【韓国歴史コラム】韓国時代劇で知っておきたい「新羅」の歴史を徹底解説

10月13日12時00分ドラマ
画像:©navicon(ChatGPTで生成したイメージ)

韓国時代劇を見ていると、「新羅(シルラ)」という国の名前を耳にすることがある。

「善徳女王」、「花郎<ファラン>」、「大王の夢~王たちの戦争」、そして11月スタートの新ドラマ「文武」など、新羅を舞台にした作品は数多い。では、新羅とはどんな国だったのか? いつ成立し、なぜ高句麗(コグリョ)や百済(ペクチェ)と争い、最終的に朝鮮半島南部を統一するまでに成長したのか。



今回は、韓国時代劇をより楽しむために知っておきたい「新羅」の歴史を、できるだけ分かりやすく紹介する。
もっと詳しく知りたい方のために、※で紹介している【navicon韓流コーナー】の図表などを参照してください。

■新羅とは? 高句麗・百済と争った「三国時代」
三国時代地図三国時代地図新羅は、朝鮮半島南東部を中心に発展した古代国家だ。朝鮮半島では4~7世紀ごろ、高句麗、百済、新羅の三つの国が並び立ち、互いに領土をめぐって激しく争った。この時代は一般に「三国時代」と呼ばれている。

新羅の都は現在の慶尚北道・慶州(キョンジュ)。現在も慶州には、古墳や寺院、宮殿跡など、新羅の歴史を伝える多くの遺跡が残っている。

新羅は当初、高句麗や百済に比べて必ずしも強大な国ではなかった。しかし、王権を強化し、政治制度を整え、周辺勢力との外交を進めながら徐々に力をつけていく。

その大きな転換点となったのが6世紀だった。

※【韓半島の時代別地図】

■法興王――国家としての新羅を整える

新羅第23代王・法興王(ポプンワン)は、国家としての新羅の基盤を整えた重要な王だ。法興王の時代には律令が整備され、王を中心とする中央集権的な国家体制が形作られていった。また、軍事を担当する兵部を設置し、王権の強化も進めた。

さらに、仏教を公認したことも大きな出来事だった。仏教は単なる宗教としてだけでなく、王を中心とする国家の統合を支える思想としても重要な役割を果たしたと考えられている。このころから新羅は、単なる地方勢力ではなく、朝鮮半島の有力国家の一つへと成長していく。

※【新羅王朝系図・半島統一前】
※【新羅王朝系図・半島統一後】

■真興王――領土を大きく広げた「花郎」の時代

法興王の次に覚えておきたいのが、新羅第24代・真興王(チヌンワン)だ。真興王の時代、新羅は積極的に領土を拡大し、漢江流域へ進出するなど勢力を大きく広げた。

そして、新羅を舞台にした韓国時代劇でおなじみの「花郎<ファラン>」も、この時代と深い関係がある。花郎は、若い貴族の男子を中心とした集団として知られ、後に新羅の政治や軍事を担う人物を輩出した。ドラマ「花郎<ファラン>」では、そんな若者たちの友情や恋、王権をめぐる争いを物語の中心に描いている。

つまり、「花郎」を見るなら、新羅がまだ三国統一を果たしていない時代だということを知っておくと、物語の背景がより分かりやすくなる。

■新羅独自の身分制度「骨品制」

新羅の歴史を理解するうえで欠かせないのが「骨品制(コルプムジェ)」だ。これは王族・貴族を中心とした身分制度で、血統によって政治的な地位や社会的な身分が大きく左右された。特に知られているのが「聖骨(ソンゴル)」と「真骨(チンゴル)」だ。聖骨は王族の中でも特に高い身分とされ、真骨がそれに続いた。

この制度は、王位継承にも大きく関係する。

後に登場する善徳女王や真徳女王の即位を理解するうえでも、骨品制を知っておくと便利だ。聖骨の系統が途絶えたことが、善徳女王の即位につながったと説明されることが多い。

■「善徳女王」――新羅初の女性君主

新羅第27代王が善徳女王(ソンドクヨワン)だ。韓国ドラマ「善徳女王」でも知られる、韓国史を代表する女性君主の一人である。善徳女王が王位に就いた7世紀前半、新羅は高句麗と百済から圧迫を受け、決して安定した状況ではなかった。

ドラマでは、善徳女王とミシルを中心とした宮廷の権力争いが大きく描かれるが、史実の善徳女王の時代も新羅にとって激動の時期だった。そして、善徳女王の時代から次の時代へ進むと、新羅の歴史を大きく変える二人の人物が登場する。

金春秋(キム・チュンチュ)と金庾信(キム・ユシン)だ。

■金春秋と金庾信――三国統一への道

金春秋は、後に新羅第29代王・太宗武烈王(テジョン・ムヨルワン)となる人物。そして金庾信は、新羅を代表する名将だ。この二人は、それぞれ異なる立場から新羅の発展を支えた。

金春秋は外交や政治に力を発揮し、唐との関係を築きながら、新羅が高句麗・百済に対抗する道を模索した。一方の金庾信は、軍事面で新羅を支えた。2012年のKBS大河時代劇「大王の夢~王たちの戦争」では、チェ・スジョンが金春秋を演じ、金庾信との友情と葛藤を軸に三国統一への道が描かれている。

※【新羅】時代背景①赫居世誕生から三国統一、滅亡までを図表と一緒に辿る
※【新羅】時代背景②真興王(演:パク・ヒョンシク)と花郎精神を紹介!

