud クラウド』監督の黒沢清が、映画祭公式記者会見と、公式上映に登壇した。予告動画はYouTubeにて公開中だ。
『Cloud クラウド』 第29回釜山国際映画祭 公式会見&Q&A付公式上映 概要
日時:10月3日(木) 16:00-17:00 公式記者会見 20:00-23:00 公式上映+Q&A
会場:Busan Cinema Center Haneulyeon Theater
登壇者:黒沢清監督(69)
10月2日(水)に開幕した第29回釜山国際映画祭でその年のアジア映画産業に大きく貢献した人物を表彰する「アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した黒沢清監督が映画祭の公式記者会見に登壇した。
釜山国際映画祭の印象を問われた黒沢監督は、「釜山映画祭には何度も来ていますが、今回は特別でした。名誉ある賞をいただいて、華やかなオープニングセレモニーに参加して…あんな華やかな場に参加出来たのは初めてで、あんなに長いレッドカーペットを歩いたのも生まれて初めてです。本当に楽しい体験でした。なにより昨日夜のレセプションパーティーの場で、いろいろな国の友人たちと会うことができました。フランスの友人、カナダの友人、香港の友人、もちろん日本の友人も。この釜山映画祭に世界の映画の縮図があるんだなと強く感じています。」と回答。
続いて、「世界で活躍する日本人監督、黒沢清…是枝裕和…河瀬直美…など、イニシャルがKの方が多いですね。黒沢監督が思う才能があると思う若手監督はいらっしゃいますか」と問われた黒沢監督は、「イニシャルがKなら北野武監督もいます」と返答。
黒沢監督に指摘された記者は「大事な人を忘れていた!」といわんばかりに爆笑。その後、黒沢監督が「才能ある若い方はたくさん知っています。一番親しい、若手とはもう言えないかもしれませんが、一番有名なのは濱口竜介だと思います。でも彼は意地のように僕とは違うことをしますから(笑)。それであれだけすばらしい作品を撮っているんで、僕が濱口に対してなにかいうことはありません。えらいところに行ってしまったなという想いがあって、先へ先へと突き進んでくれというのが第一の僕のエールですね。たまにはジャンル映画を撮れ、これが2つ目です(笑)。」と回答。さらに、オープニングセレモニーで、ポン・ジュノ監督からメッセージがあったことについて感想を問われ、「感激しました。ポン・ジュノ監督は昔から何度も会っていて、韓国の友人だと思ってきました。いまでは世界的な巨匠ですから。はるか雲の上の存在です。僕のことに時間を割いてコメントしてくれたんだ、というだけで感激しました。まだ友達でいてくれたんだと(笑)。」と黒沢監督らしい回答で会場を和ませた。
またその日の夜、「ガラ・プレゼンテーション」部門の公式上映が行われ、黒沢監督の新作をいち早くみようと駆けつけた若い映画ファンが集まり会場は満席。冒頭のインビテーションに登壇した黒沢監督は、大きな拍手で迎えられた。
その後行われた上映後Q&Aでは「菅田将暉さん演じる吉井が、善人でも悪人でもない人物から、悪魔に魅入られ、悪の道を選ぶことになる人物へ変化していく様子が非常に興味深かったです。監督はどのような演出をされたのでしょうか?」と韓国でも人気のある菅田将暉に関する質問がおよぶと「本当にありがとうございます。僕もまさに同じように思ったんです。菅田将暉さんが、すばらしい感情の変化を表現してくれて。ここまでやっていただけると予想していなかったのです。ほんとうにすごく難しい役で、180度人間が変わっていく。どんどん変化していくんです。それの表現を飛躍しながら、観ている人にわかりやすく演じきる、これは菅田将暉さんの才能によるものだと思っています。僕ももっとも感心した部分だったので、それを指摘くれてほんとうに嬉しいです」と返答。
つづけて、「僕は心、感情の流れについては説明しましたが、演技の指導はしていないんです。菅田さんに委ねました。さらに、ラストシーンはかなり前半に撮影したので、それがまたすごいなと。大胆な感情の変化を無理なく演じてみせる。そのシーンがどこにくるかを計算して演じている。100%菅田さんの力です。僕は細かいことはいっていません。」と、菅田を称え、作品の中で描かれる菅田が演じる吉井の細かな感情の揺れを理解してくれたことを喜んだ。最後の挨拶を求められると「本当に有意義なQ&Aでした。釜山映画祭のお客さんは質問のレベルは高い。Q&Aを通して僕自身も作品への理解が深まりました。本当に嬉しい時間でした」と締めくくると、場内から黒沢監督へ大きな拍手がおくられた。
第97回米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品、主演:菅田将暉×監督・脚本:黒沢清がおくる、“誰もが標的になりうる”日常と隣り合わせの恐怖を描くサスペンス・スリラー『Cloud クラウド』は、絶賛公開中。
◇予告編
作品概要
TOHO シネマズ日比谷ほか全国公開中!
監督・脚本:黒沢 清 主演:菅田将暉
出演:古川琴音、奥平大兼、岡山天音、荒川良々、窪田正孝
赤堀雅秋、吉岡睦雄、三河悠冴、山田真歩、矢柴俊博、森下能幸、千葉哲也、松重豊
製作幹事:日活 東京テアトル
配給:東京テアトル 日活 ©2024 「Cloud」 製作委員会
◇公式HP
◇公式ハッシュタグ:#映画クラウド
◇公式X: @cloudmovie2024
◇公式Instagram: @cloudmovie2024