富士山の科学全13話
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富士山の東西40kmに広がる広大な裾野から、山頂途中・標高2500m(六合目)付近の森林限界までは、様々な生態系が展開しているが、そのほとんどが森林王国ワールド。今回は富士山の森で活躍する人々の姿を通して環境科学を学習する。作品のテーマは4つ。富士山の溶岩流の上に成立したアカマツ林で進められている、地球温暖化と森林の二酸化炭素吸収能力の研究。そして地球観測衛星ランドサットを利用したリモートセンシング技術による、空からの巨視的な富士山森林研究。この研究を担っているのは、山梨県環境科学研究所。三つ目は、生物多様性に立脚しつつ、生態系の遷移を人間の手で早めて富士山本来の巨木の森=極相林を作る活動。この森作りには、森林生態学の専門家と民間NGOが協力している。最後は、適材適所による、林業のための森作り。ここにも、林野庁と民間NPOのパートナーシップがある。富士山の複雑な森林生態系を今日的なテーマで見つめ、理解するための第一歩となる科学番組である。
世界遺産をめざす富士山の環境問題にとって、悩みの種の一つが、年間30万人の登山者の置き土産とも言える、し尿問題。トイレの改善無くして世界遺産の登録もない!と言われているほど深刻な課題なのだ。具体的には、トイレの数が少ない事、臭い事、掘っ立て小屋同然で見た目にも実際にも汚いこと、山腹への放流・垂れ流し方式で、富士山本体の環境問題だけでなく、地下水・湧き水への悪影響がありうる事等だ。本作品は富士山の山頂へバイオトイレを建設したNPOの活動を通して科学技術のあり方と富士山の環境改善を考えるものである。特筆すべき話題は、このプロジェクトの中心となったNPOが、住友建設をはじめとするれっきとした技術者集団であった事である。彼らは、静岡県内の建設土木の企業メンバーをボランティアで募り、「ふじのくに まちづくり支援隊」を設立、NPO法人の資格も取って、富士山のトイレ建設に臨んだ。作品は建設本番・富士山の山頂における1週間の奮闘記であり、バイオトイレプラントの科学解説であり、又、富士急行ボランティア登山隊等によるバイオの資材、スギチップ搬入など、多くの人々の協力の記録でもある。
富士山の北側斜面で続発している深部低周波地震により、地元自治体・住民はもちろん、全国の注目が富士山に集まっている。山梨県防災消防課では、これを受けて初めての、富士山噴火を想定した防災訓練を準備した。一方、富士山の噴火を理解するためには、基礎的な地学・火山学・鉱物学が不可欠となる。ただ噴火災害を恐れるのではなく、富士山の恵みに大きさに感謝し、科学的に活火山と向き合う必要があるはずだ。番組は、富士山の噴火に備えるための2つの方向性として、科学教育と防災訓練を相互不可欠と考え、両面から取材を進める。科学面では、都留文科大学の地質学教授・上杉さんに溶岩流の作る地形と玄武岩の柱状節理を案内していただき、国土地理院による、富士山地下の重力測定実験を紹介する。又、山梨県による初めての富士火山想定防災訓練を報告、自治体や関係機関の科学技術力も合わせて紹介する。多くの責任ある人々が、子供たちへの火山・防災・環境教育の重要性を訴えているのが印象的である。
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