「大岡越前8」第4話:藤山直美が涙誘う人情劇 お手玉が結ぶ30年越しの母・娘・孫の絆

6月28日(日)にNHK BS時代劇『大岡越前8』(日曜18:45~)の第4話「涙のお手玉」が放送された。ゲストは藤山直美。人情噺とミステリーが絡み合う中、藤山が演じる金貸しのお甲が見せた“情の深さ”が、忠相(高橋克典)らの裁きに大きな影響を与える感動回となった。あらすじと見どころを紹介する(※ネタバレあり)。
■「大岡越前8」とは
江戸の町を舞台に、南町奉行・大岡忠相(高橋克典)が仲間たちとともに事件や人情に向き合い、“大岡裁き”を繰り広げる時代劇シリーズ。2024年の第7シリーズに続き、高橋克典が2期連続で忠相役を務める。美村里江、勝村政信、寺脇康文らおなじみのキャストに加え、今作では嶋田久作、山崎一輝らが新たに参加。各話に登場する豪華ゲストも見どころのひとつだ。⇒【高橋克典×風間杜夫ほか豪華各回ゲスト紹介】
■第4話「涙のお手玉」
忠相(高橋克典)は、岡っ引きのマムシの誠三(河相我聞)が大店を脅し、金貸しのお甲(藤山直美)と組んで高利貸しをしていることを知る。お甲は過去に火事でうどん屋を失い、幼い娘おきよ(小野美音)を養子にだした辛い過去を持つ。ある日、お甲は海辺で酌婦の美代(熊谷弥香)とその娘お玉(小野美音/二役)に出会う。お玉が持っていたお手玉を見て、お甲はそれがかつておきよに渡した物だと気づく。美代が酔いつぶれたため、通りがかった忠相の息子・求次郎(山崎一輝)に送るのを手伝ってやるよう頼む。求次郎はお玉から「お手玉は本当の母にもらった」「美代は実の母ではない」と聞く。お玉が亡き娘おきよに瓜二つであることにお甲は動揺する。
忠相は、「鬼婆ア」と呼ばれている金貸しのお甲が、求次郎に駄賃を渡してお玉を助けさせようとしたことから、何かを察知。神社で祈るお甲に、忠相は「おきよは6年前にお玉を産み、亡くなった。お玉は美代に育てられている」と告げるが、お甲は「そんなはずはない」とその場を立ち去る。
後日、お玉が高熱を出し、美代が小石川養生所に駆け込む。お甲はお玉を残して仕事に行く美代を責めて取っ組み合いになるが、忠相が止める。その夜、美代は帰路で油問屋の手代・佐吉(平尾勇気)に絡まれ、突き放した際に佐吉が倒れる。翌朝、佐助は遺体で発見され、美代が捕まる。お甲は蘭方医の伊織(勝村政信)に大金を渡してお玉の治療を頼み、さらに自分が佐吉を突き飛ばしたと奉行所で偽証する。
その後、神山左門(嶋田久作)が現場から血の付いた岡っ引きが持つ呼子笛を発見。裁きの日、お玉は美代を守ろうと「自分が殺した」と訴える。忠相は誠三こそ真犯人と証明し逮捕。さらに、お甲が祖母であること、美代が他人の子を大切に育てたことを称える。
おきよは養子先で実子ができたために奉公に出され、奉公先の主に手を出されて妊娠。追い出された末に死産。その後、飲み屋で働き、美代と意気投合。しかし客の子を産んだ直後に亡くなったことが明かされる。お甲はこれまでの罪を認め涙し、お玉はお手玉を渡してお玉を「おばあさん」と呼ぶ。
忠相はお甲に財産没収とお玉を身元引受人とする裁きを下した。
喜劇からシリアスまで自在に演じる藤山直美が、今作では“鬼婆ア”と呼ばれる金貸しの裏にある母の情を見事に表現。
神社で、お甲は忠相から「孫に恥じないよう真っ当な暮らしをするよう」諭される。すると「(良い身分の)あんさんにわての何がわかるというねん」と言い返し、忠相が言葉を失うシーンは圧巻だった。この一言が忠相の胸に刺さる。「一度もひもじい思いをしたことのない自分は、世の中の苦しみを、ひとつもわかっていないのでは」と彼自身も省みる姿が描かれ、物語のテーマである“人の痛みに寄り添う裁き”が浮き彫りになる。
偶然の出会いから始まった、祖母と孫娘の出会いの物語。求次郎(山崎一輝)のちょっとした親切が、30年越しの家族を再びつなげる鍵となった。ラストでは、お甲、美代、お玉の3人が新たにうどん屋を再建し、心あたたまる再出発を迎える。
次週第5話は松井玲奈をゲストに迎えて、7月6日ほかで放送される。
■第5話「魔性の女」
与次郎(吉田ウーロン太)に絡まれている初音(松井玲奈)を救った新三郎(寺脇康文)。その後、初音は、新三郎に付きまとい、養生所に居座る。初音の素性が気になる忠相(高橋克典)。実は初音は、貧乏旗本・疋田群兵衛(波岡一喜)の妹であり、兄の取ってきた金持ちの客に身を売っていた。初音の新三郎への執着は日増しに強くなる。そんな中、初音の客だった与次郎が殺され、群兵衛に仕える六之助(前原滉)に嫌疑がかかる。■放送・制作情報
放送日時:6月8日(日)より毎週日曜 18:45~19:28(全8回)放送局:NHK BS、NHK BSP4K
脚本:尾西兼一(2・3・7・8話)、いずみ玲(1・5話)、森脇京子(4・6話)
音楽:山下毅雄、小笠原肇
主題歌:由紀さおり
出演:高橋克典、勝村政信、寺脇康文、美村里江、近藤芳正、高橋光臣、嶋田久作(新キャスト)、柄本時生、石井正則、金山一彦、山崎裕太、加藤頼、黒川英二、財木琢磨、由夏、亜呂奈、中村加弥乃、山﨑一輝(新キャスト)、高橋長英、徳重聡、松原智恵子、田村亮 ほか
制作統括:本木一博(NHK)、落合将(NHKエンタープライズ)、白石統一郎(C.A.L)
演出:矢田清巳(1・4・7・8話)、六車雅宣(2・3話)、濱龍也(5・6話)
◇NHK BS時代劇「大岡越前8」HP
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