2015年NHK大河「花燃ゆ」主人公・杉文（井上真央）の兄、吉田寅次郎（後の松陰）役の伊勢谷友介の長崎ロケが8月19日始まり取材会が行われた！江戸期から明治へ変わる激動の時代を生きた思想家・吉田松陰を演じるにあたり、伊勢谷の意気込みが語られた…取材会見の動画は「コレ見て！MOVIE」にて配信されている。

「松陰先生は人を1人も斬らず、哲学的なことを考えている方なので…」と、むずかしいセリフが多いと語る伊勢谷友介。激動の時代を生きた一人の思想家を演じるにあたり、「このドラマをきっかけに、見た方が今の常識に押しつぶされず、狂って、自分なりの新しい未来を提供できるようなドラマになったらいい」と語った。本の虫だったという吉田松陰。「本」は松陰にとって「人」、若き日の松陰は、ロケ地となった長崎で多くの本を読み、多くの知識を吸収し大きく成長していった。

現代劇はもちろんのこと、三谷幸喜監督『清洲会議』（2013）、田中光敏監督『利休にたずねよ』（2013）、大友啓史監督『るろうに剣心 京都大火編／伝説の最期編』（2014）など、時代劇にも積極的に出演している伊勢谷。「花燃ゆ」での吉田寅次郎役劇中衣装もかっこいい。伊勢谷本人もだが、知性溢れる人物像が見て取れる。

1976年生まれ、今年で38歳になる伊勢谷友介。俳優業のほかにリバースプロジェクトという会社を経営する実業家でもある。衣食住、自然、エネルギー、教育、メディアといった分野で積極的に社会活動を行っている。「天は二物を与えず」というが、この人にはその言葉が当てはまらない。ストレートで東京藝術大学に合格、同大学院美術研究科修了課程修了。在学中からファッションモデルとしても活躍。1999年公開、是枝裕和監督『ワンダフルライフ』で俳優デビュー。2002年には初監督作品『カクト』が劇場公開された。
幼い頃から英語の英才教育を受け、ニューヨーク大学の短期留学で映像を学んだ経験を持つ。
あまりテレビドラマに出演しない伊勢谷だが2010年に放送されたNHK大河ドラマ「龍馬伝」では高杉晋作役、2009年NHKで放送された「白洲次郎」では白洲次郎役に扮し、大変美しいクィーンズイングリッシュを披露した。そして来年放送、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」で、吉田松陰役として出演する。

ちなみに…ファッションデザイナーの山本寛斎とは異母兄弟という間柄。山本寛斎本人も、自身の著書『上を向いて。』やブログにて、伊勢谷について語っている。山本寛斎が東京ドームで開催した「KANSAI SUPER SHOW太陽の船」に、伊勢谷も出演している。

■豆知識：吉田松陰
文政13（1830）年、萩城下松本村、長州藩士・杉百合之助（大河では長塚京三）の次男として生まれ、天保5（1834）年、叔父・吉田大助の養子となるが、大助が死去し、同じく叔父で山鹿流の兵学者・玉木文之進（大河では奥田英二）のスパルタ教育（松下村塾）によって鍛え上げられた。11歳にして藩主・毛利敬親（大河では北大路欣也）の前で講義をするなど、長州藩内でも将来を有望された天才だった。しかし時代は変わり、山鹿流兵学が時代にそぐわなくなったことを痛感し、西洋兵学を学ぶため九州に遊学、その後、江戸に出向き佐久間象山に師事する。
安政元（1852）年、下田に停泊中だった黒船に乗り込んで密航を試みるも失敗し自首。国禁を犯したとして故郷の萩で獄中生活を送る。その後、近所の子どもたちを集めて開いた松下村塾（叔父が開いていた塾の名を継いだ）が評判になり、高杉晋作（大河では高良健吾）、久坂玄瑞（大河では東出昌大）、伊藤博文（大河では劇団ひとり）、入江久一（大河では要潤）などの優秀な若者たちが輩出された。
しかし、塾生たちとの議論を交わしていくうちに、徐々に過激な思想に傾いた松陰は、幕府が日米修好通商条約を締結したことに反発、討幕を表明し老中首座である間部詮勝の暗殺を計画するが塾生らは松陰に同調しなかった。計画は頓挫したものの、幕府によって危険人物とみなされ投獄。安政6（1859）年、江戸へ送られ処刑される。享年30。

2015年1月から放送、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」、伊勢谷友介扮する吉田寅次郎（後の松陰）の長崎ロケ取材会の動画は、「コレ見て！MOVIE」にて配信されている。幕末、そして維新という激動の時代を生きた杉文（井上真央）の生涯を1年かけて描いていく。文の目を通して、維新で活躍した大物政治家たちがどのように描かれるのか、楽しみである。

◇NHK 2015年大河ドラマ「花燃ゆ」番組公式サイト
◇NHK「コレ見て！MOVIE」番組公式サイト