芦沢央の社会派ミステリー『夜の道標』、WOWOWで連続ドラマ化 吉岡秀隆主演で9月放送
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第76回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞した芦沢央の社会派ミステリー『夜の道標』(中公文庫)が、WOWOWオリジナルドラマとして9月に放送・配信される。
主演は吉岡秀隆。WOWOWドラマでは『連続ドラマW トクソウ』以来、11年ぶりの主演となる。
社会派ミステリーの傑作を映像化
原作は、2021年直木賞にもノミネートされた芦沢央が、作家生活10周年を記念して執筆した意欲作。深い人間描写と鋭い社会観察が高く評価され、第76回日本推理作家協会賞を受賞した。
脚本を手がけるのは『PICU』『バニラな毎日』などで知られる倉光泰子。共同脚本・監督には『見えない目撃者』『重力ピエロ』の森淳一が参加し、物語に深みを加える。音楽は透明感と独自性で注目を集めるアーティスト・Jun Futamataが担当する。
物語は、逃亡犯を追う刑事の執念
1996年に発生した殺人事件を追う刑事・平良正太郎(吉岡秀隆)が主人公。2年間逃亡を続ける容疑者・阿久津弦の足取りを追いながら、事件の真相に迫っていく。
一見無関係に思えた証言や出来事が、“ある容疑者”を軸に繋がっていき、やがて社会の奥底に潜む闇があぶり出される。
平良は家庭にも問題を抱える“窓際刑事”という設定。部下・大矢とともに、行き詰まった戸川殺人事件の再捜査に取り組み、地道な聞き込みと検証を積み重ねるなかで、真実にたどり着く。
吉岡秀隆、11年ぶりの主演
吉岡は本作について、「演じるというより、その人間として存在している感覚がある」と語っており、冷静な捜査官でありながらも温かさを感じさせる演技で、物語に深い説得力を与える。
ドラマは9月、WOWOWで放送・配信開始
タイトルは『連続ドラマW 夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-』。全5話構成で、第1話は無料放送される予定。
現実に起こり得る社会問題を丁寧に描きながら、90年代という時代背景もリアルに再現する。最後に明かされる“たったひとつの真実”が、視聴者に深い余韻を残す。
今後発表される実力派キャスト陣にも注目が集まる。
コメント
<平良正太郎役・吉岡秀隆、コメント>
WOWOWのドラマでは作品とその役を通して、いつも勉強させて頂いております。「CO移植コーディネーター」、「トクソウ」、「コールドケース」などもそうでしたが役を演じるというより、作品作りにおいてその人間を体現させてもらっている感覚があります。社会派ヒューマンミステリーと言ってしまえばそれまでですが、見ていただく方にも、僕自身にも心に問い続ける事が出来るような作品である事を祈っております。
<脚本・監督・森淳一、コメント>
今作は社会派ドラマですが、単に問題を提示するだけでなく、そこに希望の光を見出せるような構成を心がけました。また、登場人物には複雑な背景や動機があり、単なる善悪で区別されることがないよう注意を払いました。吉岡秀隆さん演じる平良正太郎は、強い正義感を抱く一方で、社会の不正とどう向き合うべきか苦悩します。しかし、その姿勢が子どもに精神的な負担を与え、親子の関係にひずみが生じてしまいます。吉岡さんは「刑事」と「父親」という二つの役割を繊細に演じ分け、物語に深みと説得力を加えてくださいました。余韻の残る表情をモニターで見ながら、何度も唸ったのを覚えています。本作の登場人物たちは、それぞれに複雑な背景や事情を抱えています。人生に翻弄されながらも、自らの道を探していく—そんな人間ドラマの行方を、見届けていただければ幸いです。
<原作・芦沢央、コメント>
撮影見学をさせていただいた際、主演の吉岡秀隆さんから(本作の容疑者である)阿久津への思いを語っていただき、ああ、こういうまなざしで阿久津と向き合ってくださる方がこの事件を担当する刑事さんで本当によかった、と胸が熱くなりました。原作は、一人一人の切実な人生の断片が絡み合うことで浮かび上がる光景、奇跡的な化学反応のようなものを私自身が見たくて書いた物語ですが、その物語に、こうしてたくさんの方が人生の大事な時間を懸けて向き合ってくださることを、とても嬉しく、ありがたく感じています。
このドラマの制作に関わる皆さんの化学反応の結果、どんな光景に出会えるのか、心から楽しみにしております。
【原作紹介】『夜の道標』(中公文庫)
『夜の道標』原作書影
あの手の指す方へ行けば 間違いないと思っていた――。
一九九六年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。
早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から二年経った
今も、足取りはつかめていない。殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続け
る刑事、そして、父親から虐待を受け、殺人犯から食糧をもらって生き延びる少年。そ
れぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく――。
【芦沢央・プロフィール】
1984年東京都生まれ。2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。同作が15年に映画化。18年『火のないところに煙は』が静岡書店大賞を受賞。吉川英治文学新人賞、山本周五郎賞、本屋大賞、直木賞など数々の文学賞にノミネートが続いている。著書に『許されようとは思いません』『カインは言わなかった』『汚れた手をそこで拭かない』『神の悪手』など。
「連続ドラマW 夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-」番組情報
■タイトル: 「連続ドラマW 夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-」
■放送日時:2025年9月WOWOWプライムにて放送、WOWOWオンデマンドにて配信
<スタッフ・キャスト>
原作:芦沢央『夜の道標』(中公文庫)
脚本:倉光泰子 森淳一
監督:森淳一
音楽:Jun Futamata
主演:吉岡秀隆
企画プロデュース:小髙史織 野村敏哉
プロデューサー:小林祐介 妙円園洋輝
制作プロダクション:ダブ
製作著作:WOWOW
◇番組特設サイト
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