「南田南弁護士は天才肌」と「ウ・ヨンウ」、塩むすびに見えた違い―第2話で考える主人公の自立と父娘の絆

10時30分ドラマ
©︎カンテレ『南田南弁護士は天才肌』第2話より

物語は同じでも、心に残る場所が少し違う。10月26日に放送された芦田愛菜主演「南田南弁護士は天才肌」第2話は、原作「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の展開を丁寧に受け継いでいた。その中で印象に残ったのが、南が自分で握った塩むすびと、親友と過ごす場所の変更だ。小さなアレンジから、日韓それぞれの主人公の描き方が見えてきた。



※以下、第2話の結末に触れています。

■原作を受け継ぐ展開、赤いジャージには日本版の遊び心も
南©︎カンテレ『南田南弁護士は天才肌』第2話より第2話で描かれたのは、盛大な結婚式で新婦のウエディングドレスがずり落ち、式場への損害賠償請求に発展する事件。日本版は放送時間に合わせて打ち合わせや裁判の過程を簡潔にまとめながらも、南が裁判を有利にするアイデアを思いつき、新婦が訴訟の取り下げを申し出る展開や、その決断に至る理由を受け継いでいた。

南(芦田愛菜)と湊人(高橋文哉)が結婚を控えたカップルを装い、式場を調査する流れも同じ。本来、湊人の相手役を務めるはずだった同僚が腹痛に見舞われ、着替えをめぐる騒動から南が代役になるくだりまで、原作ファンにはおなじみの展開だ。

ただし、南が選ぶ服には変化が。韓国版の花柄の服に対し、日本版は赤いジャージ。その姿に「ごくせん」のヤンクミを思い浮かべ、笑ったドラマファンもいたのでは?湊人が南のドレス姿に見とれる場面も含め、原作の楽しさを残した一話だった。

ちなみに同日の1時間前にフジテレビでは「しゃべくり007」に「ごくせん」シーズン2で生徒役を演じた亀梨和也が出演し、「ごくせん」トークもあっただけに、粋な偶然に盛り上がったドラマファンもいたのでは?

※詳しい展開は日本版第2話のネタバレと次回予告、韓国版は第2~4話のあらすじと見どころで紹介している。

■「自立」を語る場所が、執務室から塩むすびへ
大きな違いを感じたのは、父親の決めた人生を歩いてきた新婦(渋谷凪咲/ハヨン)が、自分の意思に向き合うきっかけとなる場面だ。
南田南©︎カンテレ『南田南弁護士は天才肌』より
韓国版では、ヨンウと新婦が執務室で二人きりになり、親からの自立をめぐって言葉を交わす。ヨンウ自身も父に支えられて暮らしており、新婦の問題はそのまま自分にも返ってくる。弁護士と依頼人という関係を超えて、二人の女性が同じ課題を抱えていることが浮かび上がる場面だった。

一方、日本版は法廷へ向かう場面で、南が自分で握った塩むすびを新婦に差し出す。初めておむすびを作った南は、それを自立の一歩として語った。

その言葉の背景には、南の結婚を勘違いした父・誠(角田晃広)の発言がある。自立した大人は自分で食事を用意するという父の言葉を受け、南は実際に作ってみたのだ。

ここでは、父から教わったことを自分の行動に移し、その経験が依頼人への言葉につながっている。塩むすびは、父に作ってもらう日常から、自分で作る日常への小さな変化を形にしたもの。父娘のつながりの中から南の成長を描く、日本版らしい温かなアレンジに感じられた。

■親友と会う場所――ヨンウには父の店の外にも居場所がある
もう一つ、気になったのが親友(柿原りんか/チュ・ヒョニョン)と過ごす場所だ。

韓国版でヨンウがグラミと会うのは、グラミが働く小さな居酒屋「トルボネ酒店」。おなじみの挨拶を交わし、仕事や人間関係について話すこの店は、父のキンパ店とも法律事務所とも違う、ヨンウの居場所になっている。

日本版でも親友との独特な挨拶は登場するが、今回、二人が落ち合うのは南の実家のおむすび店だった。

同じ親友との交流でも、場所が変わると印象は変わる。韓国版では、父と暮らす家の外にもヨンウ自身の人間関係が広がっている。一方、日本版では、親友との時間も父娘の日常と地続きにある。南を支える人々が、実家の店を中心につながっているように見えるのだ。

■ラストの焦点も変化――「人の気持ちは難しい」に重なる余韻
第2話のラストにも、日韓の違いが表れた。韓国版では、法律事務所テサンの弁護士テ・スミ(チン・ギョン)が登場し、この先の物語への関心を引きつけた。一方、日本版が焦点を当てたのは、新郎・御子柴紳司(入江甚儀)だった。

新婦の決断だけで終わらず、新郎側にも目を向けることで、二人の関係は一方的な拒絶では片づけられない、男女のすれ違いとして映る。相手の本心を知る難しさが、結末の切なさを深めていた。

その余韻に重なるのが、南と湊人の視線の交錯だ。クジラの話なら嬉々として語る南も、人の感情、とりわけ恋心を読み解くことには戸惑う。新郎新婦のすれ違いと、まだ言葉にならない南と湊人の関係を、「人の気持ちは難しい」という台詞に集約した脚本が光った。

■演技の違いから、物語の重心の違いへ
初回の日韓比較記事では、少し猫背気味で相手から視線を外すパク・ウンビンと、姿勢がよく、相手を正面から見つめる印象の芦田愛菜について触れた。

第2話では、演技だけでなく、台詞を交わす場所や食べ物にも、人物像の違いを感じた。韓国版では、ヨンウが父の庇護の外へ自分の世界を広げていく姿が印象に残る。日本版では、父の言葉や暮らしの積み重ねが、南の一歩を後押ししている。

もちろん、韓国版にも深い父娘愛があり、日本版も南の自立を描いている。そのうえで、第2話までを見た筆者には、日本版は父娘の絆をより身近な生活の中で伝えようとしているように感じられた。

父の握るおむすびを食べていた南が、自分で握り、誰かに差し出す。その小さな変化をどう受け止めるか。同じ事件を描くリメイクだからこそ、一つの塩むすびが映し出す主人公の歩みに目を向けたい。

「南田南弁護士は天才肌」は、自閉スペクトラム症(ASD)でありながら東京大学法学部を首席で卒業し、司法試験にもトップで合格した新人弁護士・南田南(芦田愛菜)が、社会の偏見やさまざまな壁にぶつかりながら、独自の視点とひらめきで難事件に挑んでいくハートフル法廷ドラマ。原作の全話あらすじと見どころは【「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を2倍楽しむ】でまとめている。

「南田南弁護士は天才肌」は毎週月曜22時、カンテレ・フジテレビ系で放送。TVer、カンテレドーガで最新話を見逃し配信し、Netflixでは各話の放送終了後に順次配信する。

◇カンテレ・フジテレビ「南田南弁護士は天才肌」HP

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