■660年、百済が滅亡――新羅が大きく前進

新羅にとって大きな転機となったのが660年だ。この年、新羅は唐と連携して百済を攻め、百済を滅ぼした。しかし、これですべてが終わったわけではない。新羅の前には、もう一つの強国・高句麗が残されていた。高句麗は長い歴史を持つ強大な国家で、当時も新羅にとって大きな脅威だった。

そして、ここから「文武王」の時代へとつながっていく。

■文武王――新羅の三国統一を完成させた王

金春秋が武烈王として即位した後、その息子・金法敏(キム・ボプミン)が王位を継承する。この人物こそ、後の新羅第30代王・文武王(ムンムワン)だ。文武王の時代、668年に高句麗が滅亡する。しかし、ここで新たな問題が発生する。百済と高句麗を滅ぼすために新羅と手を組んでいた唐が、朝鮮半島に勢力を残そうとしたのだ。

新羅は今度は唐と戦うことになる。

そして文武王は、唐の勢力を朝鮮半島から退けるために戦い、676年ごろまでに唐との戦いで優位を確立した。これにより、一般に「三国統一」と呼ばれる歴史的な転換が実現する。

ただし、ここは韓国史を理解するうえで少し注意したいところ。「三国統一」といっても、現在の朝鮮半島全域を新羅が支配したわけではない。新羅が支配したのは主に朝鮮半島南部で、北方には後に渤海(パルヘ)が成立する。

そのため、現在の歴史研究では「統一新羅」と呼びながらも、より正確には「新羅による朝鮮半島南部の統合」と説明されることもある。

■「統一新羅」の繁栄――仏教文化が花開く

三国間の長い戦争が一段落すると、新羅は新たな時代を迎える。これが「統一新羅」の時代だ。政治的な安定を背景に、仏教文化を中心とした華やかな文化が発展した。

現在、世界遺産にも登録されている慶州の仏国寺や石窟庵などは、この時代の新羅文化を代表する存在だ。

慶州を訪れると、巨大な古墳や寺院跡などが数多く残されており、「新羅の都」がどれほど栄えていたのかを感じることができる。

韓国時代劇で描かれる新羅の宮廷や貴族社会を理解するうえでも、この時代の文化は重要だ。

■繁栄の後、王権が弱まり新羅は衰退へ

しかし、新羅の繁栄は永遠には続かなかった。

時代が下るにつれて、王族・貴族の対立が激しくなり、中央政府の力が次第に弱まっていく。地方では有力者が勢力を伸ばし、新羅の支配は揺らいでいった。やがて朝鮮半島では「後三国時代」と呼ばれる新たな争乱の時代が始まる。新羅は次第に勢力を失い、935年、最後の王・敬順王が高麗の王建(ワン・ゴン)に降伏。

ここに、長い歴史を持つ新羅は幕を閉じる。

■新羅の歴史をざっくり覚えるなら?

最後に、新羅の歴史を韓国時代劇を見るために簡単に整理してみよう。

新羅成立
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法興王――律令・仏教公認など国家体制を整える
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真興王――領土拡大、「花郎」の時代
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善徳女王――新羅初の女性君主
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金春秋・金庾信――政治・外交と軍事で新羅を強化
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太宗武烈王――百済攻略へ
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文武王――高句麗を滅ぼし、唐と戦って新羅の統合を進める
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統一新羅――仏教文化が花開く
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後三国時代――新羅の衰退
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935年、新羅滅亡


この流れを頭に入れておくだけでも、「善徳女王」「花郎<ファラン>」「太宗武烈王」「文武王」などの作品を見たときに、登場人物たちが歴史のどの地点にいるのかが分かりやすくなる。

■新羅を舞台にした韓国時代劇をもっと楽しもう!

新羅を舞台にした韓国時代劇の魅力は、同じ「新羅」でも作品によって描かれる時代が大きく異なることだ。

若き貴族たちの青春を描く「花郎<ファラン>」、女王として国を守ろうとする善徳女王を描く「善徳女王」、三国統一へ向けて動き出す金春秋と金庾信を描く作品、そして新羅の統一を完成させた文武王を描く作品――。

それぞれのドラマを単独で楽しむのはもちろん、「新羅という一つの国の歴史を時代順に追ってみる」のも、韓国時代劇の面白さの一つだ。

今後、新羅を舞台にした新作時代劇を見るときにも、ぜひこの大きな歴史の流れを思い出してほしい。※【ドラマの年表:古朝鮮~三国時代(高句麗・百済・新羅)】は「韓国時代劇チャート」で、タテに見れば「神話」~「三国時代(高句麗・百済・新羅)」歴代の王が、ヨコに見れば同時代を描いた作品に何があるかすぐに分かる。ジャンルによって色分けもしているので、視聴の参考にされたい。

※navicon韓流コーナー(韓国ドラマ2026年10月現在1600作品以上の紹介、ドラマの深掘りする【2倍シリーズ】、時代劇に役立つ【年表・王朝系図・地図】など図表などまとめています⇒kandoratop